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令和6(2024)年能登半島地震 1/1~2のメモ

 2024年1月1日16時10分頃、石川県能登地方を震源とするM7.6の地震が発生し、気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名しました。以下、経時的にポストした内容を一部加筆修正しメモとして記録しておきます。冒頭の図は気象庁「令和6年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震について」(第一報)より。


発災直後 潮位計データを見つつ

輪島では引き波なしにいきなり押し波がきたように見える
posted at 16:43:16

気象庁ホームページより

珠洲、輪島[地理院]の潮位計はデータが入電しなくなっているのではないかな。輪島港[港湾局]はデータは入っているけど、観測値が何か変な感じがする。何かのトラブルが起きているのかもしれない。だから「1.2m以上」という観測値が報じられているのかな。
posted at 17:21:56

大津波警報の「色」

あらためて大津波警報の表示を見ると、紫が少し明るいんだな。標準色はRGB:200,0,255なので、警戒レベル4(避難指示)のや土砂警の標準色(RGB:170,0,170)より明るい→ 気象庁ホームページにおける気象情報の色合いの統一について 
posted at 18:08:21
※設定指針の5ページあたり。いまだに「気象情報の色を統一しろ、こういう色使いがいい」とかって「提言」する「識者」には、気象庁さん「丁寧に説明」していただきたいです。

23時過ぎの震度7の情報は何らかのエラーの可能性か。こういうときには本当にいろいろなことが起きることを再認識させられる。
posted at 23:20:03

金沢市田上本町の宅地斜面崩壊

金沢市で宅地が崩壊して家屋3箇所ほどが倒壊した場所はここですね。大規模造成盛土としては表記されていませんが(重ねるハザードマップより)、1970年代に丘陵地を宅地造成したところで(地理院地図より)、何らかの地形改変が行われたところではあるかもしれません。

重ねるハザードマップ 大規模造成盛土を表示。中心の+が被災箇所
同地点の地理院地図 1960年代(左)と1970年代(右)の空中写真


珠洲市宝立町鵜飼地区の津波被害

毎日の空撮で津波被害があったとみられる集落は珠洲市宝立町鵜飼地区。写真手前で多くの家屋が流失したように見えるが、元々建物がなかったところが多く、流された建物も非住家が中心の模様。無論たいしたことがないとわけではなく、地震による建物被害も多かった模様。

鵜飼地区についての朝日の記事。地震による建物被害が厳しかったことが報じられている。

毎日の空撮では、津波の浸水域がどこまでかはよく分からないけど、目立った被害があったところは津波浸水想定区域内。想定浸水深が深いところで被害が目立っているように思われる。「相対的に低いところマップ」なんだから当然といえば当然ですが。

重ねるハザードマップより

能登町白丸地区の津波被害

下記の動画の被災箇所は能登町白丸地区と思われる。

さらに15時40分頃NHKも空撮を放送。いつまで残るかわかりませんが埋め込んでおきます。

これら動画を元に流失家屋を判読。下図範囲内の家屋被害は概ね判読できたかと思われる。住家だけで9箇所程度が津波により流失または火災により焼失と思われる。標高3m以下で流失が見られるが、同様な標高でもすべて流失しているわけではない。また、完全に倒壊とまでは判読できないが、揺れによりかなり変形してと思われる家屋も複数見られた。
なお、この地震により地殻変動が生じ、能登半島北部を中心に隆起・沈降が見られることが国土地理院より報告されているが、下図の標高は隆起・沈降を考慮していない。

動画から判読した能登町白丸地区の家屋流失・焼失箇所

なお、この地震により地殻変動が生じ、能登半島北部を中心に隆起・沈降が見られることが国土地理院より報告されているが、この図の標高は隆起・沈降を考慮していない。この付近は若干の沈降が見られているようだが、1mにも達するような規模では無さそうである。

令和6年能登半島地震(2024年1月1日)に伴う地殻変動(2024年1月2日12:15発表、同日20:45更新)
https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/20240101noto.html
令和6年能登半島地震に伴う地殻変動(第2報)
https://www.gsi.go.jp/chibankansi/chikakukansi_20240101noto_2.html

死者数が熊本地震を超える可能性

残念ながら、令和6(2024)年能登半島地震による死者数は2日15時半時点で48人と報じられ、平成28(2016)年熊本地震の規模を超え、東日本大震災以降で最多となる可能性が出てきました。熊本地震の死者は二百数十人とよくいわれますがその多くは関連死で、直接死者数は50人です。

牛山素行・横幕早季・杉村晃一:平成28年熊本地震による人的被害の特徴,自然災害科学,Vol.35,No.3,pp.203-215,2016 https://www.jsnds.org/ssk/ssk_35_3_203.pdf

理科年表を参照すると、東日本大震災以前の地震・津波災害で直接死者・行方不明者50人以上の事例は1950年代以降だと、1995年阪神・淡路大震災の約5500人、1993年北海道南西沖地震230人、1983年日本海中部地震104人、1968年十勝沖地震52人、1960年チリ地震津波142人とかなり限定的です。

珠洲市宝立町鵜飼地区の津波被害・続

国際航業から空中写真が公開されました。

これを参照し、珠洲市鵜飼付近で津波により流失したとみられる建物を判読しました。海岸付近には元々住家は少なく、流失した建物も非住家が多いですが、住家の可能性がある建物も少なからず流失していました。毎日の空撮から見たとき思っていたよりも住家被害が多かった印象です。ざっと見ただけではなかなか分からないものだと、非力さを感じます。

空中写真から判読した珠洲市鵜飼地区の流失家屋

この地区では(でも)地震の揺れにより倒壊したとみられる家屋がかなり見られました。この図では元の位置から移動した(流失)と見られる建物のみ表記しており、移動せず倒壊したとみられる建物は示していません。もっとも、流失なのか倒壊なのか、判断に迷うケースもいくつかありました。

なお、この図でも隆起・沈降は考慮していない。この付近も能登町白丸と同様に若干の沈降が見られているようだが、1mにも達するような規模では無さそうである。

記事を読んでいただきありがとうございます。サポートいただけた際には、災害に関わる調査研究の費用に充てたいと思います。