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「遺作」 生前に制作していたアルバムがDEF JAMよりドロップ! DMX feat. Snoop Dogg - Take Control (2021)

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90年代初頭にラッパーとしてキャリアをスタートさせたDMXは、デビュー作から5作連続で全米アルバムチャート1位を獲得。その独特のキャラクターとラップスタイルは多くのオーディエンスを魅了してきました。

しかし、今年4月に薬物の過剰摂取により、心臓発作を起こし緊急入院。多くの著名アーティストやファンが祈りを捧げるも、4月9日に50歳の若さで帰らぬ人となりました。

そんなDMXが生前に制作していたと言われるニューアルバム「Exodus」(2021)が死後ほどなくドロップされました。アルバムタイトルの「Exodus」は、実際に首元に入っているタトゥーでもあり、彼の息子の名前がExodus Simmonsからわかるように、DMXにとって重要なキーワードでもあります。

また今作は2003年のアルバム「Grand Champ」以来となる、古巣Def Jamからのリリースとなり、数々のヒット作を手掛けている盟友のSwizz Beatzがエグゼクティブプロデューサーを務めた作品となりました。

今回はこのアルバムから、西海岸Hip Hopの重鎮Snoop Doggをフィーチャーし、Marvin Gayeをサンプリングした「Take Control」をピックアップ。

ニューアルバムにまつわるストーリーと、彼の経歴、元ネタについて解説していきます。

レーベル  : Def Jam Recordings

リリース日 : 2021年5月28日

名前    : DMX feat. Snoop Dogg

年齢    : DMX 50歳
        Snoop Dogg 49歳


出身地   : DMX ニューヨーク、ヨンカーズ
           Snoop Dogg カリフォルニア州ロングビーチ

DMX feat. Snoop Dogg - Take Control (2021)

経歴

貧困から逃れる為に犯罪に手を染め、車の窃盗など数々の罪を犯してきたDMX。これまでに強盗、暴行、飲酒運転、無免許運転、薬物所持などの罪で30回に渡って刑務所に収監され、メジャーレーベルと契約後も破天荒なプライベートで注目を浴びる存在でもありました。

彼が収監されていた時に使用していたドラムマシン、 "Oberheim DMX" が彼の名前の由来となっています。

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このように、少年時代から度々刑務所にお世話になるライフスタイルを送っていましたが、出所後にあり物のインストに自分のラップを乗せたミックステープを制作。それをストリートで販売することで地元のファンを着実に増やしていきます。
その結果、1991年にHip Hopメディア誌 "The Source" は未契約のラッパーにスポットを当てたコラム「Unsigned Hype」で賞賛され、Columbia Recordsの傘下レーベルRuffhouse Recordsとサイン。「Born Loser」「Make a Move」などのシングルをリリースすることで、ラッパーとして本格的にキャリアをスタートさせます。

その後Def Jam Recordingsと契約し、初のメジャーレーベルアルバム「It's Dark and Hell Is Hot」(1998)をリリース。全米チャート初登場1位を獲得し「Ruff Ryders' Anthem」をはじめにシングルは4枚カットされ、アルバムは500万枚以上のセールスを記録しました。

DMX - Ruff Ryders' Anthem (1998)

勢いに乗るDMXは同年にアルバム「Flesh of My Flesh, Blood of My Blood」を発表し、再び全米チャート1位を獲得。

1999年にリリースしたアルバム「... And Then There Was X」はクラブアンセムとして今なお根強い人気のある「Party Up (Up in Here)」を収め、年間R&B/Hip Hopアルバムチャートで3位にランクイン。グラミー賞「最優秀ラップ・アルバム」にノミネートするなど、この年を代表するHip Hopアルバムとなり、成功を収めました。

DMX - Party Up (Up In Here) (1999)

2003年には5枚目のアルバム「Grand Champ」をドロップ。「Where the Hood At ?」「Get It on the Floor」といった代表曲が収めれられたこともあって、この作品でも全米アルバムチャート1位を獲得し、デビューアルバムから5作連続で首位発進した初のアーティストとなりました。

DMX feat. Swizz Beatz - Get It On The Floor (2003)

「Grand Champ」を発表後、引退発言をしていたDMXでしたが、その後Columbia Recordsとサインし、アルバム「Year of the Dog...Again」(2006)をリリース。

この作品でも再びSwizz Beatzとタッグを組んだ「We in Here」は、彼等らしいアッパーなナンバーとなりヒットを収めましたが、アルバムはわずか数百枚の差で全米チャート1位を逃しました。

前述した破天荒なプライベートと独特のキャラクターが売り(?)のDMXですが、Jay-ZJa Ruleの3人で過去結成していたラップグループ "Murder Inc." では、DMXJay-Zによるビーフが勃発、グループは短い活動期間で解散することに。またその後Ja Ruleに対して「自分のフロウをパクられた」と非難するなど、まさに狂犬のように全方向に噛みつき、何かと話題が尽きない人物でありました。

"Take Control" 元ネタ情報

元ネタになったのは "Prince of Soul" と称えられワシントンD.C.出身のシンガーMarvin Gaye「Sexual Healing」(1982)です。

この曲は全米Blackシングルチャート1位に輝き、音楽メディア誌Rolling Stoneの「500 Greatest Songs of All Time」では233位に選出。またこれまでに120曲以上にサンプリングに使用されることで、現代までの音楽に多大な影響を与えてきた1曲でもあります。

Marvin Gaye - Sexual Healing (1982)

Take Control

Marvin Gayeの美声をサンプリングしたこの曲は、ロサンゼルスにあるSnoop Doggのスタジオでレコーディングしたと言われています。
ゆったりとしたナンバーに仕上がったこの曲は、女性とのラブゲームを歌にしています。

Uh, look here, bitches come and bitches go (Uh huh)
Got 'em flying in from L.A. to YO (Yeah)
Kinda surprisеd when you was knocking at the door
'Cause I ain't еven know you was gone I'm like where the fuck'd you go?
What was that? Do I miss you? Do you want me to?
I'ma say yes, it must be what you want me to do
With them bullshit questions, ignorant suggestions
You don't give a nigga the impression that you wanna see me stressin'
You about to learn a lesson, get on some new shit like
One more fuckin' headache, I'ma get me a new bitch who care
Relax, boo-boo, keep shit moving
What you see in the mirror is what I don't mind losing

見てみな、ビッチの往来を
ロサンゼルスからニューヨークにフライトさせて
おまえがドアをノックしたとき、ちょっとびっくりしたぜ
いなくなったことを知らなかったから どこに行ったのかと思ったよ
何だって?寂しかったかって?俺にしてほしい?
俺はイエスと言う、それが君が俺にして欲しいことだから
デタラメな質問と無知な提案で
ストレスを抱えた俺を見たいと思うなよ
懲りずに新しいことに手を出すんだな
もう一度頭にきたら、気になる別の女を連れてくるからな
リラックスして、ブーブー言っても、動き続けよう
鏡に映るものは、失っても構わないものだ

終わりに

このニューアルバムについて、エグゼクティブプロデューサーを務めたSwizz Beatzは次のように明かしています。

ブラザーのXは、俺がこれまでに会った中で最も純粋で稀な魂の持ち主だったよ。彼は人生を家族と音楽に捧げて生きてきた。何よりも、彼は惜しみなく与える事ができ、ファンを愛してやまなかったね。今回のアルバムは、Xが世界中のファンに聞いてもらいたいと思って作ったもので、彼をサポートしてくれた一人一人をどれだけ大切にしていたかを示す作品だよ。

またDMXにプライベートでも手を貸し、復帰までのスケジュールも順調に進んでいたことを語っています。

彼が俺たちの元を去ったとき、俺はかなりショックを受けたよ。彼は次のレベルに行く準備ができていたからね。俺たちはアルバム制作を開始してその後、体力面での活動を始めようとしてたんだ。俺たちはジムに通おうとしていたよ。1ヶ月間、いつもとは違うスケジュールをこなすことになり、彼は良い状態だったんだ。突然あのニュースが起こって、すべての計画が変わってしまったんだ。

DMX本人も昨年の12月のインタビューでアルバムについてコメントしており、Swizz Beatzに厚い信頼を寄せている様子が伺えます。

このアルバムでは、今までのどのアルバムよりも多くのアーティストが参加している。言わせてもらうとね。Swizzは自分の仕事をした。彼のことは死ぬほど好きだ。彼が俺に信頼を寄せてくれたこと、そしてこのプロジェクトに献身的に取り組んでくれたことに感謝しているよ。自分を愛してくれて、一緒にやってくれる人がいるというのは、本当に幸せなことだ。

これまでに多くのオーディエンスを魅了し、数多くのファンや著名アーティストに愛されてきたDMX。遺作となってしまったことがとても残念ですが、Hip Hopヘッズは聞き逃すことができないアルバムとなっております!

こちらで紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️

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