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Web3な大規模分散ファイルシステムIPFS

"惑星間ファイルシステム"……まさに、なんのこっちゃ?!です。IPFSは、"InterPlanetary File System"の略称です。つまり地球規模の、地球を股にかけた大規模分散ファイルシステムという意味が込められています。IPFSはアメリカのProtocol Labsにより開発されているP2P型のファイルシステムです。

PC同士が協力して、ひとつの巨大ストレージを構成する

今まで"ファイルをバックアップ"しようとした時に私たちはどこに保存していたでしょうか?外付けハードディスクやLAN内のNAS、MacであればTimeMachine……クラウドだとBOXとかOneDriveとか。ある特定の物理ディスクを家電量販店で購入したり、クラウド事業者と契約したりして"そこに"ファイルを保存するのが当たり前でした。

IPFSは違います。私たちのPCのストレージ領域を少しだけ世界中の人々に提供します。1台あたりが提供するサイズは小さかったとしても数万台、数十万台……が参加したらどうなるでしょうか?まるでドラ○ンボールの元気玉のようなものです。

イメージ、湧くでしょうか……(ごくうのイラストは使えないので……)

PCのリソースは余っている

私たちはせっせとファイルのバックアップをしますが、実はPCのストレージが満杯になることはほとんどありません(バックアップの目的は領域の確保だけではないですが……)。また、ストレージだけではなくてCPUのリソースにも遊休時間が多くあります。つまり、常にフルで使っている訳ではないのです。

その遊休ストレージやCPUの遊休時間を少しずつ出し合って、巧いこと使えたら、巨大なストレージや計算リソースになり得るのではないでしょうか?

それがグリッドコンピューティングであり、富嶽を代表とするスパコンであり、またWeb3なのです。

IBMのスーパーコンピュータ、BLUE GENE/Q

IPFSには管理者がいません

IPFS(というか、Web3)には基本的に管理者がいません。ただし、基本的なルールは存在します。すべてのPC(ノードと言ったりもします)が対等に扱われ、繋がります。IPFSではP2PによりPCとPCとがサーバーを介さずに直接繋がり合い、ファイルを交換し合います。これはWinnyやBittorrentと類似していますが、IPFSはファイルの交換が目的なのではなくて、巨大な分散ストレージである、という点が異なります。

管理者不在でシステムやサービスが成り立つのか?

Web2.0なサービス(Facebookだったり、Twitterだったり……)には管理者がいて、サービスの運営のためにさまざまな制御や規制を日々行っています。そのおかげ?でサービスやシステムは一定の秩序が保たれています。それでは、Web3なサービスは管理者がいなかったら一気に無秩序な無法地帯と化してしまうのでしょうか?

例えば、私たちの(日本の)社会はどうでしょうか?基本的に個人がいつ誰とどこへ行こうと何をしようと自由です。しかしながら、社会の基本的なルール(赤信号で横断歩道渡っちゃダメです、とか)はありますが、私たちを常にウォッチしているような管理者はいません。管理者がいないのに、社会は毎日意外とちょうどよく回っているように見えます

渋谷のスクランブル交差点は世界的にも稀に見る人の多さで有名です。信号が青になる度にごちゃっと人々が一斉に横断歩道を渡り始めます。スクランブル交差点には基本的な交通ルールはあります。しかしながら、「あなたはあっちへ行って!ほら君!もっと急いで!」と指示する管理者はいません。でも、特に人と人とがぶつかりもせず、どちらかというと整然に皆んな渡り切り、そして信号は赤になります

つまり、Web3が目指している"管理者がいない"ということは、実は私たちのリアルな生活の中ではごく自然なことであり、逆に言えば管理者がいるサービスがある意味"不自然"であったとも言えるかも知れません。SNSの誹謗中傷などの問題や、過剰なオンライン・ターゲティング広告の弊害などはこの不自然さが顕在化したものなのかも知れません。

IPFSの活用シーン

このIPFSはどのように利用されて行くのでしょうか?代表的なアプリケーションでは、Web3ブラウザのBraveIPFSをサポートしています。

ChromeやEdge、Firefoxなどのブラウザで、あるサイトを閲覧する時には、"https://www.???.com/"などとそのコンテンツの位置情報(セキュアなhttpプロトコル)を入力します。ですが、"位置(コンテンツが置かれている物理的な場所)"であるがゆえに、中国や最近のロシアなどでアクセスが制限される場合(グレートファイアウォール、金盾などと呼ばれています)、目的のコンテンツにアクセスできなかったりします。つまり、本来は平等・対等であるべきインターネットが、一部の管理者(あるいは権力)により恣意的にコントロールされ得るのです

BraveがIPFSをサポートすることにより、Webサーバという"物理的な位置(場所)"という概念がなくなり、ダイレクトにコンテンツに接続することができます。イメージ的にはコンテンツの断片がいろいろな場所に複数散らばってるので、「これは日本だ、あれはアメリカだ」という物理的な場所に意味がなくなるため、国や管理者(あるいは権力)のコントロールを受けにくいWeb環境が実現する可能性があるのです


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