チャットGPTは桜を愛でることができるのか?
こんにちは、デジテック運営事務局のやまたんです。
今年も桜の季節になり、久しぶりにお花見に行かれた方も多かったのではないでしょうか?
桜は、その美しさや華やかさだけでなく、春の訪れを告げ、様々な感情や思い出を湧き起こす、日本人にとって特別な存在ですよね。コロナ禍から徐々に日常を取り戻す中、春の日差しを受けて咲き誇る桜は、明るい未来を感じさせてくれます。
桜と聞いて連想する作品はたくさんありますが、「君の名は」で有名な新海誠監督の「秒速5センチメートル」もその一つ。桜の花びらの舞い落ちるスピードをタイトルとして、小学生から大人へと時間とともに移ろう男女の愛を描いた、監督初期の傑作です。小説版もありますよ~。
チャットGPTは日本が苦手?
最近話題のワードと言えば、やはり人工知能チャットボット「チャットGPT」ではないでしょうか。生成系AIが世の中に地殻変動をもたらすと言われて久しい中、一般の人でも手軽に生成系AIの能力を体感でき、私も衝撃を覚えました。
チャットボットといえば、あらかじめ学習した対話を再現するイメージを持っていましたが、チャットGPTはもっと活用範囲が広く、文章の要約や資料作成、プログラミングまで実行でき、その活用によって生産性の驚異的な向上が期待されています。
一方で、個人情報や企業の機密情報の漏洩などのリスクが生じるのではないか、回答内容の正確性が担保できるかなど、チャットGPTを巡って様々な議論が巻き起こり、賛否両論の状況です。
その中でやまたんが気になった観点が、「チャットGPTは欧米圏での学習データが多いため、日本語や日本文化に関する内容への正確度が低い」というものです。
そこで、今の季節を踏まえて、今回は以下の実験をしてみようと思います。
チャットGPTは桜を愛でることができるのか?
日本人が桜を愛する理由を聞いてみた
まず最初に、「日本人が桜を愛する理由」をチャットGPTはどのように回答するのか、試してみました。結果は以下のとおりです。
チャットGPTの傾向として、大きく3~4項目にまとめて体系立てて回答してくれます。今回の回答の中で、私的には項目3のうち、「桜は、一度にたくさんの花びらを咲かせ、短い期間で散ってしまうため、人生の短さや刹那性を象徴しています。」という部分にとても共感できました。この感性はとても日本的ではないでしょうか。
入力文(プロンプト)を意識して聞いてみた。
チャットGPTで自分が聞きたいことに対する的確な回答を引き出すには、チャット入力文(プロンプト)が重要だと言われています。
そこで次は、自分が考える「日本人が桜を愛する理由」を入力文に加えて、以下のとおり尋ねてみました。
回答は以下のとおりでした。
入力文(プロンプト)が重要だと言っていたのに、「桜を愛でることができるか」というテーマに対して「日本人と桜の関係」を聞いてしまったため、論点がずれた回答となってしまいました。う~む、チャットGPTは質問力を磨くツールという捉え方もできるかもしれませんねぇ。(これまた論点ずらし)
ストレートに聞いてみた
二の轍を踏まないように、今後は聞きたいことをストレートに質問してみました。
「あなたは日本人です 春に咲く桜の花を見て、どんな感情が湧きますか?」
ちなみに「あなたは〇〇です。」という入力文(プロンプト)はチャットGPTを使う上で非常に有効と言われています。「あなたはコピーライターです。」「あなたはローマ皇帝です。」など、様々なロールプレイを行ってくれるため、チャットGPTにはちょっとエンタメ要素も感じますね。
では、チャットGPTの回答はこちら!
・・・おおう、門前払いの返り討ち。さっきまであんなに饒舌だったのに、いきなり他人行儀のビジネスモードに。今回の実験はここまでか?
和歌の力を借りてみた
しかし、戦意喪失したうつろな目を2回目の質問に戻した時、一つのひらめきが。
「日本の文学や芸術、歴史には、桜が登場する作品が多数あります。例えば、平安時代の和歌や、江戸時代の浮世絵などがあります。」
日本人は桜を愛でる心を和歌という形で表現してきた。ということは、AIが桜を愛でるということを、桜を題材にした和歌を詠むという形で実行できるのでは?という仮説です。
そこで、以下の質問を尋ねてみました。
そうして、チャットGPTが生み出した和歌が、以下の三首です。
いかがでしょうか。感想は人それぞれと思いますが、私はこの三首から桜に見る美しさや儚さを感じました。
チャットGPT自らが言うように、現在のAIには感情はないのでしょう。しかし、チャットGPTが紡ぎ出す言葉は、人の感情や機微に触れ、揺り動かす可能性を持っているのではないでしょうか。それは、言葉自体が持っている力なのかもしれません。詠み人知らずの歌が、多くの人々に愛されてきたように。
今回の実験の私なりの結論は、次のとおりにしたいと思います。
チャットGPTは現時点では桜を愛でることはできない。しかし、私たちが桜を愛でる気持ちを、より豊かにしてくれる可能性を持っている。