もし、誰も傷つけずに生きていいっていわれたら輸入雑貨で部屋を飾ろう

起きて半畳　寝て一畳　飯は食っても二合半
所詮　人間そんなもの

そのように花の慶次に教えられて生きてきた。
そうだよな、あとはタバコかましてパチンコ打ってエロ動画のサンプル漁って缶コーヒーとデカビタ飲んでごつ盛り食ってスマホアプリのログインボーナスだけもらって……
所詮　人間そんなもの
と服はボロでも心は錦！の精神で生きてきた節あるけど心もボロになっていることに気付く。
意識高い系ライフスタイルへの反逆(リベリオン)を意識し過ぎるあまり意識低くあろうと常に意識している気がする。
それはまた帰納法的に逆もまた真なり、スター・ウォーズep8的な、意識しすぎるあまりに逆張りを繰り返すことは、命題に対する否定や新しい展開にはなりきらず、より対比した命題の価値やスタンスを明確化しているだけに過ぎないのではないか。
そうなると我が愛しき意識低いライフスタイルはその個としての強度を失ってしまっているような気がするのだ。

要は、俺も結局そろそろ意識高めていく暮らしを目指したいわけ。
きっちり間接照明も置くしカフェで玄米ランチも食うし食器は北欧、家具はバルミューダ、飼う犬もガリガリのイタリアングレイハウンドでヨガもピラティスもジムも自己啓発セミナーも通うし抽象的な表現と用語で何かいい感じの事言ってる風noteも書く。
ライフハック、アウトプット、エスパーダ、邪王炎殺黒龍波。
サマるとこのグランドデザインのスキームにおいて俺個人のマターとしてドラスティックかつASAPでFIXするアジェンダ。そのためにアクションをローンチ。

まずは部屋が馬鹿みたいに汚いもんだから意識が低いという割れ窓理論。
床。謎の紙と衣服とペットボトルを踏みつけながら暮らすのはいけない。たまに何かの抜けたコンセントを踏んでいずれ死んでしまう恐れがある。
書類を片付け、ゴミをまとめて、衣服をたたむ。
すると床が見えてくるという自明の理。
ホコリと愛用している布団からバサバサ出てくる羽毛が散らばりまるで養鶏場の有様。
あ！俺んち掃除機が無ぇ！
そこはさすがデジタル世代の申し子、知る人ぞ知る通販サイトAmazonを使って最安掃除機と服を収めるハンガーラックを購入。
届いてから3日ほどハンガーラックを作るのが嫌になりながらも完成。掃除機もうなりを上げながら我が家の羽毛を吸い込んでいく。

少しずつニワトリの居住区からヒトが住む部屋に近付くと今度はキッチン周りも何とかしたいという欲が出てくる。
ゴミ箱の上にとりあえず置いた炊飯器。
ゴミの上で炊かれた米を食っていることに疑問が湧き始める。これまで気付かなかった盲点。ヒトは学ぶ生き物なのだ。
ニトリでキッチンラックと食器を買い、俺は飯を作るし食う生き物である完全な事実を再認識してまたヒトとして進化を遂げた。

そして実はニトリではもう2つ物を買った。
一つ目はデュフューザー。
ヤニとデカビタの匂いしかしない俺が弾けるようなそして微かにたゆたう甘いオイルの香りに包まれた暮らしを夢見たのだ。
他人はそんな俺を笑うだろうか。
知ったことか。俺はデュフューザーの香りに包まれて暮らすハイパーおしゃれメンなのだから。

そしてもう一つ、鏡を買った。

『もし、この戦いが終わっても生きていいっていわれたら、小さな鏡を一つ買って微笑む練習をしてみよう。』

そうアネモネは言っていた。
俺の意識高い系ライフスタイルとの戦いは、終わった。
そこで俺は鏡を買って、笑顔の練習をするんだ。

『何度も何度も練習しよう、もう一度会うために』

聞こえるよ！俺の声！

鏡の中の俺に向かって微笑んだ俺は、南国育ちで7000枚出た翌日CRエヴァ始まりの福音で40000発を叩き出したあの頃の俺だった。

『生きていたい…！
気付かなきゃよかった、こんな気持ち』

俺の中のアネモネが悔やんでいる。あの頃知ったギャンブルの快楽を。

もう悩むことはない。
パチンコ店全面禁煙。6号機。そして新潟ではパチ屋でコロナが出た。
もう悩むことはないんだ。
あと慶次とかマジ金持ちのボンボンの言うことを真に受ける必要もない。

俺はこれから意識を爆上げしていく。
このnoteこそが俺のコミットメントである。