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2021年7月3日静岡県熱海市での土石流災害について(第1報) 3日15時時点の概況

 2021年7月3日昼前、静岡県熱海市伊豆山で、比較的規模の大きな土砂災害が発生しました。同日15時時点で得られて情報を元にメモとしてまとめます。

 この土砂災害をもたらした状況は、いくつかの動画で撮影されていました。下記のツイートの動画を参照しました。

 土砂、泥水、流木等が混ざり合って流下していることなどから、土石流と考えていいのではないかと思います。このあたりは細かくはいろいろな考え方があると思います。特に行政的には、土砂災害をもたらす土砂移動現象は、土石流がけ崩れ地すべりの3種に大別されます。この中でいずれが該当するかとみれば、土石流と言っていいだろうと思います。

 この動画が撮影された地点はこの付近であろうと推定されました。

 土石流が流下した渓流と道路の交差部付近の上流側を地形図上で計測すると勾配は約20度程度と思われます。土石流が流下しうる勾配と言っていいでしょう。動画から、土石流先端部の移動速度をざっくり計測しますと、秒速12m程度、時速40km強と考えられました。これも過去の土石流でよく見られる範囲のもの手、特に速いあるいは遅いというものでもないように思います。

 この場所を重ねるハザードマップで見ると下記のようになります。

 土石流の流下した範囲はまだよく分かりませんが、いくつかの映像から見ると少なくとも下流側の国道135号付近までは到達しているようです。上流域のことが全くわかりませんが、少なくとも1km以上は流れていると見てよいでしょう。これも土石流としては一般的に見られる規模かと思います。この付近は、土砂災害警戒区域となっています。

 また、地形分類では、山麓堆積地形と分類され、土石流などがくりかえし流出して形成された地形であるとわかります。やはり地形的に土石流が起こりうる場所で発生したと考えてよいのではないかと思います。

 なお、土石流などの土砂移動現象の細かなメカニズムは専門ではないので詳しい言及はできません。また、発生メカニズムについて今後詳しく調査する意図もありません。

 さしあたりこれで第一報とします。また、以降の記事は下記マガジンにまとめていく予定です。


記事を読んでいただきありがとうございます。サポートいただけた際には、災害に関わる調査研究の費用に充てたいと思います。