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2021年7月3日静岡県熱海市での土石流災害について(第3報) 流失・倒壊家屋

 熱海市伊豆山地区での土石流災害では、土石流によりかなりの数の家屋が流失・倒壊したと見られます。土砂が流入するだけでも人的被害が生じることは少なくありませんが、流失・倒壊すると屋内にいた人に人的被害が生じる危険性はかなりあると考えられます。

 なおここでいう「流失・倒壊」とは、家屋が完全に破砕されている、家屋の形状はとどめているが別の場所に流されている、外観上明らかに大きく変形しているなどの大きな破壊が加わったとみられる家屋を指します。災害の統計で言う「全壊」ではありません。ちなみに「全壊」は、外観上目立った損壊がみられなくても激しい浸水に見舞われるなどすれば「全壊」と判定されることがあります。したがって、本報告で言う「流失・倒壊」はかなり限定的、というか、かなり厳しめに判読したものと捉えてください。

 情報源としてはまず7月3日の朝日新聞による動画です。

 もうひとつは、4日朝にテレビ朝日が撮影したらしいドローンの画像です。こちらはいずれ消えてしまうと思いますが。

 これらの動画と、現地の地図を見合わせて、流失・倒壊したと思われる家屋を読み取りました。同一世帯で母屋と納屋と思われる場合は1箇所と数えました。また、物置のような,住家ではないと思われる建物は除きました。急いで読んでいますので、見間違いなどがある可能性があります。あくまでも暫定的な読み取りです。

 読み取り結果を図に示すと以下のようになりました。少なくとも36箇所が読み取れました。一番上流側が動画で見えませんでしたし、まだ数は増えるのではないかと思います。

スクリーンショット 2021-07-04 114145

 同じ位置を陰影起伏図に重ねると次のようになります。土石流が谷筋に沿って流下し、谷筋にあった家屋が大きく損壊した状況だったのかと思います。

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 さらにこの位置を、重ねるハザードマップで表示してみました。ハザード情報としてはあえて「土砂災害警戒区域(土石流)」だけを表示しています。「土砂災害警戒区域(土石流)」の範囲に明らかにあてはまっています。土石流がまさに地形に沿って流下して家屋に大きな被害を与えたのだろうという印象が持たれます。

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 あくまでも、現時点で得られる情報からの限定的な読み取りです。それでもこれだけの流失・倒壊家屋があったという事は、かなり被害規模が大きかった可能性が感じられます。いずれ空中写真(垂直写真)が出てくるでしょうし、可能ならば現地踏査をするともう少し情報が得られるかもしれません。


記事を読んでいただきありがとうございます。サポートいただけた際には、災害に関わる調査研究の費用に充てたいと思います。