見出し画像

DXについてどれくらい知っていますか?〜教育DXサミット2021視聴レポート〜

■このnoteを読んでわかること

・DX化した未来で必要になる学び

・教育がDX化することで可能になる学び

・筆者の思うDX化した将来における進路学習のあり方

みなさん、こんにちは。学習コンテンツ開発部の佐藤です。突然ですが、みなさんは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」についてどれくらい知っていますか?聞いたことはあるけど詳しくはわからない、という方も多いのではないでしょうか。DXとは、簡単に言うと「データとデジタル技術を活用して、製品や、ビジネスモデル、組織の文化などを変革すること」を指します。詳しく知りたい方は、こちらに定義や事例がまとまっていましたのでご覧ください。

私自身、DXという言葉は知っていたものの、「デジタル化された社会において求められる学び」や、「デジタル化されることで可能になる学び」について知りたいと思っていました。

そんななか、今回「教育DXサミット2021」が(一社)デジタルトランスフォーメーション推進協会(JDX)により開催されたため、視聴してきました!本サミットの概要はこちらのページをご覧ください。

<DX化すれば、地方にいながらにして東京の大学に通える!?>

サミット前段では、JDX代表理事である森戸裕一氏と、情報経営イノベーション専門職大学(iU)(https://www.i-u.ac.jp)の学長である中村伊知哉氏が議論を交わしました。iUとは、やりたい仕事に必要な知識や技術を学び、実践的なスキルも身につけていく専門職大学です。世界でビジネス展開できる人材を育てることを目指しています。

■DX化した未来では、「学びの多様化」が必要

これまでにない仕事が生まれ働き方も自分で自由に設計できる時代になると、既存の高校や大学とは違った枠組みの学校を選択肢として増やすことが必要であると、中村氏は言います。私も、DX化した時代に対応するスキルやマインドを各個人に合ったかたちで習得するには、学びの多様化が必須であると考えます。

■多様化した選択肢どれを選んでも、選択が同様に尊重されることも重要

中村氏曰く、いわゆる普通の大学に進学したけれど、合わないと感じてiUに入学し直す学生もいれば、その逆もあるとのこと。現在の日本は失敗に厳しい社会と言われる一方で、新卒で入った会社で定年まで勤め上げるのはレアケースになりつつあります。中村氏は、学ぶ場の選択肢を増やすと同時に、個人が生きる道を選び直すことについて社会は寛容になる必要があると発言していました。次世代人材を生み出す教育のあり方を模索しながらも、「従来の高校や大学を否定せず、学ぶ場の選択肢を増やすことが大切」という姿勢が中村氏の発言から感じられました。自らの興味や得意分野に応じて、学びの道を自由に選べて、何を選んでも同じように評価される社会こそが豊かと言えるのだと思います。

■教育分野でのDXは、学びのあり方の多様化に繋がる

一方、森戸氏は「教育のDX化が進めば、地方に長期滞在しがらも授業を受けることも可能になる」と発言しており、大学進学に対する地理的な制約がなくなることで、進路の選択肢が増えるメリットについて述べていました。私も、地理的な制約がなくなるメリットはとても大きいと思いました。私自身、家庭の事情で「私大ダメ・浪人ダメ・一人暮らしダメ」という制約のもと大学受験をしました。ただ、私は東京に住んでいたため、そんな制約があっても多くの大学の中から志望校を選ぶことができました。では、もし私が地方に住んでいたら...?県内に国公立大学が1つしかない大学も多いし、自宅から通える距離にあるとも限りません。もしかしたら大学進学自体諦める必要があったかもしれません。

奨学金などの金銭的な援助はもちろん必要です。しかし、それに加えて住んでいる場所を問わずに大学を選ぶことができたら、多くの高校生がもっと主体的に大学を選べるようになるのではないかなと感じました。

<DXは手段?目的?>

サミットの後段では、(株)新閃力(https://shinsenryoku.com)の代表取締役社長であり、奈良県生駒市の教育指導課教育改革担当としても活動している尾崎えり子氏と森戸氏とで、主に小学校でのDXについて議論がなされました。

■修学旅行のオンライン化

尾崎氏は、2020年に小学生のためのオンライン修学旅行を企画しました。子供達にコロナ禍でもできる修学旅行を提供することはもちろん、公立学校におけるオンライン活用のモデルを作ることを目指していたとのことです。

■オンライン活用は「子供主体」がキーワード

尾崎氏の発言の中で、オンライン活用に際してとても重要だと思う視点がありました。それは、「子供主体」で考えるということ。

たとえば、オンライン修学旅行を例に考えると・・

△(教員主体)VRを使って、本来行く予定だった場所に行ってみよう

○(子供主体)子供達に行きたい場所を決めてもらい、その実現のためにオンラインを活用する。活用方法は教員と子供達とで考える。

■DXしたからこそ実現できる学び

これまでの教育現場は教員から児童・生徒へと教える構図が基本でしたが、尾崎氏曰く「デジタル分野は子供達の方が長けていると考え、大人は完璧でないといけないという先入観を捨てて子供達に助けてもらう姿勢が大切」ということでした。その他にもDXがもたらす学校の変化を以下のとおり述べていました。これまでの学校は子供達にとって物理的に精神的にも狭い世界だったけれど、DXにより、自分の価値観を受け入れてもらえる場所があると子供達に見せられるようになるとのこと。

■学校をDX化するまでの道のり

今ある教育の延長線上でデジタルを活用するのではなく、これまでやりたくてもできなかったことを可能にするのがDXだということも述べていました。あくまでも教育業界がDX化していくことは手段であり、理想とする学びを実現するために使ってこそ真価を発揮するということだと思います。とはいえ、日本の教育現場の現状はデジタル機器が十分に活用されているとはいえません。まずはハードルを低く設定して、端末に触れることやオンラインを活用すること自体を目的としても良いのではないかなとも思いました。端末を使うこと自体の楽しさも否定せず、文房具のように使いこなすことができるようになった先に、デジタルを活用した主体的な学びがあるのではないかと思います。

<教育×デジタルの可能性>

サミットの視聴をとおして、DX化した社会での学習のあり方や、学習方法のDXについて、私も考えてみました。

■生徒の「選ぶ力の向上」をサポートする仕組み

仮に、学校を選ぶ際に地理的な制約がなくなり、多様な価値観による進路選択が歓迎される社会を想像してみましょう。そこでは、生徒達の選択肢が広がる一方で、生徒達は「自分に合うものを選ぶ力」を身につけることが大切になると考えます。それと同時に、生徒の選択をサポートするために進路学習もDX化されていくと良いのではないかと思いました。

例えば、

・蓄積されている学習ログをもとに学び方の特徴などが分析され、自分に合った学ぶ環境が提案される

・与えられた条件をもとに、正解のない問いに答えていくシミュレーションゲームを行う

・大学のオンラインオープンキャンパスも、各大学での生活を体験できるような内容へとのアップデートされる

など...。各大学のホームページや受験情報サイトを見るだけでは得られない情報へとアクセスしやすくなれば、より能動的に自分の進路について考えることができるようになると考えます。

今回、先進的な取り組みをしている方々のお話を聞きましたが、DXが教育業界にもたらす変化はまだまだ未知数な部分が多いと感じました。GIGAスクール構想の実現に向けた環境も、1人1台端末の調達が済んだばかりです。今後、様々な実践をとおして新たな可能性も生まれてくることが期待されます。これからも動向に注目していきたいと思います。


次回は、「GIGAスクール構想」をテーマに取り上げます!

「GIGAスクール構想ってそもそも何を指しているの?」「何を目指して打ち出された構想なの?」といった疑問が解決できる記事をアップしますので、楽しみにお待ちください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?