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大型2WAYバスレフと5次楕円関数フィルタを作る【前編】

一日の終わり、寝るまでの自由時間にYouTubeでK-POPや英国ジャズを視聴しています。リラックス時間にイヤホン付けてスマホの画面で見るのは煩わしい。できれば、大き目のテレビで、大型スピーカーで見聞きしたくなります。

結婚して10余年のあいだに大型3WAY自作スピーカーは廃棄してしまいました。そこで、音楽でリフレッシュできリラックスできるリビングの整備のために、あらためてスピーカーを作製することにしました。実に10年ぶりのスピーカー作製です。

かつて私はDaredevil 2.0という自作スピーカーとスピーカー測定に関する趣味のホームページを運営していました。ある日事故でサーバーを解約されてしまい、よそで復旧させる気力もなかったのでそのまま消滅してしまった経緯があります。ホームページが公開されていた期間は約2年間でした。

当時の資料やテクストはハードディスク内に残っています。それらを読み返しながら思ったのは、私には設計から塗装まで完遂したものはほとんどないということでした。ほとんどの作例で、箱を組み立ててドライバとネットワークを仕込んで測定したあたりで満足してしまっており、まともに塗装まで終わった完成品がほとんどない。

今回はちゃんと塗装までやり遂げることにします。目障りのない完成品としてリビングの大型テレビ横に置きたい。
そのためには、下手に大がかりな構想を持たないほうがよさそうです。誰でも作れるような簡単なものでよい。子供でも扱える安全なものがよい。久しぶりにスピーカーを作るのですからリハビリも兼ねて、簡単に塗装まで完遂でき、かつ音質も満足できるものを目指したいと思います。

なお、参考までに、私が2010年ごろ運営していた自作スピーカーとスピーカー測定のホームページの一部を再公開します。

青臭い自意識にまみれた、誤りの多い文章で、2022年にこれを公開するのは大変有害ですし大変恥ずかしいのですが、インターネット老人会の遺物としてご笑覧いただければ幸いです。


構想

私のこれまでの作例のほとんどは、TLs(Transmission Line)か、密閉箱+Linkwitz Transformです。
http://dipentaeryth.html.xdomain.jp/www/built/index.html

私はもう若くありません(新しいことを学ぶ意欲はあるが)。TLsでもう一度苦しむのは楽しくなさそうです。密閉箱+Linkwitz Transformはアンプが複数台になるので、子供でも安全に取り扱えるとは言えない。ならば、それなりに大口径のミッドバスドライバを使用して40~50Lの細身な2WAYバスレフを選ぶのが、リハビリとしては失敗がないように思いました。そもそもバスレフは1例しか作製したことがないので、私にとっては新鮮な選択肢であります。


ドライバ選定

10余年のあいだ、ScanSpeakなどの自作スピーカー用の高級ドライバには多くのラインナップが加えられており、隔世の感があります。スピーカーの測定ツールもVituixCAD Loudspeaker simulatorなどが主流となっているようで、また評価方法も「スピノラマ」など斬新なものが用いられているようです。自作派のみなさまのご活躍も、ずいぶん後追いですが知ることができました。

VituixCADなど使ってみていますが、正直すべてキャッチアップできていません。追いつくにはまだまだ時間がかかりそうです。使用ドライバは最新のものではなく、それなりにこなれた中級のものを使用することにしました。
SB AcousticsのSATORIシリーズから、トゥイーターTW29RN-B-8と7.5インチミッドバスMW19P-8を選びました。クロス周波数を1kHz以下で使用したかったためです。

Madisoundで通販で買うのも10余年ぶりです。ペアで680ドルでした。


エンクロージャの作製

意匠の趣味として、ドライバのマウント面が一部スラントされたものが好みです。また、回折には不利ですがアール部分がほとんど面取りされていない、カチッとした見た目のがよい。
ドライバ購入から約2年、試作箱作製から1年半後に完成し、テレビ横に設置されたのが以下のものです。

高さ約90cmの38Lバスレフです(板厚24mm)。ネットワークはそれなりに良質なものを目指したら5次楕円関数フィルタ(-50dB/oct、900Hzクロス)になりました。

【中編】では、このスピーカーの板取り、フィルタ設計についてお示しします。


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