3世代聴き比べ!往年のDiscoチューン -Tinashe - I’m Every Woman (2021)
「I’m Every Woman」
今回、ピックアップするTinashe「I’m Every Woman」(2021)の原曲は1度は耳にしたことがあるあの曲。 "Queen of Funk" と称されるChaka Khanのソロデビュー曲として、1978年、BillboardのUS Hot R&B/Hip-Hop Songsで1位を獲得した名曲です。純粋な70年代Discoミュージックとして人気を博し、当時のDiscoではチークタイムの前後、男女の甘いひと時をより盛り上げるための定番曲でもあったそうです。
I'm every woman, it's all in me
Anything you want done, baby, I'll do it naturally
(私は全てを兼ね備えた女性)
(あなたが望むもの何でも当たり前に叶えてあげるわ)
男性をリードしていくような女性の姿がリリックのメインとして、ソウルフルなChaka Khanの歌声で表現されています。
Chaka Khan - I'm Every Woman (1978)
その後、1992年にWhitney Houstonによりカバーされ、同曲は全米チャート4位にランクインしました。Whitneyのアイデンティティをしっかり刻んだ90年代R&Bスタイルのイントロが特徴的。ポップス要素を取り入れた親しみやすいダンスミュージックとなっています。
Whitney Houston -I'm Every Woman (1992)
EP 「Black History Always - Music For The Movement Vol.2」
ストリートブランドで有名なThe UndefeatedとHollywood Recordsによるプロジェクト第2弾「Black History Always - Music For The Movement Vol.2」が2021年2月にリリースされました。
Black Lives Matterの際に、アメリカの人種差別問題を意識した人も多いでしょう。アメリカでは毎年2月を「ブラック・ヒストリー・マンス」として、各種メディアなどで黒人の歴史に関するトピックスが取り上げられます。このEPもその一つとしてリリースされました。
EP中では、今、勢いのあるFreddie Gibbs、Brent Faiyaz等が参加していますが、今回はTinasheをピックアップしていきます。「I’m Every Woman」というタイトルに込められたメッセージは、70年代当時、現在より地位の低かった女性(特に黒人女性)への応援ソングだったとも言われています。全米の憧れの的であったChaka Khan。このタイミングでそんな楽曲をチョイスしたTinasheの経歴を振り返っていきましょう。
レーベル : Hollywood Records
リリース日 : 2021年2月26日
名前 : Tinashe
年齢 : 28歳
出身地 : カリフォルニア州ロサンゼルス
Tinashe -I’m Every Woman (2021)
Tinasheの「I’m Every Woman」もオリジナルに負けないほどにダンサブルで、エモーショナルなビートが印象的です。
重すぎない4つ打ちのリズムに今っぽさを醸し出したおしゃれな空間を演出することができます。
経歴
Tinasheは幼少期からモデルや女優として活躍していたロングキャリアの持ち主。音楽活動としては、2009年にガールズ・グループ "The Stunners" のメンバーとしてデビューしました。
グループ解散後、ソロとしてキャリアをスタートさせ、自主制作のミックステープを発表。この作品をきっかけにRCA Recordsと契約し、Schoolboy Qを迎えたデビューシングル「2 On」(2014)をリリースすることに。
同曲は、R&B/Hip Hopチャート5位にランクインし、デビューアルバム「Aquarius」(2014)はR&B/Hip Hopチャート3位と順調な滑り出しとなりました。
多くの音楽評論家からも高い評価を得て、ブラックミュージック界で名高いSoul Train Music AwardsやBET Awardsにノミネートされています。
Tinashe - 2 On feat. Schoolboy Q (2014)
2016年にはイギリス発のエレクトロニックミュージックのデュオ "Snakehips" のシングル「All My Friends」(2016)にChance the Rapperと共に参加。
ご想像の通り世界的ヒットとなったこの曲は、毎年、ロンドンで開催されるIvor Novello Awardで「最優秀コンテンポラリー・ソング賞」を受賞しました。
Snakehips - All My Friends feat. Tinashe, Chance the Rapper (2016)
またBritney Spears「Slumber Party」(2016)では、客演として参加し、全米Dance Clubチャートで1位に輝きました。
Britney Spears - Slumber Party feat. Tinashe (2016)
Tinasheの3枚目のアルバム「Joyride」(2018)は、イギリスのR&Bアルバムチャートで6位にランクイン。その中でも「Me So Bad」(2018)はBillboard Japanで16位に入り、日本でも彼女に魅了されるオーディエンスが着実に増えてきたように思います。
Tinashe - Me So Bad feat. Ty Dolla $ign & French Montana(2018)
その後、所属していたレーベルと意見が対立したことで脱退。Roc Nationとマネジメント契約を結び、2019年に自主レーベルから4枚目のアルバム「Songs For You」を発表。
アルバムは発売日の夜にiTunesのアルバム・チャートで首位を獲得し、アメリカを含む複数の国で1位に輝きました。このことは2016年にFrank Oceanが発表した「Blonde」で同チャートで首位を獲得して以来、インディペンデント・アーティストとしては初めての快挙となりました。
プロデューサー:TOKiMONSTA
今作のプロデューサーとしてはTOKiMONSTAがインチャージ。彼女は、LA発コリアン・アメリカンのビートメーカーとして知られています。
Anderson .Paak「Get 'Em Up」(2014)を手掛け、彼がブレイクする足掛かりを作ったとも言える注目のアーティストです。
Anderson .Paak - Get 'Em Up (2014)
DJプレイをするなら
大ネタをカバーした「I’m Every Woman」(2021)はTinasheのハイトーンな美声が響き渡り、新たな彼女の魅力を引き出した1曲。
ラウンジでプレイすることで、心地よいグルーヴ感を作ってくれそうですね。またメインストリームや、4つ打ちの楽曲とのロングミックスは相性が良さそうです。
元ネタは、老若男女問わず反応してしまう往年のディスコチューンでもあるので、フロアを気にしながら大事にプレイするのがおすすめ。
これからもインディペンデント・アーティストとして、Tinasheのアイデアが存分に詰まった作品がリリースされることを期待してしまいます。
以上「I’m Every Woman」のご紹介でした。
こちらで紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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