ハンドドリップtips.1


「水について」

ハンドドリップに限らず、「コーヒー」は水がキャンパスのようなもの。使用する水のキャラクターによって、出来上がるコーヒーの表情は大きく左右される。

水のキャラクターとは、その液中に存在している物質(Mg, Ca, H+, Na+, その他様々な不純物)を指す。

どのような水を用いるかによって、コーヒー全体の味わいに影響するが、クリーンカップ、アフターテイストが特にデリケートに影響を受け、ひいては輪郭全体に影響する。


①硬度

硬度が最も注目されがちな要素であるが、硬度とひとくくりに言っても、「一時高度:炭酸塩(煮沸によって析出)」「永久高度:硫酸塩(イオン交換系で低下)」とあり、その物性は異なるため一概にすると理解し難くなる。

一時硬度と永久硬度は、煮沸や軟水機の使用で下げることができるが、「どちらの硬度が下がったために総硬度が低下したのか?」と捉えないと、「硬度は下がったはずなのにコーヒーの味わいに沿わない」と壁にぶつかる。

業務用の軟水機を用いても、その製品の性質により総硬度の下がり方は違うので、使用する軟水機・浄水器(浄軟水機)の働きを理解すべきである。Na+交換型とH+交換型では総硬度および溶存物質の変化は大きく異なる。

<tips>

高硬度=硬水における抽出は、液質が強くなる。質感を表現しやすく、ストラクチャーが明確になる。しかし余韻が延び難く、クリーンさを失い重厚な液質になる恐れがある。

逆に底硬度=軟水では、酸の印象が明確になり、液質の透明感が増す。質感は弱くなって行き、ウォータリーで薄っぺらい印象になる恐れがある。結果的にフレーバーばかりの、飲み心地の弱い印象になってしまいがち。

硬度が上がるにつれて、収率をアンダー傾向(抽出を弱める)に寄せると良い。重い質感や余韻を分散させ、密度感のある印象を散らすと、味覚の分解能が適切に味わいを捉え、コンプレックスさを得られる。

硬度が下がるにつれて、収率をオーバー傾向に寄せると良い。抽出を強めることで質感を付加し、テイストのはじめから余韻までの全体的な印象度をあげる。

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