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=第2の人生を考える= 定年退職した後の仕事選びについて、いまさらながらわかってきたこと

唐突ですが、あなたは何歳まで生きると(生きられると)思っていますか?
そして、何歳まで働く(働ける)つもりですか?

日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳を上回るまで延びてきました。現代人の健康志向を考えるとこれから先、まだまだ寿命は延びていくでしょう。
国の財政も考えると年金受給開始年齢もドンドン先延ばしになっていくでしょう。

わたしは、働いていた会社からの勤務継続のオファーを断り、2年前に60歳で早々と定年退職しました。
早めに退職した一番の理由は、これまでの会社人としての人生を延命するよりも、第2のあらたな人生を早めにスタートしたかったからです。

幸い、健康に恵まれ、老後の必要資金にもメドがついていたので、60歳からの第2の人生は、仕事に縛られない充実した毎日を送りたいと切望していました。

退職後の2年間で充実した毎日を実現すべくやってみたこと。
・行きたくてもなかなか行けなかったところへ出かけて、時間を忘れてのんびりと過ごす。
・長年のデスクワークでたるんだカラダを絞り上げて、瀬戸大也のような逆三の美しいカラダを取り戻すために、昼間にジム通い。
・サラリーマンたちが働いている平日にゴルフへ出かけるのは、ゴルフそのものの楽しさに加え、自由の身になった開放感に満ち溢れる。
・海外勤務が長かったためなかなかいけなかった大相撲や横浜ベイスターズの試合観戦。
・サラリーマン時代から興味があったnoteのような情報発信サイトへの投稿。
・そして、退職前から準備してきた「異文化コミュニケーション」研修の講師の仕事も少しずつではあるが依頼が来るようになってきました。

退職前からずっと貯め込んでいた「やりたいことリスト」を次々と実現してきました。

実現してみてわかってきたことがありました。
これら「やりたいことリスト」のなかの一過性の項目は1、2回実現できると、それで満足してしまいます。
継続的なものについても、初期の新鮮みや開放感やありがたみもだんだん薄れてきて、貴重だと感じたことがいつのまにやら「ありふれた日常のひとコマ」となってくるものです。

代わりに、すこしずつココロのなかで膨らんでくるのは、「社会との強いつながり欲求」、「社会や人々からの強い承認欲求」なのでした。

それじゃあ、「社会の発展のために、若い経営者のために、一肌脱ごうじゃないか」と、とある機構が募集する「経営アドバイザー」や「経営コンサルタント」に自信満々に応募してみました。応募書類に自己アピールを多少脚色を交えて書き綴って。

ところがあらんことか、まったく箸にも棒にもかからず、一次書類選考ではじかれる結果に

ちょっとショックだった。いや、けっこう落ち込んだ。

まがりなりにも日本を代表する大企業の経理財務部門で38年間働き、かなりの知識や経験を積んできた自負はあったわけです。さらに海外勤務を22年間4か国経験し、海外事業の企画や事業計画にも携わってきました。また、異文化圏の人と仕事をともにする貴重な経験も積んできました。

この38年間積み上げてきた広くて深い知見と実績はとても貴重であり、多くの会社や若い経営者からみれば垂涎の価値であろうと、自分では思っていたわけです。

38年間の貴重な(貴重だと思っていた)知見が、簡単にスルーされたわけです。なぜ?

世間には高齢になっても、第一線で活躍しているアドバイザーやコンサルタントはゴマンといるのに、なぜ私はスルーされるのか。彼らよりも能力が劣っているはずはないし、ビジネスの実経験でいうと自分のほうが勝っているはずだ、と(自分では思い込んでいる)。

しかし、しばらくして、スルーされた理由がわたしなりに理解できてきました。

それは「自己アピール」の効力の限界です。
いくら能力が高くても、いくら貴重な経験を積んできていても、いくら貴重なノウハウを身に着けていても、「自己アピール」では相手に伝わらないということです。

つまり、第一線で活躍しているアドバイザーやコンサルタントは、定年までひとつの会社で働き続けている人はまれで、たいていは早期に転職して視野を広げ、さらに、司法試験、社労士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、FPなどの国家資格を取得しているのです。

サラリーマンとしてひとつの会社にぶら下がりながら内向きに働いているとあまり意識しない(できない)のですが、会社を離れて個人として、初対面のひとから見れば、国家資格はどんなすばらしい自己アピールよりも威力があり、輝いて見え、信用力があります

そしてもうひとつ、日本の会社は多くの場合、社員をゼネラリストへと育成します。特に管理部門や営業部門など製造技術部門以外の場合に、です。
そのため、ひとつの職種を掘り下げるのではなく、さまざまな職種や部門を広く経験させるわけです。会社のこのような人事方針が退職後の第2の職業選択を困難にしてしまうのです。

最初の質問に戻りましょう。
あなたは何歳まで働くつもりですか?

もしあなたが定年退職した後には、一切仕事はせず、その後の長い人生を趣味と娯楽に没頭したいというのであれば、深く考える必要はないのですが、
自己実現につながる仕事、承認欲求を満たす仕事をしたいのであれば、その準備は定年後では遅すぎます。
というか、定年を迎える数年前でも遅いのです。
理想は学校を卒業して最初の職業選択の時点で、自分の仕事人生の長期設計を考えるべきだったのです。
とはいえ、20代前半で定年後のことなんか考えるのは難しいですよね。それが無理だとしても、遅くとも30代までには定年後のその先のことを真剣に考えるべきです。

70歳すぎても80歳すぎても、カラダとアタマが機能するうちは自己実現につながる仕事をするために準備することはふたつです。

1.スペシャリストとしてのスキルを身につける
2.客観的な信用につながる資格取得

目の前のタスクを毎日こなして達成感を感じている場合ではなく、80歳までの自分のキャリアプランをじっくりと考え、行動に移すべきときをすでにあなたは迎えているかもしれませんよ。
いや、時すでに遅しかもしれません。

わたしの経験を踏まえた老婆心ながら・・・

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