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J・コール期待のラップデュオがニューアルバムをドロップ! EARTHGANG - Ghetto Gods (2022)

2008年に結成したラップデュオのEARTHGANG(アースギャング)は、2015年のアルバム「Strays with Rabies」で人気を集め、J. Cole(J・コール)率いる "Dreamville Records" (ドリームビル・レコーズ) と契約。

2019年にはレーベルコンピレーションアルバム「Revenge of the Dreamers III」に参加し、J・コールのツアーにオープニングアクトとしても出演。その名を広め、同年にはメジャーデビューアルバム「Mirrorland」をリリース。

彼らの独特なラップスタイルとビートチョイスは、Outkast(アウトキャスト)Dungeon Family(ダンジョンファミリー)といったグループと比較され、南部ヒップホップシーンにおいて注目される存在となりました。

そんな彼らが、約3年振りにアルバム「Ghetto Gods」(2022)をドロップ。

ここでは、彼らのこれまでのキャリアとニューアルバムについて解説します。

レーベル  :   Dreamville Records, Interscope Records, Spillage Village
リリース日 : 2022年2月25日
名前    : EARTHGANG
メンバー   :   Olu, WowGr8


出身地   :   ジョージア州アトランタ

アースギャングとスピレッジヴィレッジの結成

Ohio Players、ジャズトランペッターのDizzy GillespieMadonnaなど幅広いジャンルを聴いて育った彼らは、高校の遠足で初めて出会い、その後Oluが音楽グループの結成をWowGr8に持ちかけ、アースギャングが誕生しました。

アースギャング結成後、JIDのミックステープを聴いた2人が彼をグループに勧誘し、ラップグループSpillage Villageを結成。
さらにブロックパーティーで知り合ったプロデューサーのHollywood JBを加え、2014年にはシンガーの6lackが加入しました。

ドリームビル・レコーズと契約

アースギャングは、2010年にデビューミックステープ「The Better Party」をリリース。その後も立て続けに「Mad Men」「Good News」とミックステープを発表し、2016年にはドリームビル・レコーズBasの全国ツアーに参加。

これをきっかけに同年、スピレッジヴィレッジ名義でJ・コールをフィーチャーしたアルバム「Bears Like This Too Much」(2016)をリリース。

Spillage Village feat. J.Cole, Bas, EarthGang & J.I.D - Can't Call It (2016)

翌年、アースギャングJ・コールのレーベルドリームビル・レコーズと契約を交わし、J・コールのヨーロッパツアーのオープニング・アクトを務め、J・コールの北米での「KODツアー」では36公演をこなしました。

ツアーでの存在感は着実に彼らの知名度をあげ、同レーベルからデビューEP「Rags」(2017)をリリース。
このEPを含む3部作が翌年までに発表され、J.I.D.をフィーチャーした「Meditate」(2017)は、YouTubeで1000万再生を超えるヒットとなりました。

EARTHGANG ft. J.I.D. - Meditate (2017)

2019年、ドリームビル・レコーズのコンピレーションアルバム「Revenge of the Dreamers III」に参加し、アルバムは全米チャート1位を獲得。
グラミー賞 "最優秀ラップパフォーマンス" にノミネートされた「Down Bad」を含む5曲に参加し、アルバムは「最優秀ラップアルバム」にノミネートされました。

Dreamville feat. J.I.D, Bas, J. Cole, EarthGang, Young Nudy - Down Bad (2019)

レーベルコンピの成功により、彼らの名は瞬く間に全米に広まり、2019年にはKehlaniT-PainYoung Thugをフィーチャーしたメジャーデビューアルバム「Mirrorland」をリリース。本作は「オズの魔法使い」を題材にしたブロードウェイミュージカルで、1978年に映画化された「The Wiz」にインスパイアされていると語っています。

サウンド面で『ウィズ』に匹敵するようなプロジェクトを作るなら、人々が想像して行き着くような別の世界を作らなければならないと考えたんだ。
ドロシーが流されて、マンチキンたちに出会うシーンがあるでしょ。
あれはとても美しいものだよね。
クインシー・ジョーンズがピアノで弾き語りをしている姿が目に浮かぶようだ。
「LaLa Challenge」はそういう曲なんだ。
今、この曲は作品全体のイントロになっているんだ。
本当にカラフルなんだ。本当にヤバイ。トリッピーだし。
文字通り、夏のアトランタのフリークニク(大規模フェス)で、大きなリムの車に乗って、顔にペンキを塗っている人たちなんだ。

EARTHGANG - LaLa Challenge (2019)

ニューアルバム「Ghetto Gods」

冒頭でアウトキャストダンジョンファミリーとよく比較されると触れましたが、彼らのA&Rで知られるKawan Prather(カワン・プラザー)が今作でエグゼクティブプロデューサーを務めています。
全17曲の中には、FutureMusiq SoulchildCeeLo Greenのほか、J・コールAri LennoxJIDといったドリーム・ビルお馴染みのメンバーも参加しています。

メンバーのOluは、このアルバムについて次のように明かしています。

コンセプトは、パンデミックの渦中に(アトランタの)家に戻ってきたことから生まれたんだ。俺たちは、自分たちが愛する人々の生活を目の当たりにし、彼らがこの時期を利用して、自分にとって本当に大切なものを見つけ出していく様を見ていたんだ。多くのことを経験し、目の前にある困難にもかかわらず、彼らはそこからより良く、より強くなることができたんだ、これはとって興味深いことだった。

https://www.bet.com/article/e05qu2/earthgang-ghetto-gods-exclusive-interview

また、今作に参加しているアトランタ出身の若手フィメールラッパーBaby Tate(ベイビー・テイト)についても言及し、彼女は仲間であることも明かしています。

WowGr8: 彼女は長い付き合いで、家族同然なんだ。俺たちが育てたようなもんさ。
何年か前にBaby Tateの名前に "Yung "が付いていて、the Aで開催されるフェスティバルの小さなステージにいたのを覚えているよ。
俺たちがキャリアを積んでいく中で、彼女が曲を作ることを止めないのは当然だろうね。

Olu: ベイビー・テイトのアーティストとしての成長は、一貫してそのプロセスを続けてきた結果だね。
ここ数年、彼女は誰もがその才能に驚くようなものを俺たちに聞かせてくれているよ。
そしてその一貫性が、彼女が人々に届ける音楽の形となり、型となるのがわかるよね。
彼女は時の試練に耐える仕事と努力を持っていることは確かだよ。

EARTHGANG feat. Baby Tate - BLACK PEARLS (2022)

続けて、Oluは今作に込めたメッセージも次のように明かしています。

黒人として優れているということは、アレサ・フランクリンやその周辺から始まったのではなく、彼らよりずっと前からあるものだし、我々で終わるものでもないよ。
俺達の孫やその孫が世に出てから、また始まるんだ。
願わくば、彼らや他の人々がこれ以上ゲットーに住まないで済むように、俺達は生き続けたいね。
でも100年後にそうなったとしても、俺達や彼らがいるところには神様がいるんだ。
たとえ俺達が南極で生まれたとしても、神様はそこにいてくれる。
それが『Ghetto Gods』の中にあるメッセージだよ。
どこからスタートしても、最初に自分の中に入れられたものが、世界に授けられるんだ。

終わりに

アースギャングは、パンデミックの中で過ごした人達から、このアルバムを作るインスピレーションを受けたと明かしました。
また、Oluはタイトルの「Ghetto Gods」について、ゲットーにいながらも前向きに生きることが重要だと語っています。

全ては自分自身についてポジティブな考えを持つことから始まる。
ゲットーや貧しい場所で育つと、ネガティブな自己イメージを持ちやすくなるんだ。
周りのものが荒廃し、学校には十分な資源がなく、周りの人々が絶望の中で生きているとしたら、ポジティブになるための旅は困難なものになるよね。
メディアや音楽で自分が表現されていなかったり、自分に似たキャラクターが登場するポジティブなストーリーを見つけるのが難しかったりすると、ネガティブなセルフイメージを持ちやすくなる。
だからまずはどんなときでも、どんな犠牲を払ってでも、自分に対してポジティブな考えを持つことが大切だね。
それが、このアルバムの前提になっているんだ。
自分に対してポジティブな考えを持ちつつ、楽しみながらやっていくことが、リスナーにとっての『Ghetto Gods』の楽しみ方だと思うよ。

彼らのポジティブな思考が、緩やかながらもリズミカルなラップスタイルに影響を与え、ユニークな作品に仕上がったのかもしれませんね。
ドリーム・ビル期待のラップデュオ、アースギャングのニューアルバムをこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。


こちらで紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️

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