海外宣教〜パウロが伝えたかったこと
✝️タルソスのパウロ
⋯イエスの使徒。1世紀中頃、ユダヤ人であってギリシア語が話せ、ローマ市民権を持っていたことから、ローマ帝国内で活動ができ、小アジア、ローマでさかんに布教を行った。その布教によってイエスの教えをユダヤ人の民族宗教から、普遍的な世界宗教としてのキリスト教に高める役割を果たした(世界史の窓より)。
【使徒17:16〜34】
さて、パウロはアテネで二人を待っていたが、町が偶像でいっぱいなのを見て、心に憤りを覚えた。
それでパウロは、会堂ではユダヤ人たちや神を敬う人たちと論じ、広場ではそこに居合わせた人たちと毎日論じ合った。
エピクロス派とストア派の哲学者たちも何人か、パウロと議論していたが、ある者たちは「このおしゃべりは、何が言いたいのか」と言い、ほかの者たちは「彼は他国の神々の宣伝者のようだ」と言った。パウロが、イエスと復活を宣べ伝えていたからである。
※エピクロス派とストア派⋯当時ギリシャで流行っていた哲学者の一派。ストア派はストイックの語源にもなっています。
そこで彼らは、パウロをアレオパゴスに連れて行き、こう言った。
「あなたが語っているその新しい教えがどんなものか、知ることができるでしょうか。
私たちには耳慣れないことを聞かせてくださるので、それがいったいどんなことなのか、知りたいのです」
アテネ人も、そこに滞在する他国人もみな、何か新しいことを話したり聞いたりすることだけで、日を過ごしていた。
パウロは、アレオパゴスの中央に立って言った。「アテネの人たち。あなたがたは、あらゆる点で宗教心にあつい方々だと、私は見ております。
道を通りながら、あなたがたの拝むものをよく見ているうちに、『知られていない神に』と刻まれた祭壇があるのを見つけたからです。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それを教えましょう。
この世界とその中にあるすべてのものをお造りになった神は、天地の主ですから、手で造られた宮にお住みにはなりません。
また、何かが足りないかのように、人の手によって仕えられる必要もありません。神ご自身がすべての人に、いのちと息と万物を与えておられるのですから。
神は、一人の人からあらゆる民を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、住まいの境をお定めになりました。
それは、神を求めさせるためです。もし人が手探りで求めることがあれば、神を見出すこともあるでしょう。確かに、神は私たち一人ひとりから遠く離れてはおられません。
『私たちは神の中に生き、動き、存在している』のです。あなたがたのうちのある詩人たちも、『私たちもまた、その子孫である』と言ったとおりです。
そのように私たちは神の子孫ですから、神である方を金や銀や石、人間の技術や考えで造ったものと同じであると、考えるべきではありません。
神はそのような無知の時代を見過ごしておられましたが、今はどこででも、すべての人に悔い改めを命じておられます。
なぜなら、神は日を定めて、お立てになった一人の方により、義をもってこの世界をさばこうとしておられるからです。神はこの方を死者の中からよみがえらせて、その確証をすべての人にお与えになったのです」
死者の復活のことを聞くと、ある人たちはあざ笑ったが、ほかの人たちは「そのことについては、もう一度聞くことにしよう」と言った。
こうして、パウロは彼らの中から出て行った。
ある人々は彼につき従い、信仰に入った。その中には、アレオパゴスの裁判官ディオヌシオ、ダマリスという名の女の人、そのほかの人たちもいた。
日本でいえば明治神宮や伊勢神宮に行ってキリスト教の宣教をするというような事を、大胆にもパウロは行いました。
アテネはギリシャの首都で、ギリシャのゼウスなどの偶像が信仰されていました。
「日本にはキリスト教が根付かない」というのは、キリスト教会が抱える問題のひとつですが、この箇所には宣教に必要なことが隠されていると思います。
まず、相手の信仰にリスペクトすること。自分の感情を優先しないこと。パウロは憤っていると書いてありますが、憤りを隠して哲学者たちに説教しているのが分かります。
海外にいる宣教師の先生も、たとえばインドへ宣教に行った先生だと「ガネーシャいいよね!ところで、イエス・キリストって神さまを知っていますか?」と、まず相手の宗教を理解するところから始めるらしいです。イスラム教の場合、同じアブラハムの宗教なので、アブラハムの話から始めると上手く話せるとも聞きました。
宣教には順序があるのだと思います。
『知られていない神に』というモニュメントは現在もギリシャに残っています。というか上記の出来事を記念してモニュメントが作られた感じですね。
ギリシャやトルコなどに旅行に行く際、パウロの事を思い出して頂けたら幸いです。アーメン。
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