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「なぜ今飲食スタートアップが熱いのか」〜ダイニーが取り組む飲食業界の課題の話

こんにちは、dinii CTO の大友(@dinii_k_otomo)です。

dinii では、次の 50年の飲食インフラとなるべく、飲食店内向けモバイルオーダーと CRM サービス「ダイニー」を開発・運用しています。

最近は新しく dinii にジョインしてくれる仲間も急速に増えてきていまして、チームとしても、とても盛り上がっています 💪

また会社としても、ICC スタートアップカタパルトで見事第二位を獲得するなど、色々な方に応援いただける機会も増えてきております 🎉

ダイニーに興味を持っていただける方がとても増えてきているのですが、お話をする中で、ダイニーがなぜこの事業をやっているのかについては、まだまだ中々お伝えできていないなと感じています。

今回は、改めてダイニーが向き合っている飲食業界の課題感と、なぜこのプロダクトを作り運用しているのかについて深堀って、よりたくさんの人に知ってもらえればと思っています。

最初にざっくりまとめ

  • 飲食店を支えるインフラシステムとして POS があり、数十年に渡って飲食店を支え続けてきた

  • コロナ禍において、外食は黙っていても飲みに来る時代から、理由がないと飲みに行かない時代になった

    • 新規のお客様を集めづらくなり、よりお店のファンを再現性を持って増やすことが求められてきた

    • これまでのインフラシステムとの相性の問題で、お客様のことを知ること、お客様にアプローチすることにハードルがある

  • この課題を解決するために、ダイニーは「モバイルオーダー x 顧客のオンライン化 x POS」を切り口に、次の数十年に渡って外食を支えるサービスを作ろうとしている

    • 衣食住の「食」という、人の生活とは切っても切り離せない領域で、たくさんの人々の生活を変えるチャレンジをしている!



飲食業界とPOS

飲食店の現状と課題を知るためには、今の飲食店を支えているシステムであるPOS(Point Of Sales)の理解が欠かせません。ここでは、簡単にPOSとは何なのか、どのように飲食店を支えているのかを説明します。

POS とは、飲食店を支える重要なテクノロジーの一つです。

厳密な定義としては、「商品を自動読み取りによって識別するレジスターによって、販売時点でその情報を収集し、仕入れや配送に有効活用するもの」とあるようですが、現在の飲食店においてはお会計(レジスター) & POS の仕組みがセットとなることが多く、総称して「POSレジ」と呼ばれています。

また外食特有の機能として、OES(Order Entry System)というものがあります。お客様から受けた注文を登録するシステムを指します。飲食店のホールスタッフが注文を入力するハンディ端末や、卓上で注文ができるタブレット端末のことを指します。

現在では、飲食店を開業するにあたってはまず、POSレジとOESの仕組みの導入が必須になっています。

さらに詳細な説明は、こちらの解説記事が詳しいと思います。

POS の仕組みだけを取り上げると、「販売時点でデータを収集する」ということを指しているため、外食だけでなく小売全般で適用できる概念です。

POS の考え方自体は、まず百貨店などの小売で始まり、JANコードの登場やデータ分析企業の参入などの後押しを受けて、これまで三度のブームを迎えたと言われています。

外食においては、特にこの三次ブームで後押しを受けて POS レジの導入や OES の進展があったとされています。

POS システムのざっくり年表

POS レジ 登場以前の飲食店は、手書きで注文を取ったりお会計をするオペレーションが中心だったのに対し、POS レジの導入によって注文やお会計の業務効率化、受発注の精度向上など、飲食経営に大きな革命をもたらしました。

特に1980年台からは、多くの企業が POS レジに参入し、外食のシェアを争っていましたが、現在においては大手数社がほとんどの飲食店へ導入されています。

このような長い年月をかけて、今のスタンダードとなっている飲食店のシステムが構築されてきたのですが、実は2022年現在においてもその形は大きく変わっていないのです。

近年ではクラウド POS と呼ばれる、クラウドをベースにした POS レジ / OES の仕組みが増えてきてはいるものの、全体としてはまだまだ第三次 POS ブームでのシェアが大部分を占めています。

つまり第三次 POS ブーム以降、飲食店を支えるシステムは、大きくは変わらずに今も動き続けていることとなります。

POS レジの仕組みと飲食店の現状

次に、POS レジを中心とした現在の飲食店を支えるシステムのあり方について見てみます。

飲食店を支えるシステム概略図

この図ように、 POS レジ / OES は飲食店内で完結する仕組みとなっています。飲食店内のあらゆる機器が POS レジを起点に接続されており、飲食店内での注文や売上の情報は全て POS レジに保存されます。

POS レジに保存された情報はバッチ処理によって各社の基幹システムに連動されることが多いです。またその基幹システムを軸とし、飲食店経営に必要な様々な機能(売上管理、売上分析、受発注、勤怠管理、人事管理など)が構築されています。

つまり、POS レジを中心とし、飲食店の経営に関わるあらゆる管理ツールが依存関係にあるため、POS レジが飲食店運用、ひいては飲食経営にとっての心臓部であることが分かります。

また、これまで長い年月をかけて POS レジを中心とした飲食店の仕組みの最適化が行われてきたため、部分的にシステムを入れ替えることも容易ではありません。第三次 POS ブーム時に POS レジが飲食店に広がった時代には、まだまだ SaaS やクラウドという考え方はなく、各飲食店ごとに POS レジや OES の機能は細かくカスタマイズをされていることが一般的で、システムの更新・移行のハードルが高くなっている要因となっています。

ここまでは Vertical SaaS がよく直面する課題とも類似していると思いますが、飲食店の場合はお店が稼働し続ける限り、その運用を支えるシステムも常に動き続けることが求められます。POS システムが止まってしまうと、飲食店の運用自体が止まってしまうためです。この観点では、クラウドベースのシステムと比較すると、飲食店内でシステムが完結する仕組みは非常に堅牢で、外部要因によってシステムが止まることはほとんどありません。この高い可用性が求められるという観点でも、システムの更新・移行のハードルが高まる要因となっております。

そのため、スタートアップ企業が新たに飲食店の POS の領域にチャレンジしようと思うと、必要最小限の実用的なプロダクトの水準が非常に高いこと、また芋づる式に、POS レジへ依存している多くの業務をサポートする必要が出てきてしまうため、参入のハードルがとても高いのです。

飲食店が抱える課題

ここまでで、飲食店が置かれているシステム面の経緯と現状がお分かり頂けたかと思います。

ここで今の飲食業界に目を向けてみると、やはりコロナ禍が目下の課題として重くのしかかっています。

コロナ禍を通して、一般消費者にとっては外で飲食をすることのハードルが高くなってしまいました。Zoom 飲みや宅飲みなど、わざわざ飲食店に行かずとも安全に飲食ができる手段があることに気づいた今、なぜ飲食店にいくのかという強い理由を作れなければ、お客さんが中々お店に来てくれない時勢になってきています。

Google トレンドでの「居酒屋」の検索ボリュームの変化

シンプルな「居酒屋」という単語の検索ボリュームを見ても、その動向の変化は一目瞭然です。「居酒屋に行こう・探そう」という量が総合的に下がってしまっており、新規のお客さんの来店が期待できなくなってきているのです。

そのようなコロナ禍の状況において、飲食店にとってはお店の魅力を磨くこと、「お店のファンを増やすこと」の重要性の高まりがよく分かると思います。

「お店のファンを増やす」ことが重要でありながら、今の飲食店の仕組みではこの問題に根本的に向き合うには、いくつかハードルがあると考えています。ここがダイニーが最も挑戦したい課題の一つでもあります。

「お店のファンを増やす」ためには、まずお店のファンがどれくらいいるのかを計測する必要があります。より広く捉えると、お店にどのようなお客様が、どれくらい来ているのかを計測できる必要があります。

これを実現するためには、お客様を、飲食店というオフラインの領域から、オンラインの領域に誘導することができると、飲食店のシステムと直接データとして繋ぎこむことができます(OMO の考え方と同様です)。

誰しも経験はあると思いますが、「当店のご利用はありますか?」など、直接スタッフさんに聞かれたり、会員証・メルマガ・会員アプリなどのマーケティングツールへの登録をおすすめされたりするのは、飲食店がお客様の情報を収集するためです。一方でこれらの現行手段では、全てのお客様の情報を収集することができなかったり、データをフル活用するための POS システムとの統合ができないことが課題として残ります。

また、「お店のファンを増やす」ための別の観点を考えると、お店のファンとなりうる人に適切に訴求する手段が必要となります。しかし飲食店とお客様の接点はあくまで飲食店内に限られているため、お客様の日常生活の中で訴求する手段は、アプリ会員登録をしていただけた方のみへの配信や、広告など、非常に限定的です。

そのため、お店のファンがどれくらいいるかを知ること( = 顧客計測の問題)、と、お店のファンに訴求すること( = タッチポイントの問題)の課題感が、近年の飲食業界では非常に高まっているのです。

[顧客計測の問題]
- お客様の情報を収集するには、ヒアリングやアプリの登録等が必要であり、網羅的に収集することが難しい。
- お客様の情報が収集できても、飲食経営の心臓である POS への取り込みがシームレスにできず、データをフル活用できない。

[タッチポイントの問題]
- お客様とオンラインで繋がる手段が限られているため、飲食店外での訴求手段が限定されてしまう。
- 代替手段として、会員証・メルマガ・会員アプリの活用があるが、顧客計測の問題同様、網羅的なお客様との接点とはならない。

ダイニーのアプローチ

ここまでで、現状の飲食業界では「お店のファンを増やす」ことが重要になりつつも、その手段がないという重大な課題があることがお分かりいただけたかと思います。ダイニーはその課題を解決し、再現性を持ってお店のファンを増やすことが実現できる世界観を目指しています。

ここでは、ダイニーがどのようなアプローチでこの課題に向き合っているのかを簡単にご紹介します。

ダイニーでは、飲食店内でのモバイルオーダーを起点にお客様をオンライン化し、再利用可能なデータとしてお客様のデータベースを構築します。飲食店内での注文をフックにオンライン化をするため、非常に多くのお客様をオンライン化することが実現できます。

これまで、会員アプリなどの登録率が数%だったところが、有効活用ができている店舗ではほとんど全てのお客様を会員化できている事例も出てきており、お客様の情報を網羅的に計測できることが証明されつつあります。

更に、ダイニーでは飲食のインフラ部分(POS)まで作り上げているため、これまでの飲食経営で使っていたデータベースに対して、シームレスにお客様のデータベースを統合できます。これにより、お客様が、いつ、どの店舗に来店し、どういう食事体験をしたかの情報が、フル活用できる状態が整っています。

またモバイルオーダーを起点として、お客様のスマートフォン経由で多くのオンラインのアプローチができます。飲食店内に囚われずに、お店のファンとつながることができるようになります。

「モバイルオーダー x 顧客のオンライン化 x POS」を一気通貫でサービス提供しているからこそ、これらの課題を解決できているのです。

このような、お客様の計測範囲の拡大・精緻化と、顧客接点を増やすことが、お店のファンを増やすことの再現性に繋がり、最終的にはダイニーを導入するだけで全ての飲食店がお店のファンを増やすことに注力できる世界観を目指しています。

またダイニーでは、これらを全て、飲食体験の本質価値を尊重するために行なっています。

飲食体験は、オフラインで人と人との場を共有する文化的な意義を持っています。

ダイニーが導入される事により、多くの局面がデジタル化、オンライン化されますが、それによって低コストな店舗運営や、超効率的な店内オペレーションを目指してはいません。あくまで店内飲食の体験価値を押し上げることを目指しています。

ダイニーでは、お客様とのタッチポイントの活用として、例えばこのような取り組みをしています。

https://coralcap.co/2021/12/dinii/

https://forbesjapan.com/articles/detail/43254/2/1/1

飲食店に来るお客様の情報がフル活用できる基盤や、お店の中に囚われずにお客様とタッチポイントを持てる仕組み、とてもワクワクしませんか?

ダイニーでは、一緒に次の50年の外食文化を創っていく仲間を大募集しています!!
もっと詳しく、ダイニーがどのようにこの課題を解決しようとしているかや、飲食体験を高めるためのアイデアがある方など、少しでも気になった方はぜひカジュアルにお話しましょう!!

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