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想いを形に。

先日、富山市景観フォーラム(ひそかにチラシ制作を担当)に参加し、景観視点でインプットしたので。



「立山あおぐ特等席」
20年以上前から使い続けている富山市のブランディングキャッチコピーです。

今から約10年前。
入庁して確か3年目。
当時は観光行政担当で、その時は観光パンフレットとか、首都圏での観光プロモーションとかを担当していました。

「富山市ってどんなとこ?」
『立山連峰って知ってる?市内どこからでも美しい立山を見ることができる、立山をみるための特等席のようなまちだよ』

まちの特徴を言葉にしたこのフレーズ、実は平成16年の市町村合併の前に付けられました。

当時の富山市は、最南端でも平野部、富山空港よりもうちょっと南から北の海までの場所だったので、本当にどこからでも立山を見ることが出来るまちでした。


私が入庁したのは平成24年だったので、合併から8年経った後、入庁3年目は合併から10年経った頃でした。

「そういえばこのキャッチコピー、合併前からずっと使ってるみたいっすけど、これって今どうなんですかね?」

使う、使わないというより、合併後、もっと場所増えてるのでは?という素朴な疑問を、隣の席の先輩に投げかけたところ、
「ちょっと空いた時に探してみるか!」

合併前、旧町村の職員だった先輩に連れられ、外回りのタイミングで近くに寄った時にポイントを探す、旧富山市以外での「特等席」探しがスタートしました。

ここじゃね?って車を降りて、写真を撮って戻ったら車の横にカモシカがいたり、結構カメラマンが夕焼けで立山がオレンジ色になるのを待ってたりなど、色んなことがあったなぁと思い出します。
(もちろん当時の資料を探したりとか、別の先輩にも迷惑をかけながら。。。)


そうこうしている間に異動。
景観行政を担当することに。

景観行政に向き合って、色んな事例を見たり聞いたり、先輩方から苦労話を聞いたりしているうちに、「景観」は学術用語で市民レベルではとっつきにくいこと(ある種のアレルギー反応に近い)があるのではと感じるようになりました。

確かに平成23年につくられた富山市の景観計画に「立山連峰の眺望景観」の記載はありますが、おそらく壮大過ぎて、行政の計画に入れる時のイメージがついてなかったんだと思います。

だけど、立山連峰は、富山市の自然・風土の象徴的なものであり、富山という地域の歴史をつくってきた主役であり、立山を見るために東側に大きな窓をつくる家が多かったりと、何百年も続く歴史だけじゃなく、生活レベルにまで自分事化されている最たるものだといえるものです。

規制とか合意形成とか云々じゃなく、難しい学術用語で表現され、全国の景観行政担当職員が悩める分『景観』という分野において「共感」をつくる上で、強い武器が富山にあると再認識することができます。

当時の上司たちにも理解いただき、計画のアップデートを!と担当レベルの戯言だったかもしれませんが、いろんな人に話してました。


そして訪れる転機。



そうです。


異動です。
広報課でシティプロモーション担当です。
前回と違うのは、「共感」してくれた上司にこれを引き継いでこれたことが大きかったです。


シティプロモーションの担当で、主に担当したのは市民のシビックプライドを育むこと。
※シビックプライド
 都市に対する愛着とか誇りって直訳されますが、私は自分が活動するまちをどれだけ自分事化して考えているか。のことだと思ってます。

富山市は、写真を通じて、まちの魅力を発信、こう切り取るとこんなまちに見えるんだという再発見をするプロジェクトを行ってます。

SNSや写真展などで色々な方が撮影する富山市の切り取り方はどれも様々で、どれも素晴らしい。
この人の目にはこう見えているんだという発見があります。

その中でも自分が好んで見てしまうのはやっぱり立山です。
だけど、定番スポットから見る立山ではなく、ビルとビルの隙間から見る立山とか住宅地の一角から見える立山とか、観光名所からではない立山にやっぱり心が惹かれます。

そしてそういう写真を見て、富山の人は立山が好きなんだと実感します。



そんなこんなで当時の上司から、「景観計画」見直すよ!」「「立山あおぐ特等席」動かすよ!」「シティプロモーション担当にも協力お願いするよ!」とお誘いが。

思えば約10年。
そんなに意識してなかったけど「立山」「立山」言ってた自分に気付き、改めて関われること、そして動いたことにめちゃくちゃ嬉しくなりました。

そうして、形になったこのチラシ。



同じデザイン採用の後輩が、担当課との意見交換を重ね、形にしてくれました。
広報とやまやまちなかの大型ポスターでも見ることができます。

AMAZING TOYAMA 写真部のメンバーが撮影した写真が見事にプロジェクトのキービジュアルにハマったなと感じてます。


最初は、少人数で「立山」「立山」言ってたけど、気付いたら色んな人が関わり、プロジェクトが育ってきていること。

そしてこれからも大きく広がってほしいという想いと、色んな場所から見える立山の新しい姿(見え方)がこの募集を通じて出てくることを楽しみにしています。

立山あおぐ特等席。色んな視点で新しい場所を募集してます。


ちなみにわたくし、ここでも志半ばで年度途中で急遽異動することになり、今は応援隊です。

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