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ジャケットに丸首シャツな人々に期待する

近年、起業する若者が増えている印象だ。
TVでも、IT技術を活用した新しいモノやサービスを提供するスタートアップが紹介される機会が増えている。
「寄らば大樹の陰」からの脱却。若者の活力を感じる。

そんな若手のアントレプレナーたちによくみられるいで立ちが、丸首やVネックのシャツにジャケットという組み合わせだ。

丸首シャツ

Vネックシャツ

そして、この流れはIT系を中心に若者から上の年代へと広がりを見せている。
楽天の三木谷社長も丸首シャツでメディアの前に登場。

三木谷

この流れは、2005年に当時の小池百合子環境大臣が打ち上げた「クールビズ」に端を発している、わけではない。
なぜなら、クールビズは襟無しシャツを推奨していたわけでもないし、夏の暑いさなかにはノータイ・ノージャケットでいいじゃないの、というものであって、丸首シャツにしようよ、などとは言っていない。

クールビズ

この流れは、自由でラフなスタイルでステージに上がったシリコンヴァレーの巨人たちから始まった。

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丸首シャツにジャケットのこのいで立ちに見慣れてくると、旧態依然のネクタイ&ダークスーツのおじさんたちに、淀んだ空気を感じてしまう

自民党議員

経団連

「オフィシャルの場ではネクタイにダークスーツ」という常識が存在するので、丸首シャツにジャケットのスタイルでは「カジュアルで場違い」と思う人も多いだろう。
お堅い恰好から解放されることで、新しい発想やアイデアが湧き出てきて、さらにあらたなビジネスが広がっていくかもしれないのに・・・

海外に目をやると、アメリカではノータイが当たり前のようになってきている一方、ヨーロッパではなかなかネクタイを手放せない。ネクタイにダークスーツに身をつつんだビジネスマンがロンドンやミラノのビジネス街を闊歩している。

ロンドン郊外にあるアスコット競馬場。19世紀後半に、ここに集まる紳士たちがアスコット・タイを身に着けるようになる。またプレーン・ノットのネクタイもこの頃に始まったとされる。

フランスでも19世紀には上流階級の間でネクタイが紳士の証しとなっていた。
こういう歴史からヨーロッパでは、ネクタイ文化から簡単に離れることには抵抗があるのかもしれない。

アメリカとヨーロッパとの比較で言うと、普段着にも大きな違いがみられる。アメリカでは、Tシャツに半ズボン、そして野球帽(キャップ)というスタイルが巨体を包み込む

一方、ヨーロッパではTシャツを着ている人はあまり見かけない。いわゆるポロシャツもポピュラーではない。多いのは、ボタンダウンなど襟付きのシャツだ
そして、半ズボンも見かけない。ジーンズは多いがスラックスがもっともメジャーな印象。

つまり普段着でもヨーロッパのほうがかなりコンサバといえる。
ただし、色使いに関して言えば、イタリア・スペインなど南欧ではビビッドで、陽の光によく映えるカラーを好んで選ぶ。イギリス・ベルギー・ドイツなどは陽の光が弱いからだろう、ダークな色使いの服が多い。

わたしは、イタリアに5年間駐在していたが、着任した当初は仕事着としてダークスーツを着ていた。
しかし、周囲のイタリア人の着こなしを見よう見まねで真似していくうちに、色の異なるジャケットとパンツ姿へと変身していった。
ジャケットはグリーンやらピンクやら色とりどり。
90年代の当時、日本ではとても町には着て歩けないようなあでやかなジャケット。
そして、イタリアンブランドの革靴で色は茶色。間違っても黒はNG。

一方、ドイツに駐在していたときには、イタリアで手に入れた鮮やかなジャケット類はお蔵入り。毎日ダークスーツにネクタイ。そして靴は黒光りするブラック。茶色の靴なんて白い目で見られそう。

ヨーロッパでも北と南とでは、肌の色、背格好、性格にとどまらず、着る服から色使いまでずいぶんと違う。違いを観察するのも楽しみのひとつだった。

日本では、数十年前のように国民が一斉に流行ファッションに流されることは無くなり、プライベートの時間では個人個人が個性あふれるファッションを楽しむようになってきたようだ。

これからはオフィシャルの場やビジネス空間においても、自由で個性的なスタイルが幅広い年代ですこしずつ広がっていくとよいと思う。
同調圧力の強い日本ではひとと違う行動や発言をするのはハードルが高い。自由な発想や新たなビジネスのシーズを生み出すためにも、せめて服装選びだけでも個性を発揮できるようにしていきたいものだ。

国会の場がさまざまな色のジャケットで華やかになったり、鮮やかな色のアスコット・タイで決めたベテラン議員がスピーチしている姿などがみられるようになったら、NHKの国会中継も少しは視聴率が上がるのではないだろうか。

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