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いま3Dプリンターで何つくってますか?

ここ最近、3Dプリンター界隈で、なんだか不穏な雰囲気を感じております。

情報をまとめないといけないと思いまして、最近ウォッチしている情報を書きます。ちなみに私は3Dプリンター歴2年というビギナーで、ものづくり業界に昔からいるような人間でもないです。法令についても触れていますが、ここ数日で、自身の法律知識の著しい欠如を自覚しましたので、解釈等に自信がありませんが、自戒の念を込めて書いていきます。なので、この記事を読まれた方、あくまでご参考程度になさって下さい。

▽誰のための3Dプリントですか?▽

みなさん、仕事の調子はいかがでしょうか?量は減りましたか?在宅ワークできていますか?3Dプリント捗ってますか?

最近、有名芸能人の方も3Dプリンターを買ったなどの話を聞きます。きっとこれから、有名人のフォロワー、そのフォロワーの友達、いろんな方が「3Dプリンター面白そう!買ってみようかな?」と(かつての僕のように)思うことが予想されます。確かに、3Dプリンターは、最強のDIYツールです。強い力を持つテクノロジーなんですね。ここで注意しないといけないのが、テクノロジーは、人を救うと同時に、人の人生を奪う可能性もあるということです

例えばなんですが、

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これは先日、私が設計したコートラックのジョイントです。コートラック自体、ベッドの真横にあります。もし、これが壊れて、僕の頭上に大量のハンガーが落ちてきて、怪我をしたり、目に入って最悪失明したとしても、自己責任ですみますが、これがプレゼントされたものなら問題アリですよね。前者では製造者と使用者が一致しており、後者は一致していないということです。つまり

自分のためにつくるものと、誰かのためにつくるものでは、”製造者が負う責任の質が全く違う”ということを意識しないといけません。

個人でDIYを楽しむために3Dプリンターを使っていた方も多いかと思いますが、現在、コロナウイルス対策として、3Dプリンターを活用したプロダクトが無償で提供されている事例を、世界中で見かけるようになりました。こういった有事に素早く対応できるのが、3Dプリンターをはじめとするデジタルファブリケーションツールだといって良いでしょう。日本でもこのような動きがみられるようになってきました。そこで、もしかしたらなんですが、

今後、3Dプリンターユーザー(の中でも設計技術者)は、自分のためではなく、誰かのためにものづくりをする可能性が急速に高まってきていると考えています。

だからこそ、各人が客観的に正しい認識を持って、ものづくりを行わなければならないということを、自戒の念を込めて書いていきます。

とはいえ、法的なことを自分でどこまで理解しているのか、誰かと共有したことがなくてですね、本当に自信がないのです。なので、せめて自分がウォッチしている情報を載せていきます。

▽海外でのコロナウイルス対策事例▽

まずは海外ではどんな活動が行われているのでしょうか?

フェイスシールド、人工呼吸器、接触機会を減らすもの、マスクなどが設計されているようですね。ここで一度考えないといけないのは、モノには必ずカテゴリーがあり、その製造には、法や規程があるということです。上記はあくまで海外の事例であり、企業単位で提供しているものに関しては、その国に合った製造方法で作られていると考えられます。ということは、日本において、これらのようなものを簡単に提供できるのかどうかは、わかりませんよね。

▽チェックしておきたい法令▽

では、いま一度確認しておきたい法令をここに載せます。

・製造物責任法(PL法)
原文自体短いですし、一読をお勧めします。

・権利侵害
既に市場にある商品で、メーカーがいくら販売不可能な状態に陥っているとしても、それの代替品などを提供しても良いのか、権利侵害にあたらないのか気になったりします。

・薬機法(元・薬事法)
提供しようとしている品(例えばマスクや人工呼吸器)が、一体どのようなカテゴリーに当たるのか、知っておかないといけません。医療機器なのか、福祉機器なのか、健康機器なのか、雑品なのか、それにはどのようなライセンスが必要で、どのような条件でつくられているのかなど。

▽チェックしておきたい資料▽

・総務省ファブ社会推進戦略
下記資料のなかでも、特に製造物責任に関する部分は読んでおいてもいいと思います。

・総務省ファブ社会推進戦略(概要)
 上記資料の概要版

・FabSaveHub関連の活動にて、使われていた資料
今後も個人的に、この活動には注目すべきだと思っております。

▽チェックしておきたい用語▽

・個人防護具(PPE)

・医療器具

・福祉用具

・健康器具

・雑品
雑品に関しては、資料を選びづらかったので、選んでませんが、どうやら雑品というのは、例えば不織布マスクのようなもので、誰でも簡単に買える風邪予防商品みたいなものらしいです。ですが、”マスク”というカテゴリーですと、手術室とかで使われる、”医療機器としてのマスク”もあれば、先ほど書いたように、不織布マスクのような”雑品としてのマスク”の二種類があるようですね。

▽個人的にウォッチしている活動▽

なんというか、自分で調べていても頭痛くなってくるし、答えが出ません。なので、賢人の意見を参考に考えようと思い、いろいろな活動をウォッチしています。

・Fab Safe wiki
NODE MEDICAL ,Inc.の代表である吉岡純希さん(TwitterID:@Junky_Inc
)が中心となってこの活動をされています。こちらは週一回のオンライン勉強会や、デジタルファブリケーションを活用した、コロナウイルスの対策支援などを計画されております。

・PAND AID
「本当に3Dプリンターでマスクやフェイスシールドをつくる必要があるのか?」と頭をよぎった時に見つけたサイトです。ユーモアが効いていて、特にフェイスシールドつくり方とかは参考になりそうです。

・Fabble
自分でFabったものを記録したり、共有するためのサイトです。

・mixiの3Dプリンターグループ(の中の新型コロナウイルス関連スレッド)
過疎ってしまったmixiのスレッドです。一人の方がずっと世界中の情報を提供し続けてくださっております。(イイネボタン押してるの僕だけ…)

・大阪大学の中島教授が設計された、フェイスシールドを医療機関に送る試み

3D PRINT FACE SHIELD大阪大学 中島教授の3Dプリントフェイスシールドの活動コミュニティです。 3Dデータなど、詳細は下記よりお願いいたしますwww.facebook.com

もしこの記事を見てくださっている3Dプリンター賢人のみなさま、これらのページに飛んでみてください。だいたい知りたい情報が載っていると思いますので、一見の価値ありです。

▽結論:これからどするか?▽


専門家や有識者が出す結論を待つ

という姿勢で、僕はやっていこうと思います。自分には客観的に正しい知識が欠如していることを確信したので、誰かに結論出してもらわないと、自信がないです。幸運なことに、FabSafeHubのように、わたしのような何も知らない3Dプリンターユーザーにも伝わる活動をしてくださっている団体もいます。僕はFabSafeHubをこれからも追います。

ここ最近で本当に思うのは、賢人の知恵の骨太さでした。しかも、その骨太賢人たちはこぞって古参でした。3Dプリンターの歴史をググれば分かりますが、Reprapというオープンソースハーウェアの文化が活動の背景にあります。あと、Fablabなど、組織立ってネットワークが形成されているのが特徴です。

それで、いまそのネットワークから賢人の方たちが動いているような印象です。もともとは開発者サイド、つまり研究者の方もいらっしゃって、今回調べていくと、FabSafeHub活動の中心である吉岡さんも、日本でFablabを立ち上げた慶應SFC教授である田中浩也先生と関係のある方のようです。

2014年ごろが、家庭向け3Dプリンター元年らしいので、一般ユーザーが触り始めて5,6年といったところでしょうか。この技術を、3Dプリンター以前の産業とすり合わせるには、まだまだ議論が必要ですし、それをユーザーにどう周知するかも重要ってことですね。

▽まあでも、それぞれがつくり続けたらいいんじゃない?▽

この記事を読んでみて、おそらく「わたし素人だし、黙った方がいいかもしれない…」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?こんな記事を書きましたが、基本的には、つくるのってやめられないし、つくり続けた方がいいとは思います。つくっているものを共有して、インターネットというネットワークの中で、プロも素人も混ざって改良していくことが重要だし、それは尊い行為だと思っています。それに、つくること=考えることだとも思います。

今回の僕みたいに、きっと不穏な空気を読み取って何か行動を起こす方はいらっしゃるでしょう。それによって、全体のバランスが取れたらいいなあと思っている次第です。幸運にも、ぼくがウォッチしている限り、影響力のありそうな方というのは善意ある賢人ばかりです。なので、なにか問題が起こりそうでも、きっとバランスが取れるようにできている気がします。では、よき3Dプリンターライフを。

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