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正十二面体スピーカーに適したドライバの条件とは

ずんだもんと学ぶ「激安商品」の実態』、おもしろいですよね。激安商品だから悪だと決めつけることなく、公称スペックや取説記載の規格値と実測を比較し、「設計の瑕疵」や「優良誤認」を弾劾しながら、価格と性能のバランス・妥当性を検証しています。章立てがまわりくどいのも良い。中の人はきっとまじめなエンジニアさんなんだろうなと思います。

そんなずんだもんの主戦場AliExpress(通称アリエク)には、もちろん多数のオーディオ製品が販売されていて、もちろん単品ドライバも各種取り揃えられています。円安の嵐吹きすさぶこのご時世でも信じられないくらい安い。逆に興味が湧いてきます。


ドライバの選定基準

正十二面体スピーカーを作ろうと考え始めた当初から、使用するドライバの数が気になっていました。仮に各面に1個ずつドライバを配置すると、12面あるわけですから1本あたり12個、ペアで24個です。通常検討するような100ドルあたりの価格帯のミッドバスドライバなど論外です。これはアレイスピーカーの宿命かもしれませんね。とにかく安いドライバを探さないといけない。

また、1本あたり12個のドライバを乗せて天井から吊るわけですから、重いドライバは選べません。私の住宅環境では、天井は通常のボード張りで、5kgを超える重量物を常時吊るのはリスクを感じます。筐体は3Dプリンターで作成して2kg程度まで軽量化できることを期待しても、ドライバ12個の合計重量を約3kgにおさめないといけません。ドライバ1個あたり250gです。とにかく軽いドライバを探さないといけない。

さらに、先日紹介したQuestedらの報告(2014)でも言及されているとおり、高音域での空間エイリアシング(spatial aliasing)を目立たないようにするには、多面体直径を小さくしドライバ間の距離を短くしなければなりません。可能な限り小さい筐体とし、とにかく小さいドライバを選ばなければなりません。

さらにさらに、正十二面体スピーカーは指向係数が低いため、見かけ上能率が低く観察されます。ホーンドライバのように音圧の放射を1方向に集めないので、当然です。したがって、できれば能率が高いドライバが望ましい。

正十二面体スピーカーの華は「高音域での指向係数の低さ」です。低音域なんぞそもそも指向性が低いので何で鳴らしても構わない。正十二面体スピーカーでわざわざ低音域を再生する必要はないのです。

これらの前提から、今回検討するドライバの条件を以下のとおり案出しました。

  1.  3インチ未満のフルレンジドライバ

  2.  1個あたり250g未満

  3.  必然的に、重いフェライトではなく小型軽量で済むネオジウムモータ

  4.  できれば能率82dB(W/m)以上

  5.  fsは欲張らず200Hz程度でよい

フルレンジドライバを手に取る日が再び来ようとは思っていませんでしたね。HiViのB3N(3インチ)くらいしか触ったことがないので新鮮な気持ちです。

私は小型軽量ドライバにまったく不慣れなので、初手から24個購入するのはリスクがあります。そこで、上記の条件に適しそうなものを複数選び、1ペアずつ購入して評価・スクリーニングすることにしました。


試験導入

今回購入したのは以下の8種です。上側5種はアリエクで買っています。本当に届くかどうかすら分からない…! ドキドキする…! 楽しい…!

もろもろ条件から外れている

まさかTangBandが高級品として扱われる世界線に来てしまうとは。2インチか2.5インチフルレンジを選定して購入しました。ScanSpeakの5F/8422T-01は高額すぎて論外です。MarkAudioのCHN-40 2.5"は20ドルくらいなので対象になりますが、フェライトなのでだいぶ重いのと、あれはほら、みんなもう散々触ってるから新奇性ないでしょう。

せっかくなのでいろいろ比較したいので、650gの重量級Dayton PC68-4もParts Expressで買いました。


いやあ楽しみですねえ。注文したばかりでまだ手元にない状況ですが、本当に着荷するのか含めて楽しみです
まずは20Lくらいの測定箱にそれぞれ入れて測定でしょうか。特に歪み率を比較してみたい。

測定結果の前に、3Dプリンターで作製する筐体の案を次回はお示ししたいと思います。お楽しみに。

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