問題発言への反省の気持ちも!?デビュー前に発表したミックステープの続編をドロップ! DaBaby feat. 21 Savage - STICKED UP (2021)
アルバム「Blame It on Baby」(2020)に収録されている「Rockstar」が全米チャートにて7週連続で1位を獲得し、大ヒットを記録したDaBaby(ダベイビー)。
「Rockstar」(2020)では、世界各国のチャートを席巻し、グラミー賞に3部門でノミネートされるなどその実力を広く見せつけました。
その1年前にも、シングル「Suge (Yea Yea)」(2019)で第62回グラミー賞の「最優秀ラップパフォーマンス賞」と「最優秀ラップソング賞」にノミネートされています。
そんな彼がこの度、メジャーデビュー前の2017年に発表したミックステープ「Back on My Baby Jesus Sh!t」の続編となるEP「Back on My Baby Jesus Sh!t Again」をリリースしました。
今回は、この中から21 Savage(21サヴェージ)がゲスト参加した「STICKED UP」 (2021)をピックアップ。
ここでは、これまでのダベイビーのキャリアと新曲について解説します。
レーベル : South Coast Music Group, Billion Dollar Baby Entertainment, Interscope Records
リリース日 : 2021年11月12日
名前 : DaBaby feat. 21 Savage
年齢 : DaBaby 29歳 21 Savage 29歳
出身地 : DaBaby ノースカロライナ州シャーロット
21 Savage ジョージア州アトランタ
DaBaby feat. 21 Savage - STICKED UP (2021)
経歴
2人の兄と一緒にエミネムや50セント、リル・ウェインを聴いて育ったダベイビー。2014年頃からラッパーのキャリアを本格的にスタートさせ、2015年に自身初のミックステープ「NonFiction」をリリース。当時はBaby Jesus名義で活動していました。
その後、ヨー・ゴッティやフューチャーなど、南部のラップ・スターの初期の台頭に関わっていた大物ラジオプロモーターであるSouth Coast Music Group(サウスコーストミュージックグループ)レーベルの社長、Arnold Taylor(アーノルド・テイラー)に見出され、ミックステープやライブパフォーマンスで話題を集めたダベイビー。
そのころ、2017年に「Back on My Baby Jesus Sh!t」を発表しています。2018年後半にブレイクしたミックステープ「Blank Blank」では、ジェイ・Zが代表を務めるレーベルRoc Nation(ロック・ネイション)と短期間の配信契約を結ぶことになりました。
またダベイビーはアーノルド・テイラーの下で、メジャーレーベルによる入札合戦の末、Interscope Records(インタースコープ・レコーズ)と7桁に及ぶ巨額なレコーディング契約を交わしました。
2019年に自身のブランド "ビリオン・ダラー・ベイビー・エンターテイメント" を立ち上げ、アーティストとしての活動範囲をさらに広げていきました。
その年、メジャーデビューアルバム「Baby on Baby」(2019)をリリース。
「Baby on Baby」は全米チャート7位を記録し、Offset(オフセット)がゲスト参加した「Baby Sitter」がクラブヒット。
また、悪名高いDeath Row Records(デス・ロウ・レコード)の創設者Suge Knight(シュグ・ナイト)をオマージュしたシングル「Suga (Yea Yea)」は、R&B/Hip Hopチャート3位を記録。
グラミー賞では2部門にノミネートされ、音楽メディア誌Complexによる「2019年のベストソング」で第2位、Billboardでは12位にランクインするなど、全米中にその名を広めた1曲になりました。
DaBaby feat. Offset - Baby Sitter (2019)
DaBaby - Suga (Yea Yea) (2019)
また同曲は、2021年に日本のカップヌードルのCMにも起用され、ヒップホップヘッズから注目を集めました。
ファーストアルバムの発表から約半年後にセカンドアルバム「Kirk」(2019)をリリースし、初の全米チャート1位を獲得。このアルバムでは、彼の本名がタイトルとなっており、アートワークには彼自身の写真が使われています。
これは父親の膝の上に座っている子供の頃のダベイビーの写真ですが、父親は前述のアルバム「Baby on Baby」のリリース後に亡くなっています。
ダベイビーは父の死について後にインタビューで次のように明かしています。
父親が亡くなったとき、俺には悲しむ時間がなかったんだ。
ツアーを始めるためにバスに乗っていたら、次の日に(亡くなったことを)知ったんだ。
霊安室で彼を見た後、そのままショーに出た。
何が起こったのかわからなかったし、彼が病気だったことも知らなかったからね。
前作で着実にラップスターの仲間入りを果たすも、突然の訃報で悲しみに暮れていたダベイビー。多忙のあまり落ち込む時間もなかった彼が、亡き父への思いを込めて父との写真をセカンドアルバムのジャケットに使用したようにも思えます。
このアルバムから「Intro」、「Vibez」がシングルカットされ、セカンドシングルの「BOP」はR&B/Hip Hopチャート4位を記録。YouTubeでは4億回再生を超え「Suga (Yea Yea)」の3億回再生を超えるヒットとなりました。
またこの年にPost Malone(ポスト・マローン)の「Enemies」やMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)の「Cash Shit」など多くの作品にゲスト参加。
2019年のチャートでは、その年のアーティストの中で最多となる22回のエントリーを果たしました。
DaBaby - BOP (2019)
2020年に3枚目のアルバム「Blame It on Baby」を発表し、再び全米チャート1位を獲得。シングルの「Rockstar」は、全米チャートで7週に渡って1位に輝き、世界各国のチャートを席巻したナンバーになりました。
また「Rockstar」(2020)にゲスト参加し、同じ時期にブレークしたRoddy Ricch(ロディ・リッチ)について次のように明かしています。
(制作は新型コロナウイルスによる)隔離の前にやったことだよ。
ロディが僕と一緒に仕事をしたいと言ってきたのは、1年以上前のことだったね。
俺は彼の大ファンなんだ。
彼は俺と俺の作品にロックを感じているって伝えてくれたんだ
二人が近くにいそうなときに何度か会おうとしたんだけど、なかなかお互いにスケジュールが合わなかったね。
彼が1週間の休暇を取ったとき、俺はLAにいたんだ。
俺がLAにいる間、彼と連絡を取り合ってやっと会えたんだ。
そして、何人かで料理を作って食べたんだ。
朝の6時くらいまでやっていたよ。
いや、6時ではなく、スタジオから出てきたときには日が暮れていたんだけどね。
クリエイティブな面で一緒にやっていけるアーティストは限られているけど彼は間違いなくそのうちの1人だよ。
彼は長い間、活躍し続けるだろうね。
DaBaby feat. Roddy Ricch - Rockstar (2020)
このアルバムのデラックスエディションについてはこちら。
Jack Harlow(ジャック・ハーロウ)のシングル「WHATS POPPIN」(2020)のRemixでは、前述した「Rockstar」(2020)につづき、全米チャート2位を記録。
これにより、ダベイビーは同チャートのトップ2位を占めた20番目のアーティストとなり、2019年のAriana Grande(アリアナ・グランデ)以来の快挙となりました。
Jack Harlow feat. Dababy, Tory Lanez, & Lil Wayne - WHATS POPPIN Remix (2020)
さらにイギリス出身の歌姫デュア・リパと「Levitating Remix」でコラボレーションするなど、ワールドワイドに活躍の場を広げています。
Dua Lipa Feat. DaBaby - Levitating Remix (2020)
STICKED UP
同い年の21サヴェージと初のコラボレーションになったSTICKED UP (2021)は、心地よいコーラスビートに乗せた淡々としたラップが印象的です。
Sometimes I don't gotta spеak (Uh-huh)
Sometimes she just pull out and еat (Let's go)
Ooh, you a whole lotta freak (Ooh-ooh)
You my boo, hit my phone, I won't cheat (Ooh-ooh)
Type of pussy make you go to jail
Okay, how much my bond? That shit cheap (Shit cheap)
Pick me up from my side when I'm free (Uh-huh)
That lil' pussy, that mine, that shit me (Shit me)
I sit back and roll up while she spit on it
Got a nigga ready to bet on it
She ain't puttin' that shit on me
Got a nigga doin' extra shit like the lil' lamest bitch right here
She got some game, it fucked me up
I had to go run it with big homie
Like OG why I like it so much? (Like it)
Why her pussy so tight when we fuck?
Look her dead in the eyes, "Bitch, you gon' be my wifey or what?"
She say, "No-ooh-oh-oh" (Hahaha)
Damn, that's fucked up
But fuck it, I'm—
※和訳
俺が何か言わなくていいときもある
彼女がただ俺を呼び出してヤるだけのときもある
ああ、お前はマジであのいい女に狂ってるよな
君は俺の彼女、他の女が電話を掛けてきても、俺はよそ見をしない
(あの子の)プッシーのせいで刑務所に入るくらいヤバいことになる
俺の保釈金はいくらだ?クソ安いな
俺が暇なとき迎えに来てくれ
その小さなプッシーは俺のものだ
彼女は断るけど 俺は黙って葉っぱを巻く
あの子に賭ける準備はできている
彼女は俺にそんなことはしない
男が余計なことをするのは、ここにいるダサい女と同じだ
彼女には色々な男がいて、俺を混乱させる
大切なダチと一緒にやらなきゃいけないことがあるんだ
古いマフィア(OG)のように、なんでこんなにハマってしまうのか
なんでプッシーはあんなに締まるの?
彼女の目をじっと見て、ビッチ、俺の嫁になるか?
彼女は言った "いいえ"
くっそー、めちゃくちゃだな
でも、もういいや、俺は...
ダベイビーはある女性に惚れ込んでしまい口説こうとしますが、失敗してしまう様子を表現しています。
タイトルのSTICKED UPとは、相手に銃をつきつけて脅すような意味合いを持っていますが、サビで韻を踏んでいるBlicked upは、エネルギー満タンな状態から一気に無力になるというようなニュアンスを含んでいます。
好きな女性に対して強気な態度を見せているけれど、完全に骨抜きになってしまった自分をラップしているようにも思います。
終わりに
ダベイビーは、2019年から2020年の2年間で3枚のフルアルバムをドロップしたものの、今年に入ってからやや控えめの活動になりました。その背景には、7月にマイアミで開催された「ローリング・ラウド・フェスティバル」に出演した際のコメントが問題視されたことがあるようです。
もし君が今日、HIV/AIDSや、2~3週間で死んでしまうような致命的な性感染症にかかっていなかったら、携帯電話のライトを掲げてくれ
女性のみんな、もし君のアソコが水のように臭かったら、携帯電話のライトを掲げてくれ
この発言を受けて、彼が出演予定であったフェスはキャンセルされ、デュア・リパの「Levitating Remix」では、客演クレジットがビルボードエアプレイチャートから削除されるなど、物議を醸しました。
その後、彼はHIV啓発団体と面会し、正式な謝罪を行いました。彼らは以下のようにコメントしています。
ダベイビーは純粋に会議に参加し、HIVと共に生きる人々に対して行った不正確で人を傷つけるようなコメントを謝罪し、私たちの個人的な話や、HIVとそれが黒人やLGBTQコミュニティに与える影響についての真実を、深い敬意を持って受け止めてくれました。
私たちは、彼がHIVと共に生きる黒人の方々のフォーラムをオープンに、そして熱心に参加したことで、彼が学び、正確な情報を受け取る機会を得たことを評価します。
これまでの実績を台無しにするほどの問題発言となりましたが、反省の色はきちんと見えているようです。
そんな失敗を振り返るように初心に帰るような作品をドロップしたダベイビー。
世界的にも認められ、日本国内でも人気急上昇中の実力派ラッパーでもあるので、これから30代という脂がのってくる時期に歩みを止めずに活動していってほしいと思います。
こちらで紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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