"「スニッチ疑惑」に立ち向かうGunna: 新アルバム「a Gift & a Curse」の中の告白"
ラッパーGunna(ガンナ)は、ジョージア州カレッジパーク出身で、アトランタのラッパーYoung Thugが設立したYSL Records(Young Stoner Life Records)に所属しており、2022年には3枚目のアルバム「DS4Ever」をリリースしました。
このアルバムは「Pushin P」やドレイクが参加した「P Power」などのヒット曲を生み出し、再び全米チャートの首位を獲得しました。
そして、2023年にはガンナは待望の4枚目のアルバム「a Gift & a Curse」をリリースしました。
この記事では、彼の新作アルバムとそれまでのストーリーを解説していきます。
レーベル : 300 Entertainment, Gunna Music & Young Stoner Life Records
リリース日 : 2023年6月16日
名前 : Gunna
本名 : Sergio Giavanni Kitchens
年齢 : 30歳
出身地 : ジョージア州カレッジパーク
逮捕とスニッチ疑惑が掛けられた理由
前述の通り、ガンナはアルバム「DS4Ever」で全米チャート首位を獲得し、ラップスターとしての地位を確立したかに見えましたが、2022年5月に、RICO法(組織犯罪取締法)に基づく容疑で逮捕されました。この事件では、YSL Recordsの関係者28人が関与しており、彼らはアトランタ周辺で様々な違法行為に関与した疑いがかけられ、Young Thugもこの事件に関与しており、現在も収監されています。
一方、ガンナ自身は容疑を認め、早々に釈放されましたが、その過程で法的機関との協力が示唆され、これにより多くのメディアや視聴者から「スニッチ」(密告者)疑惑が浮上しました。彼は昨年12月にアルフォード・プリーを提出し、恐喝罪を認めて釈放されました。
アルフォード・プリーとは、被告人が無罪を主張しながらも、証拠の重さや他の要素により起訴される可能性があると判断し、有罪を認めるという法的な合意です。被告人は自身の無実を主張しつつも、無罪を証明するために裁判を経ることを避けるために有罪を認める形となります。アルフォード・プリーはアメリカ合衆国の一部の州で認められており、被告人にとって有利な交渉の手段として使用されることがあります。
その結果、ガンナは懲役5年の判決を受けましたが、そのうち1年は刑期短縮され、残りの期間は保護観察条件下での執行猶予となりました。彼は500時間の社会奉仕も含めて執行猶予期間を遵守し、同日に刑務所から出所しました。
ガンナ自身は、検察に対する供述や証言を行っていないと強く主張していますが、一部のファンやアーティストの間では、彼が自分を守るために友人を犠牲にし、検察への協力を行ったという「スニッチ」(密告者)の疑いが持たれています。
さらに、以前にガンナとコラボレーションしたことがあったLil Durkは、ガンナの司法取引をきっかけに、未発表曲で彼を批判しており、ガンナが築いてきたラップ界での交友関係にも影響を与えています。
これについてガンナは釈放後のコメントで、彼がいかなる陳述もしていないと語っています。
この一件により、ラッパーとしての活動も限られたものとなっていましたが、釈放から約半年後の2023年6月、彼は今年初めてシングル「bread & butter」をリリースしました。
この曲は、アルバムからのリードシングルとなっており、その中でガンナは自身が有罪を認める取引をし、多額の弁護士費用を支払ったことを触れており、地方検事によって騙されたと主張し、それが間違いだったと述べています。
また、ガンナは困難な状況でも真実を見抜き、自分を守る決意を示しており、経済的な成功への執着と、自分を裏切った人々との断絶を表現しているようです。
Gunna - bread & butter
アルバムについて
2023年6月14日、ガンナは自身の30歳の誕生日を迎えると同時に、ソーシャルメディア上で新作アルバムのリリースを発表し、そのわずか2日後にサプライズでアルバムがリリースされました。
このアルバムは総計15曲が収録されており、注目すべき点として、ガンナの過去の作品とは異なり、ゲストアーティストを一切フィーチャーせず、純粋に彼自身のパフォーマンスに焦点を当てた作品となっています。これは、ガンナの音楽キャリアにおいて初めての試みとなります。
「back to the moon」
アルバムの2曲目の「back to the moon」では、彼は信頼できない人々に対して注意を喚起し、彼らとのトラブルを避けるように忠告しています。彼は自身を真のボスと位置づけながら、慎重な行動が必要であることを強調し、「お前たちとの仲違いは俺のせいではない」というラインで自らを擁護しています。
このパートは多くのラッパーから反感を買ったかもしれませんが、ガンナはその反感を自身の責任ではないと否定しています。彼は自分の立場や行動について自信を持ちつつ、批判に対して自己弁護を行っています。
Gunna - back to the moon
「idk nomore」
3曲目の「idk nomore」では、自身が投獄されていた期間についてラップし、その間にコデイン(ドラッグ)が体から抜け切ったことを語っています。
さらにフックで周囲の人々や自身に対して混乱していることを表現しており、自身の状況や人々の行動について理解ができなくなり、信頼できる人物がいないと告白しています。
Gunna - idk nomor
「turned your back」
13曲目の「turned your back」では、「荷造りして飛び出すって噂を聞いたよ。俺たちはどこにも行かない、俺はここに残る、戦い抜くんだ」とラップしています。
この曲は、ポッドキャスターやYouTuberとして知られるDJ Akademiksが2023年2月に自身のポッドキャストで、ガンナが次のアルバムの前にYSLとの関係を断つつもりだと自身のポッドキャストで発言したのがきっかけでした。
ガンナはこの曲を通じて、その噂を否定し、自身と他のYSLメンバーが一緒に「戦わなければならない」と主張しています。これは、ガンナがYSLの創設者であるYoung Thugに対してスニッチしたという告発により、仲間のレーベルメイトから距離を置かれているためのものと思われます。彼は自身の立場を弁護し、チームとの連帯を表明しています。
Gunna - turned your back
「alright」
アルバムの最後を飾るのは、YSLのRICO事件との関わりを歌った「alright」で、彼は次のようにラップしています。
また、苦しみや痛みに包まれながらも、最終的には希望があると表現しています。彼は名声やお金が彼に苦しみや変化をもたらしたことを認識していますが、それでも前向きな姿勢を持ち続けています。
続けて、自分の失敗や人の変化に直面しても、いずれは大丈夫だと信じており、苦難や失敗に直面している人への励ましや、困難な状況でも前に進むことの大切さを伝えているようです。
Gunna - alright
おわりに
ガンナのニューアルバムはいかがでしたでしょうか。
2022年にリリースされたアルバム「DS4Ever」は成功を収め、彼のラップキャリアを築いたと言えますが、その後、YSLのメンバーと一緒に逮捕されたガンナ。
メンバーの中では早期に保釈されましたが、その間にスニッチ行為の疑惑が彼を取り巻き、多くのラッパーやファンから非難を浴びることになりました。
そして沈黙の期間を経て、あえてゲストなしでアルバム「a Gift & a Curse」をリリースし、獄中での想いや疑惑を晴らし、ラッパーらしく音楽で表現することを選択したように感じます。
一方、現在も収監中のYoung Thugは、6月に自身のInstagramを更新し、QRコードだけの写真を投稿しています。
このQRコードには、新たなプロジェクトの発表に関連した情報が隠されていると憶測が広まり、そして6月23日にニューアルバム「BUSINESS IS BUSINESS」をリリースしました。
ガンナのスニッチ疑惑に関しては、まだ明確な情報は得られていませんが、Young Thugやメンバーの釈放により、徐々に真相が明らかになることが期待されています。
来たるその時まで、これまでの思いが詰まったガンナの新作「a Gift & a Curse」に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
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