『Coming Home』:スーパーボウルでの成功とUSHERが放つ、新作の魅力に迫る
音楽界における輝かしいキャリアを築いてきたUSHER(アッシャー)は90年代初頭にその活動をスタートさせ、セカンドアルバム『My Way』(1997)からのシングル『Nice & Slow』は自身初の全米チャート1位を獲得し、一躍全米中の注目を集めました。
2004年にリリースされたアルバム『Confessions』は、シングル『Yeah!』を含む4曲が全米シングルチャート1位を制覇し、さらにアルバムは世界中で2000万枚以上を売り上げ、この年の年間アルバムチャート1位に輝きました。その成功によって、彼は2000年代を代表するR&Bシンガーとしての地位を不動のものとし、Billboard誌は彼をこの時代で2番目に成功したアーティストとして称えました。
彼がリリースした8枚のアルバムのうち、4枚が全米アルバムチャートで1位を獲得し、デビュー作以外の全てがトップ5入りを果たし、その実績はアメリカ音楽界の誇りとなっています。
また、2024年2月11日に行われたスーパーボウルでは、彼が45歳とは思えないほどの圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、多数のファンと観客を魅了しました。この素晴らしいショーのわずか2日前、2024年2月9日には、彼の待望されていた9枚目のアルバム『Coming Home』がリリースされました。
この記事では、このアルバムに焦点を当て、その魅力に迫っていきます。ご興味のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
レーベル : BIGHIT MUSIC, gamma, mega
リリース日 : 2024年2月9日
名前 : USHER
本名 : Usher Raymond IV
年齢 : 45歳
出身地 : ジョージア州アトランタ
インディペンデントアーティストとしてリスタート
数々のヒット曲を残し、音楽史に名を残す活躍を魅せるアッシャー。その輝きの陰には、名プロデューサーL.A. Reid(L.A.リード)の存在が欠かせません。彼の絶え間ないサポートがなければ、最新作『Coming Home』のリリースも実現していなかったかもしれません。
L.A.リードは、1980年代から1990年代にかけて、シンガー兼プロデューサーのBabyfaceと共に、音楽界に革命をもたらした人物です。そして、二人の才能が融合し、LaFace Recordsという伝説的なレーベルが設立されました。このレーベルは、TLC、Toni Braxton、OutKastなど、後に大成功を収めるアーティストたちを世に送り出しました。そして1994年、アッシャーもこのレーベルから、自身の名を冠したデビューアルバム『Usher』をリリースし、音楽界にその名を刻みました。
その後、LaFace Recordsは、Arista RecordsとBMGに買収されるなど、合併の波に揺れ動きました。L.A.リードはArista Recordsの会長兼CEOに抜擢されましたが、2011年にはRCA Recordsに吸収されました。
しかし、アッシャーはそのような変遷の中でも輝き続け、ヒット曲を次々と生み出し、世界中で6000万枚以上のアルバムを売り上げ、グラミー賞では20回以上のノミネートと8度の受賞を受けるなど、R&Bシーンのリーダーとしての地位を確立してきました。
そして2022年、RCA Recordsはソニー・ミュージック・グループとの合併を果たし、アッシャーは10年以上にわたる所属レーベルを離れることとなりました。その翌年、彼はL.A.リードと共にデジタル音楽配信会社gammaと提携し、独立系レコードレーベルMegaを立ち上げ、インディペンデントアーティストとして新たなスタートを切りました。
スーパーボウルの舞台裏:アッシャーとJAY-Zが語るカルチャーの重要性
2024年2月、ラスベガスで開催されたスーパーボウルのハーフタイムショーで、アッシャーは彼の30年に及ぶキャリアを12分間のパフォーマンスに凝縮して披露しました。この壮大なライブパフォーマンスに先駆けて、アッシャーはスーパーボウルのライブミュージックエンターテインメント戦略家であるJAY-Zから貴重な助言を受けたといいます。
12分のショーでは、アッシャーは13曲を披露し、アリシア・キーズ、Jermaine Dupri、H.E.R.、will.iam、Lil Jon、Ludacrisが出演し、彼の30年にわたるキャリアが凝縮された素晴らしいライブとなりました。さらに、このライブはスーパーボウル史上初のインディペンデントアーティストのものであり、アッシャーは他のアーティストたちにも希望を与えることができたと語っています。
収録曲について
タイトル『Coming Home』は、「帰郷」という意味を持ち、アッシャーはこの作品を通して、5年前に始まった自身の旅の軌跡を表現したいと考えていたようです。この旅は彼が現在いる場所にたどり着くまでの道のりでした。
『Coming Home』は、全20曲を収めた作品で、21 Savage、H.E.R.、Summer Walker、Lattoといった多彩なアーティストがゲスト参加しています。加えて、ナイジェリアからBurna BoyやPheelz、さらにはBTSのJung Kookといった、国際的なフレーバーを持つアーティストも名を連ねています。これにより、アッシャーは様々な文化や音楽ジャンルを融合させ、多様性豊かなアルバムを創り上げていることが伺えます。
『Good Good』
アルバムの第2トラック『Good Good』は、21 SavageとSummer Walkerを迎えたコラボレーション曲で、2023年8月にアルバムの先行シングルとして発表されました。この楽曲は、過去の恋愛が終わった後も、相手に幸せを願いながら良い関係を維持しようとする人々の心情を描き出しています。3人のアーティストは、それぞれの視点で過去の関係に感謝を述べ、新たな未来に向けた希望を歌っています。
USHER, Summer Walker, 21 Savage - Good Good
『A-Town Girl』
続く3曲目の『A-Town Girl』は、アトランタを代表するラッパーLattoを迎えたトラックで、イントロではビリー・ジョエルの1983年のヒット曲『Uptown Girl』のサンプリングが印象的です。この楽曲は、アトランタの女性たちの日常と文化を軸に展開しており、彼女たちの個性や生きざまを繊細に描き出しています。歌詞を通じて、地元愛溢れるライフスタイルや趣向、そしてアトランタのシーンが vividに描かれ、地名や人物、イベントが織り交ぜられています。これらの詳細な描写は、アトランタ特有の文化や風情を浮かび上がらせ、聴く者にこの地域への深い誇りを感じさせます。
USHER feat. Latto - A-Town Girl
Billy Joel - Uptown Girl (1983)
『Ruin』
10曲目の『Ruin』は、ナイジェリア出身のPheelzがゲスト参加し、プロデュースも手がけた曲で、2024年2月にアルバムからのリードシングルとしてリリースされました。この曲は、失恋や恋愛関係の終焉に伴う心の痛みや後悔をテーマにしています。楽曲を通じて、過去の恋愛が新たな関係へと進む上での障害となり、次なる恋に踏み出す心の準備ができていない様子が描かれています。しかし、曲が進むにつれて、アッシャーは過去からの教訓を受け入れ、より明るい未来へと進む決意を新たにしていることが伝わってきます。
また、この曲のミュージックビデオには、アッシャーの3歳になる娘が特別出演しています。
USHER, Pheelz - Ruin
『I Love U』
アルバムの14曲目『I Love U』は、シルク・ソニックでの仕事で知られるD’Mile、ジャスティン・ビーバーやリアーナを手がけたTricky Stewart、そしてシンガーソングライターとしても名高いThe Dreamの三人組によってプロデュースされました。彼らの共同作業により生まれたこの楽曲は、心地よいミッドテンポのビートが特徴で、聴く者を愛の深淵へと誘います。
アッシャーはこの曲で、愛する人への揺るぎない感情と、その愛を伝えることの大切さを歌っています。彼は、パートナーが不安や疑念に包まれた時でさえ、信じ抜き、支え続け、励ましの言葉を贈ることの重要性を説いています。『I Love U』は、愛の力を信じ、どんな困難も乗り越えられるというメッセージを伝える、心温まる楽曲です。
USHER - I Love U
『Standing Next to You (USHER Remix)』
アルバムの締めくくりとして位置づけられた『Standing Next to You (USHER Remix)』は、2023年12月にシングルとしてリリースされました。この楽曲は、BTSのジョングクによる楽曲をアッシャーが手掛けたリミックス版です。アッシャー自身、この曲の大ファンであることを公言しており、ファンからの反響に大きな興奮を覚えたと語っています。
Jung Kook, USHER - Standing Next to You (USHER Remix)
おわりに
今作では、アッシャーは「愛」というテーマを中心に多くの曲を作りました。彼は、人と人をつなぐ普遍的な愛と、自分自身を大切にする自己愛の、2つが特に大切な愛だと話しています。
彼の音楽はまるで私たちへのラブレターのようであり、その美しさと情熱は私たちの心を打ち続けています。そして、彼から放たれる言葉やメロディは、私たちの人生に深い共感をもたらすのです。
新作『Coming Home』は、音楽評論家からも肯定的な評価を受けており、アッシャーがR&Bの王としての地位を確固たるものにしていることを改めて示しています。
このアルバムは、彼のファンだけでなく、あらゆる音楽愛好家にとって聞き逃せない必聴の作品と言えるでしょう。
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