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Buell XB12Scg 全バラパーツから登録まで

そもそも、ビューエルの予備パーツとして揃えていた、スイングアームやホイール、フロントフォークなどが邪魔だなと。これだけ場所取るくらいならエンジン手に入れてもう一台組んじゃえからスタート。
ネットオークションを見ていたらエンジンやら書付き07フレームが格安で出ていたのでとりあえず落札。
そこから、ちまちまと主要パーツを手に入れていったら、2023年末でほぼ1台分パーツが揃い、組み立て開始。

コンロッドにガタもなくプライマリーカバー内もきれい。
おそらく転倒したであろう、カバーの傷が唯一の欠点。

クランクケースはフレームに合わせて、エンジン形式の同じものを。

当初はあまり気にせず組もうかと思って陸運局に相談したら、車検証上は形式に『改』の文字が付くと。
任意保険なども入れないことがある、高くなることもあるというので、フレームと同じ型式のエンジンを探すことに。

幸い左側に転倒痕のあるが、走行距離も多くない07クランクケースを入手。

シリンダー内はクロスハッチも残っていて程度がよい。

腰上は、09の走行距離6000キロほどのものを入手。

年明け2月から、宅内で組み立て開始。
ピストンリングはハメ合い隙間も問題なし。

ピストンをコンロッドに付けてからシリンダーをつけるのがマニュアル通りだけど、スタッドの隙間からリングを押さえるのは困難と判断して、先にピストンリングを組んでからピストンピンを付けることに。

リング付きピストンをシリンダーに入れる時もピストンサークリップを付ける時も、専用工具はなかったので、四角い割り箸で押し込んで入れました。

コンロッドがクランクケースに強く当たらないよう注意して扱う。

フロントバンクからシリンダーを組んだのは失敗。狭くてリアバンクの取り付けが少しだけやりづらかった。

まだギリギリ1人で持ち上げられなくもない重さ。

前後ともシリンダーを組み上げひと段落。
これでクランクケース内にゴミが入るのも極力抑えられるので、作業後はポリ袋で覆って定位置に保管。

エキゾーストガスケット、付いている時はどうやって外すのか疑問だったけど、マイナスドライバーを打ち込んでこじればスルッと外れます。この時のガスケットは内側がすり鉢上になっているタイプ。

海外から取り寄せたガスケットセットに入っているのはパイプ状で長さも短め。きっと元々付いていたタイプの方が密着度は高そうだけど、組み立ていく段階で短いタイプで正解だったと気がついた。長いテーパータイプでは、とにかくエキパイをつけるのが大変、とても入るようには思えず、途中であきらめて短いタイプにしたらすんなりと入った。

クラッチハブもクラッチ版ももちろん中古。段付きもなく程度は良好。

クラッチは専用工具を安い中華品で試してみたら問題なく使えた。これだけのことなのに専用工具がないと付けれないのは痛い。

コイルももちろん中古。焼き付きのないものが手に入ったのでそれで組む。
ここまで組むとさすがに1人で持ち上げるのは無理。段ボールを下に敷いて押したり引いたりして移動。

1本だけスタッド折れ
バーナーで熱してもびくともしない
溶接機使えると整備の幅が広がるだろうなと思う

シリンダーへッドは、エキゾーストスタッドが1本折れてしまって取れなかったので、紹介してもらったプロにナットを溶接して外してもらいました。

シートリングはカーボンがついてるけど、漏れるほどではなかったのですり合わせのみ。
やり過ぎてもシートを痛めてしまうし、当たりが広くなるので適度に。

バルブ周りは分解前でも漏れはなかったけど、変わったバルブ外しの工具を手に入れたので外してみた。
IN側ポートのカーボン固着が酷いのでカーボン落としてバルブ擦り合わせもしておく。

バルブステムはシールが固着していたので剥がして周りを真鍮ブラシで傷をつけないように軽くブラッシング。

新しいステムシールは、Cometic製の形も色も違うもの。新品はスッと入るのが気持ちいい。

バルブ取り外しに使う変わったタイプのコンプレッサー。軸にのみ接するので曲がったりしなくてよいかなと思ったけど、普通のタイプの方が多分楽。

コッターピンは、ぎりぎりスプリングを縮められる所でカチッと入ったのでまずはOK。ピンの合わせ目は進行方向に。

カムを組むにあたって、本来ならば、カムシャフトはエンジン側で組むのがマニュアルでの指示。
カムポジと一緒になった2番カムを取り外したくなかったので、合わせ目はマークを裏側にペンで印をつけて、カムカバー側で合わせて組む。
圧縮上死点は前後2回少しズレてあるので、クランクのマークを見ながら合わせてカムシャフト付きのカバーをそっとはめると、ここも、すっと入る。多分ズレはないだろうと思いOK。

それでもやっぱり、カムカバーからカムシャフトを外して組んだ方がいいと思います。

油圧タペットにはオイル経路の穴が開いている。ただ、マニュアルにはどっち向きとの記載はない。ネットで色々調べたけど向きは関係ないが、4本とも同じ向きでというような情報が。
パーツリストを見ながら、オイル経路は車体外側に向けて開いていたので全部外側に向けてセット。オイル漬けにしてエア抜きをしてから取り付けです。

OHVはチェーンがないので組み付けが楽ちん。クランクから組んだことがあるのはSR500だけだけど、それよりも数段楽でした。

シリンダーヘッドを締めるボルトは規定値で締めたあと90度増し締め。


再び、クランクを上死点に合わせてシリンダーヘッドを組む。
油圧タペットのせいもあり、ムニュっした感触でヘッドが収まるのは気持ち悪い。
ボルトを規定トルクで締め、新品のカバーガスケットを入れる。

ヘッドカバーは薄いファイバーガスケットを入れてからボルトを締める。

セルスターターのガスケットは、オイルポンプのガスケットも国内では1枚づつ販売されておらずスペアが山ほどになりました。

セルスターターを留めるボルトは、ギアの位置をうまく合わせると隙間からスッと入ります。
ギア部分にはグリスをたっぷり塗ってプライマリーカバーを締めます。

エンジン単体は完成したので、FIを付けようと思ったら、後期型はフランジの形が違うようです。調べてみたらXR1200用が同部品ということがわかり、出品されていた中古品を運よく入手。確かにこのほうがレンチがかけやすい。

エンジンはこれでOK、車体を組み始める。
スイングアームピボットシャフトは、後期だと肉抜きが少なくなっている。前期の軽量なものの方がいいとは思いつつ、ねじれ対策でクロモリシャフトが販売されているくらいなので、太い後期のものを使用。

ステアリングステムベアリングは特殊な形状。インナーが高くなっており入手するのも大変。打ち込みする時は、元々ついていたベアリングをバラしてアウターのみ使って直接叩かないように打ち込みをしました。
純正ベアリングは、クリップを外すと分解できるのでアウターだけ打ち込み用に使うと便利。

よく見るとアイソレーター取り付け部の穴はセンターから少しズレている。
わざとなのか適当なのか、アメリカンクオリティ。

フロントアイソレーター取り付け部のシム?もついでに新品に交換。

この段階では、安定するようにジャッキは縦置きで

ここまでエンジンを組んだら、さすがに宅内での作業は難しいので、2人がかりで外に出して組み立て。重いけど大人2人なら余裕。
ジャッキをエンジン下に置いてスイングアームを取り付け。

リア周りのオイルラインを取り付けるには、リアサイレンサーステーを通さないといけないのでジャッキをこの向きでしかかけられない。

フレームはエンジンに載せる感じで組まれているのがビューエルXBの特徴。リアホイールを仮留めしてエンジンをタイダウンベルトで脚立に吊るして、転倒防止。
この状態で数時間出かけなくてはならなくなったので。

配線がスプロケに当たらないように分けるための黒い箱状のパーツは後入れは難しいです。

この段階で、オイルラインを取り付け。
けっこうタイトな配置で細かいところです。
オイルラインを取り付ける前に、このコネクタ群の奥にあるプラスチックの黒いプレートを付けないと大変です。

今回は書類上、XB12Scgということになっていますが、04メインハーネスとフロント周りはRのもので組むことにしていたので、ヘッド周辺のメインハーネスの処理をきっちりと行う。
左右どちらにハンドルをきっても当たらないように調整。

メインハーネスでは、1本だけ不明の端子が。配線図をみる限り、多分サイドスタンドスイッチ。これを放置したことで、あとで無駄な苦労をすることに。

燃料ポンプは初期型だったので、アースの配線とかパイプの接続が少し面倒。新品ポンプを組んでエンジンをかけた時の音は、別の車体よりも静かなくらいで問題なし。
燃料レベルセンサーの取り付けが、取り寄せたTwinMotorさんからの説明書では違う。元のアースはボディアースだから使わずに直で繋げと。理にかなっているとは思いますが、わざわざ変えるのは不安に思いながら指定通り組む。

エキパイガスケットは、初期タイプはただの円柱状で薄め。後期はテーパーで厚い。
どっちがいいかは後期なんでしょうが、組みやすさは断然前期。

フレームを載せる前に、やらなくてはいけない大事なこと、エキパイの取り付け。
ピカピカに磨いてもらったので、汚さないよう傷をつけないよう慎重に取り付け。
O2センサーの締め付けトルクにビビる。
ジェネレーターコイルなんかの異常な規定トルクに比べたら大したことないけど、ここをこんなに強く締める?

もう1箇所、実はフレームを組んでから失敗したところがあります。
リアアイソレーターに取り付けるタイバー。これをつけ忘れて、一度組んだフレームを下ろして付け直しています。エンジンを下さなくてもできるかもしれないけど、狭くて断念しました。

エキパイは、大阪の平山研磨工業さんでビカビカにポリッシュかけてもらったので、火入れまではラップで保護。

フレームを載せたところ。
アイソレーターを仮留めして、フロントフォークを組んで安定させる。
エンジン前、後、上の3箇所タイバーを組んで固定。

この変形L字プレートがないものがないと大変。
あとレギュレーターの固定ボルトが埋め込まれているタイプと普通にボルトで留めるタイプあり。

細かいところだけど、オイルクーラーとVフレームを留めるステー
まっすぐでねじれたような形状のタイプは後期型、こっちは前期型。どっちがいいかわからないけど、中古のVフレームには付属していないことが多いので要注意です。

初期のワイドではないフレームにロングスイングアームを取り付けると、シート下のトレイにリアショックが当たるため、加工。内側は見栄えが悪いけどがっちりと作りました。合わせて、バッテリートレイもカットして曲げ加工をして少し後ろに移動。

実はここにはこだわりがあって、後期ワイドフレームの形状が好みではない。エアクリカバーからフレームへカーブが後期はなんか形状が美しくないと思い、あえて黒のナロータイプのフレームで組んでいます。ガソリン容量が多いメリットはありますけど。

また、ロングスイングアームでの車体コントロールのしやすさが気に入っているので、あえてSSやSTT、ユリシーズのロングタイプにしています。
Rのテールだけ好みではないので、シート自由度の高いSのテールとの組み合わせています。

パッと見で、純正かと思える程度のカスタムが好きなので、見た目はあまりイジりすぎないよう。いや車種不明なくらいイジってるけど純正パーツで組み替えてるだけです。

組み上がると、ギチギチなSと違いバッテリー後ろがスカスカで工具やらパンク修理キット位は入りそう。へたしたら財布や予備のモバイルバッテリーも入るのでは?

皺もできてて不恰好。。

一応、見える側はカーボン風シートを貼って見た目をごまかしています。カーボンシートが足りなかっただけです。

07だけなぜかTPSのピンの位置が違う

ここまで組んで、エンジンを初始動。
かかるけどアクセルを開けるとストール。何回やってもダメ。

EcmDroidを接続して、エラーを確認。
TPS Too short?

よくわからないけどTPSがおかしいのは分かったので取り外す。
外してみたら、ピンの向きがあってない。FIをバラして掃除した時に組み間違えたかな。ここから、エンジンを半下ろししてFIを組み直す?めんどくさい。。

予備のTPSを引っ張り出して比べてみたら、??
TPSのピンが引っかかる位置が違う。
90度ちょっとずれている。

ここで、ネット検索。
なんと、FIがこの年式だけ違う。。
07のFIだけ違うと。なんでそんなこと。。

とりあえず断線しかけている予備のTPSがどうも07用だと思うので、収縮チューブなどで補強して接続し直し。

無事にエンジン始動。
吹け上がりは問題ないけど、アイドリングが不安定。走り出すとエンジン失火。

原因がわからないので色々試すも不安定。

ここで、全開抑制装置付きのスロットルの動きがよくないことに気がつき、全開抑制装置のないタイプのスロットルボディを入手。
アクセルを回した時の回転はスムーズになって落ち着いたけど、やっぱりアイドリングは安定しない。

二次エアの吸い込みが起きているようで、ファンネルを覗くと火花がたまに見える。うーん、インマニのシールがちゃんと入ってなさそう。

予備で保管してる他のインマニシールを見たらヘッドとの当たり側に段付きで密閉度が高そうなので、交換してみることに。

リチウムグリスをたっぷり塗って取り付け開始。段付きのせいもあってなかなかキツめ。スロットルボディを回転させながらなんとか取り付け完了。
おかげで、エンジン下さなくてもスロットルボディの交換は余裕でできるようになりました。

交換したら二次エアの吸い込みはなくなってバックファイアは落ちついた。ただ、やっぱりアイドリングは不安定。

プラグは新品だけど、互換品のNGKの端子一体型 DCPR8E。
外してみると真っ黒。
もしかしてと思い、ハーレー純正の10R12Aに交換。
ビンゴ!
アイドリングが急に落ち着いた。プラグでこんなにアイドリングの調子が変わるとは。

次の問題は、ギアを入れて走り出そうとすると失火する症状。
もしかしてカムを組む時に1コマとか間違えて組んだのかなと。
いやそしたらギア入れなくてもエンジン始動しただけで異常が出るはず。
サイドスタンドスイッチ!付いていなかったので、そのままにしてたけど、ちょうど壊れたリアブレーキスイッチが余っていたので、コネクタを再利用して短絡させてみたらこれまたビンゴ!

いやー、びっくりするくらいエンジンが調子よくなりました。

今回ほぼ0から組み立て身についた教訓は、純正プラグは大事!
余った配線は捨てない、そして未接続の配線があってはダメ。
エンジン下さなくていけない箇所は、何度も確認してから汲み上げること。

Sのキー周りにアルミのカバーを作って付けたい

これでまずは完成。
ハンドル周りの処理をして、カウルをつけたら仮ナンバー取って車検に。
ここから先は通常の整備の範囲なので無理なくのんびり組みます。

最初は簡単に組めるかと思いきや、年式によるパーツの互換性の無さに苦労しました。特に2007のスロットルボディは異常。
ただ、車体自体組むのは難易度かなり低めです。カムチェーンないし、アンダーフレームないし、軽いし。

もう一点、ECMのマップはどれが正解かわからない。こればっかりは素人には何をいじったらどう変わるのか。
逆に調子悪くなるので、ストックのマップと信頼できるレースマップのみ使った方が街乗りには安心です。ファームは、BUEIBあたりが一番よさそうですが、日本で手に入りやすいのはBUEGB。

サイレンサーは色々と試したけど、結局純正がトルクも音量も一番気持ちいい。
レース管 見た目と音質はベスト、ただうるさすぎてトルクも薄い。
純正スラッシュカット 見た目は純正の中では一番、音は小さめだけどトルクもあって気持ちいい。

エンジンほぼバラバラから組んだけど、結局ボルト類やガスケットなどの消耗品と、めったに使わないような巨大なソケットとか、そんなのに一番コストがかかった。

車検取得直前

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