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2021年7月3日静岡県熱海市での土石流災害について(第6報) 7/6現地踏査雑感

 7月6日に、熱海市伊豆山地区を現地踏査しました。ただし、捜索活動のさなかであり立ち入りが規制されており、土石流が流れた範囲にはほとんど近づくことができません。よく誤解がありますが、私は災害時に何ら特殊な権限を持っているわけではないので、一般の人が入れないところには私も入れません。入ることができる範囲からの現地踏査です。

 最初の写真はこのあたりから撮影。

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 広く出回っている土石流が流下する動画は、ここから北側約300m付近の対岸側から撮影されたものです。写真中央付近に土石流が流下した箇所が茶色く見えます。距離があるためもありますが、比較的規模の大きな土石流ですが、直接的な被害を受けた範囲は限定的であることがわかります。これはなにも今回に固有の話ではなく、土石流災害ではしばしば見られることです。

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 次の写真は先ほどの地点から少し上に上ったところから。ここからも土石流が流下した場所はよく見えませんが、北側に土石流が流下した渓流沿いの集落最上流部が少し見えます。写真中央に3軒の家屋が並び、上流側の1軒は傾いています。この3軒は付近の谷底部からは10mほど高いところにあり流失は免れていますが、谷底近くにあった1軒は流失しています。

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 伊豆山地区は全体がたしかにかなりの急勾配です。この地点付近で道路面の勾配を計測してみたところ10度ほどでした。個人的には、徒歩で行き来するのがかなりきつかったです。マスクをつけているとなおさらのことです。

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 更に上流に行くと土石流が流下した部分が少し見通せました。谷底の流路は損壊されず残っているように見えます。右の青い屋根の家屋の手前側、流路の脇付近に住家かどうかわからない家屋が1軒あったはずですが、痕跡もなく流失しています。それより手前でここから見えている範囲は元々家屋はなかったようです。ただし、手前側に隠れて見えない範囲や右側には団地状に10軒の家屋がありましたが、すべて流失しています。

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 ほぼ同じ場所から、先ほど遠景で見た3軒です。上流側の1軒はストリートビューで見ると2階建てだったようですから、2階部分だけが形を残しているようです。その手前谷底付近にあった1軒は痕跡もなく流失のようです。

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 こちらは下流側の逢初橋付近。ここはメディアでも繰り返し中継されているところです。当初は橋自体が土砂に埋もれる状況だったようです。ここでは橋の左側にあった3棟が倒壊しています。その奥の家屋が傾いていますが、その左手は元々駐車場で、家屋が流失した跡ではありません。傾いている家屋は元々2階建てで、1階が土砂に埋まっている状況と思われます。傾いている家屋は直後には2軒あったと思うのですが、右側は救助の過程で撤去が進んだのかもしれません。また、中央の3階建て家屋の2軒左側にも1軒家屋があったはずですが、それは流失しています。3階建て家屋の前は河原のようですが、ここは道です。[7/7加筆修正]

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 樹木に覆われて空撮ではよく見えなかった、逢初橋の下流側です。水が勢いよく流れ、土砂が堆積していますが、川を埋めるほどではなさそうです。また、逢初橋より下流側では、流失した家屋はなかったように思われました。

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 この場所に特段の意味はありませんが、逢初橋から熱海駅方向に国道135号を500mほど来たところです。通行できないのだから当たり前ですが車はほとんどなく、人気もありません。ただ、マンションなどの屋内には人がいることが窺えます。

 今回移動した範囲では、伊豆山地区以外の熱海市内では特段の風水害被害の痕跡はありませんし、店舗も一部ですが営業していました。熱海駅では普通に人々が行き来しています。ただし、「市内全域に警戒レベル5緊急安全確保がでているから」とのことで、バスは市内全線運休でした。その掲示を撮影し忘れました。6日午後時点でも熱海市には土砂災害警戒情報が出続けているのだから、の判断かもしれませんが、緊急安全確保はこういう形で使うものだっただろうか、という気はしました。


記事を読んでいただきありがとうございます。サポートいただけた際には、災害に関わる調査研究の費用に充てたいと思います。