イシイの食物アレルギー配慮商品へのこだわり
最近はキャベツのお話やだいこんのお話など、お野菜を取り上げることが多かったのですが、今回はイシイの自慢でもある「食物アレルギー配慮商品」についての情報をお届けします。
イシイの食物アレルギー配慮商品「いっしょがいいね」シリーズ
「いっしょがいいね」シリーズは、食物アレルギー特定原材料7品目を使っていません。食物アレルギーがあっても、なくても、いっしょの食卓で家族みなさまで楽しい食事の時間をお過ごしてほしいという願いから食物アレルギー配慮食品「いっしょがいいね」を開発しました。
今日は「いっしょがいいね」シリーズの生産に携わる、藤本さん・釜付さんのお話を聞きながらイシイのこだわりについて紹介させていただきます。
お話ししてくれたのはこのふたり
食物アレルギー対応商品。誕生の後押しは東北の震災
— イシイが「いっしょがいいね」シリーズを開発することになった経緯について、教えてください。
(藤本)大きなきっかけは、2011年にあった東日本大震災なんです。避難所で非常食が配られても、食物アレルギーをお持ちの子どもたちは気軽に食べられるものがなかったというお話を聞きました。そんな子どもたちも気にせず口にできるものが作れないかと考えたのが大きなきっかけです。
震災がきっかけだったとはいえ、イシイは2011年より前から食物アレルギーや卵へ配慮していました。定番のミートボールは、卵や乳を使わないパン粉を特注で用意し使用しています。また、食物アレルギーに配慮したおせちの代表「のぞみ」も、すでにこの頃から販売していました。
(藤本)特に使用する食材数も多いおせち「のぞみ」は、部分的に外注して、他の会社に生産を手伝っていただくこともありました。しかし、食物アレルギーに配慮した食品専用のラインをお持ちかどうか、工場品質の確認など、外注にはいくつもの工程があるため、自社に専用工場を持ちたいという想いは高まっていました。
最終的には、専用工場の企画から設置まで、約一年ほどというスピードで決まっていきました。
— 世の中の情勢やお客様のお声、さまざまな要因が後押しとなったのですね。食物アレルギー配慮だからこその原材料についてのこだわりや工夫はありますか?
(藤本)まず、食物アレルギー検査で合格したものだけを工場に持ち込みます。他の食物アレルギー配慮対応していない商品を作る工場などは立ち寄らず、必ず直接、専用工場に入荷するようにしています。
また、食物アレルギー配慮の商品は「常温で保存できるもの」に仕上げるためのこだわりが詰まっています。食物アレルギーをお持ちのお子さんは、お出かけ先やお弁当など自炊が難しいシーンこそ、お惣菜に頼りたくなると考え、常温で持ち運ぶことを想定しているんです。常温の商品を開発するなら、殺菌時間も変化します。その際、ミンチ肉を使うと中身が赤くなってしまうので、使用する鶏肉は”ムネ”の部位に限定するなどの工夫もあるんですよ。
(藤本)食物アレルギー持ちの方のお悩みとして「洋食のレパートリーが少ないこと」がよく挙げられます。ソースなどに小麦や乳製品が使われることが多いからですね。だからこそ、ブラウンソースの開発はやり遂げたいと考えていました。40回近く試作品を作ったのは今となっては良い思い出です。
一般的には乳製品を諦めた場合の代替品として「豆乳」が使われます。しかし、食物アレルギーに関する専門知識をお持ちの団体に相談してみると、大豆のアレルギーをお持ちの方もいるとのお声をいただきました。「いっしょがいいね」のコンセプトは、食物アレルギーをお持ちでも、そうでなくても「一緒に食卓を囲める」ことです。食物アレルギーをお持ちでない方が食べても「なんか足りないな?」と思わなくていい食品に仕上げるために頑張りました。
過去にはカレーソースのミートボールも「いっしょがいいね」のシリーズ入りさせたくチャレンジしたこともあるのですが、「カレー粉」のような粉物も乳製品と同様に代替品が見つけづらい代表格の食べ物です。まだ実現できていませんがいつか挑戦したいですね。
そこまで徹底!食物アレルギー配慮のための施設の工夫とこだわり
— 実際に食物アレルギーをお持ちのお子さんの親御さんや専門家の方から聞いたお声が生かされていますね。商品開発の難易度の高さを感じます。この京丹波の施設の自慢できるポイントはありますか?
(釜付)食物アレルギー配慮の専用工場を作っていることです。専用の製造ラインではなく、建物自体を専用にしているのは珍しいと思います。
イシイの施設は、先ほども申し上げたように専用施設の納入口を分けて、絶対に原材料を他の工場と混同したり共有したりしません。また、作業着・調理器具を色分けして区別しています。その他、水・空気まで管理を徹底し、他の工場間で移行がないように空気圧を工夫して管理しています。
— なんと、空気まで!そこまで徹底するのは「小麦が空気に乗って飛んでくるだけでも食物アレルギーを発症してしまうことがある」という、実際のお声を聞いてのことですね。ここでイシイが行っている食物アレルギー検査とはどのようなものか教えてください。
(釜付)イシイでは、ELISA法という方法を使って検査をしています。アレルゲンはタンパク質でできています。そのため、タンパク質を抽出して、その成分を分析するのです。検査のためには、まず商品をミキサーのような専用の機械を使ってペースト状にします。そこから 1g だけを採って検査にかけ、数値が「1ppm未満」であることをチェックしているんです。
— 1ppmって、どれくらいでしょうか?なんとなく少なそうな気がしますが。
(釜付)これは「100万分の1グラム」という意味です。とにかく少ないですが、それ以下の数値にしなければ出荷はできません。イシイの検査で陽性が出ることはまずありませんし、実際に過去に1回も陽性だったことはありません。しかし、安心してみなさんに商品をお届けするためにずっとやり続けています。たとえば、おせちの「のぞみ」ならば20品目あります。この検査は、最低でも前処理で半日+検査1日の、トータル1日半と時間がかかるものですが、20品目全てにこの検査を実施します。
— いっしょがいいねチームの執念を感じますね。同じ会社の従業員として尊敬します!その他、日々の行動として食物アレルギー配慮の商品に関わる上で努力していることはありますか?
(釜付)まず、この工場で働くメンバーは出勤時から違います。工場に入る前に一度目の着替え、そして工場に入ってからもう一度着替える必要があります。また、昼食後も歯を磨いてからラインに戻る、万が一ラインの機械に破損があっても、他工場とネジ1本でさえ共有しないなど、従業員の行動管理も徹底しています。個人的にも、ラインに入る日は朝ごはんにパンを食べないようにしたり、アレルゲンになるようなものを食べた服で出勤しないようにと、気にしていますね。
(藤本)「いっしょがいいね」シリーズは特定原材料7品目全てを使用していません。そのためバリエーションを増やすのがとても難しいんです。でもだからこそお客様から評価いただけているのではないかとも思っています。
— このこだわりと徹底を10年以上続けてきたからこその、「いっしょがいいね」シリーズなんですね。最後にお客様にメッセージをいただきたいです!
(釜付)食物アレルギーをお持ちのご家族がいると、ご飯をつくることが大変だなと感じてしまうこともあると思うんです。でも、週に1回、2回でだけも、イシイが手助けできたらと思っています。そんなシーンを思い浮かべているので、できるだけ商品のバリエーションも増やせるようこだわってきました。例えば外出の際にご好評いただいているLunch Boxは「おにぎりとハンバーグのセット」と「おにぎりとミートボールのセット」の2種類を用意して飽きないでお使いいただけるようにしました。
これからも、こんな商品あったらいいな!を商品に反映していくためにも、お客様からもお声をお待ちしております!
「いっしょがいいね」シリーズは全11商品
「いっしょがいいね」シリーズは、ミートボールやハンバーグ、スープや調味液、その他お弁当のLunch Boxの全11商品を取り揃えています。そのほかにも、非常食として食物アレルギー配慮商品も展開中!
気になる方は、ぜひお試しセットをチェックしてみてくださいね。