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新卒採用が目指すべきゴールはなに?【はじめての人事お悩み相談#7】#ディスカヴァー #人材マネジメント100のツボ

電子版5月28日、書籍版6月26日に発売の『図解 人材マネジメント入門』。本書では領域が広く捉えにくい人材マネジメントを、わかりやすく図解を交え体系的にまとめています。
そんな人材マネジメントの原理原則を詰め込んだ本書の著者である坪谷さんに、入社2年目にして今年の1月から人事担当となった弊社の社員井上が抱える悩みを相談してみました。

新卒採用が目指すべきゴールはなに?

井上:新卒採用では何を数値目標とするべきか悩んでいます。今は「採用人数」を追っています。数値目標としてのわかりやすさはある一方、「会社を良くする」という最終目的を考えると、「採用した人が3年後5年後10年後に活躍しているかどうか」の方が「採用人数」より重要だと思います。しかし、「入社数年後の活躍」に向けては定量的なゴールを決められず、具体的なアクションに落とし込めていません。新卒採用は何をゴールにすればよいのでしょうか。

坪谷:仕事の目的論ですね。多くの採用担当者は「採用数の罠」にはまります。たしかに採用数もとても大事で、この数字を追わないのは間違いです。しかし採用数が達成できたらそれでゴールなのかというと、これも違います。
指標として考えられるのは3つです。まず1つ目は「質×量」です。採用要件に照らしてどれだけ良い人材を採用できたのか。狙ったとおりの人材が何人取れたのかという観点です。
2つ目は「適応」です。採用した方が定着して活躍しているか、1年~3年での活躍度合い、離職率、人事評価の結果などが考えられます。採用担当だけでなく、会社として中長期的にウォッチし続ける値と考えたほうがいいでしょう。例えば、2020年度採用の人は、人材要件はこうで、こういうプロセスで採用して、こういう適応施策を行って、その結果いまどれくらい活躍しているね、ということを蓄積すれば採用の質は上がっていきます。


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坪谷:3つ目は採用しなかった人達の「ファン化」です。内定辞退者や面接の段階で断った人、あるいは説明会だけ来た人などが、「ディスカヴァーには入社しなかったけど、とてもいい会社だった」と思ってくれるかどうか。採用フローの中で、応募者を「会社のファン」にできるかどうかは、極めて重要です。その方たちはその後顧客になってくれる可能性が高く、そして中途採用で応募してくれる可能性もあるからです。彼らがどれだけファンになってくれるか。測り方としては、短期的には説明会や面接の後にTwitterなどのSNSでエゴサーチしてみて、ネガティブ発言がないかチェックするというのも手ですね。中期的には新卒採用で応募していた方が、社会人として他社で働いて数年後に中途採用で再度応募してくれたというのも1つの結果でしょう。

井上:なるほど!「採用人数」だけでなく3つの観点で新卒採用のゴールを設定すれば、自分がやるべき具体的なアクションはもっと多くなると思いました。
ディスカヴァーは新卒採用の2次募集を始めているタイミングです。「ファン化」という面では、1次募集で応募してきてくれた学生が「2次でも応募します」と意思表明してくれて嬉しかったというのはありますね。

坪谷:そうですね、KPIとして数字を置くのも構いませんが、元来の目的に照らして、どうあるべきかを考えてみてはどうでしょうか。
また、こんな手法もあります。外部コンサルタントなどの第3者が、内定辞退者に電話をかけてインタビューをするのです。「なぜ内定を得たのに入社しなかったか」がわかると今後の採用戦略に活かせます。そして私の経験上、内定辞退者はだいたい率直に答えてくれます。

人事として働くことの「意義」を問うていく

井上:いろいろな自分の悩みにお答えいただき、ありがとうございました。ここまで坪谷さんのお話しを聞いてきて、なぜ自分が悩んでいるかがわかりました。人事の仕事についてから、「自分の仕事が何であるか、どういったことを最終目標としているか」がわかりづらくなっていていたからだと思います。

坪谷:仕事の「意義」をご自身に問うているということですね。アリストテレスによれば幸福(エウダイモニア)とは仕事に意義を感じ、自分の力を十全に発揮できている状態だといいます。意義を感じて仕事ができることを目指して井上さんは働いているのですね。これは素晴らしいことですよ。

井上:自分は人事に配属される前は書店営業をしていました。明確な売り上げ目標を追いかけて、与えられた資料を使い、決められた書店へ訪問するという「目標も手法も確立した仕事」だったと思います。もちろんそれはそれでやりがいはありました。しかし、自分としては「人事としての意義」を問いながら仕事をしている今の方が、より充実しているように感じます。

坪谷:人事というのは、深いところで意義をつかめるととても面白い仕事だと思います。時には葛藤があると思いますが、乗り越えて前進していってほしいです。井上さんのこれからを応援しています。


<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。
20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。
主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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