見出し画像

「絵柄割れ厨」は今後生きていけるのか?

「絵柄割れ厨」とは何か?

まず「絵柄割れ厨」とは、AIを利用して他人の絵やイラストのデータを無断で取得し、自分の作品作成に流用している人々を指す蔑称です。

「割れ」とはインターネットスラングで「違法コピー」や「違法ダウンロード」を意味しています。ゲームやアダルト動画の違法コピーを入手・使用している人を「割れ厨」と呼ぶことがあり、それと同様の言葉使いです。

一方「厨(クッチ)」とは、ある作品やキャラクター、タレントなどの熱狂的なファンのことを揶揄する言葉で、「中二病」的な振る舞いをしているようだと批判的に言う場合に使われます。

つまり「絵柄割れ厨」は、違法コピー(多分i2iかローラ)を利用しながら作品制作をしているAIユーザーを、理不尽な主張をしている未熟な人物として批判する蔑称なのです。

エロゲーの割れ厨が個人的に使用することが多いのに対し、絵柄割れ厨はSNS等で作品を公開しているため、被害が広範囲に及ぶとの指摘もある、と解説できるでしょう。

ネット上での反応と懸念

この言葉はAIを悪用している一部の者を指すつもりで使われ始めましたが、「絵柄割れ厨」という呼称はやや漠然としており、AIを利用するすべてのクリエイターが差別的に扱われる可能性があるとする指摘があります。

例えば、適切なトレーニングデータを購入・利用した上で新しい創作を生み出しているクリエイターも、この言葉で同じく非難されてしまうおそれがあります。

また、同人誌文化の二次創作の領域においては、元の作品へのオマージュやパロディとして他の作品のキャラクターなどを利用することが一般的です。この二次創作全般までもが「絵柄割れ」だと見なされてしまう可能性を危惧する意見があるようです。

要するに、「絵柄割れ厨」は差別的なニュアンスを含みやすい言葉であり、すべてのAIクリエイターが不当に扱われることのないよう、使用には注意が必要だと懸念する指摘がある、ということです。

用語の使用に関する意見

この言葉が広く普及することによって、AIを利用した創作活動を行っているすべての人が差別的な扱いを受ける可能性があるという指摘がなされています。

例えば適切にトレーニングデータを購入し、生成モデルを構築して新しい創作を行っている正当なAI利用者までもが、この「絵柄割れ厨」というレッテルを貼られてしまうことが懸念されています。

また、手描きで他のイラストレーターの絵柄を参考にしたりオマージュしたりしているクリエイターに対しても、同様に差別・攻撃の対象にされてしまうのではないかという声も上がっています。

一方で、この言葉を対立を煽る感情的な言葉として使うのではなく、むしろAI生成モデルの構築や学習データの利用に関するルールやガイドラインを明確化していくべきだという意見もあります。健全な議論を促進するためには用語の定義づけが必要であるという主張です。

このようにこの言葉の影響力には懸念も存在しており、使用には注意が必要だと言えそうです。

考察と今後の展望

この言葉の登場には、AIを利用した創作活動の定義づけと適切なルール作りの必要性が見え隠れしています。様々なスタンスの人がいる中で建設的な議論を進めるには、そもそもの用語の意味づけが欠かせません。

例えば「絵柄割れ」にあたる行為違法性の有無他者への影響の大きさについて、ある程度客観的な基準が必要です。その上でAI利用者と手描きクリエイターは対話を重ね、お互いへの理解を深めていくことが望まれます。

双方の間には「盗用」「引用」に対する認識の相違もあるでしょう。両者の姿勢が近づくことは難しいかもしれませんが、創作活動が制限されることのないよう、建設的な議論を心がける必要があると考えます。

この言葉が単なる感情的反発ではなく、法・倫理面での議論を活性化させるきっかけとなれば、前向きな変化につながるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?