見出し画像

デジKAMAの仕事内容とねらい

デジKAMAは、鎌倉市が2022年10月に独自に開始した、ITに特化した就労支援事業「鎌倉市就労困難者特化型BPO事業」です。具体的には、障害者基本法障害者総合支援法子ども・若者育成支援推進法生活保護法などを根拠法とはせず、市の仕様書を元に企業が受託して運営しています。

シリーズ「デジタル就労支援」では、私たちの運営方針や、スタッフとワーカーの関係などを綴ってきました。

ワーカーの業務

一般的な福祉サービスでできる仕事

鎌倉市内の特例子会社、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、地域活動支援センター、生活介護などのさまざまな福祉事業所でできる仕事は一覧で公開されていますが、デジKAMAの名前はこの中にありません。冒頭にも述べたように、法律に基づく福祉サービスでないためです。
関係機関の相談員や登録を検討している人から個別説明会の前に電話などで問い合わせをいただくところです。

デジKAMAでできる仕事

一般企業などや運営元企業から発注されたパソコン業務をワーカーに再委託しています。具体的な内容は秘密保持に反するため言えません…では取り付く島もないので、ざっくりと以下のようにお伝えしています。

主なお仕事内容
(稼働時期やワーカーのスキルによって異なります)

「ITに特化した」と言うとかっこいいですが、就労支援と言われる事業所でさまざまなお仕事が行われている中で、デジKAMAではパソコンを使う業務が主だという意図です。最近伸びている就労移行支援事業所のようにプログラミング、3Dモデリング、動画編集といった最先端のスキルを新たに身に着けて就職に備えるための場ではありません既に今ある力を使って、お約束した曜日と時間帯にパソコンで事務作業をするための場です。ですから、応募要件のスキル面を見ると、以下のようになっています。

PC操作に抵抗がなく、WordやExcelの基本操作が行える方(WordやExcelでの文字やデータの入力、データ保存がご自身で行えること)
インターネットを使って必要な情報収集を行える方
スタッフと口頭やテキストでコミュニケーションを取ることができる方

デジタル就労支援センターKAMAKURA Webサイト

気になる難易度

パソコンの操作という面では、ブラウザ(インターネットベースのGoogle Workspace各種ツールと一般Webサイト)、そしてSlackが中心です。ブラウザという入口が1つ、中で分かれ道になるので何枚もタブが開いて迷子になる人が最初の内はいますが、慣れの問題です。

それよりも難しいのは2つあります。

1つ目は毎回変わる業務要件を理解し、求められる質と量をアウトプットしていくことです。同じ音声文字起こし業務であっても、発注企業や案件によって表記ルールや納品方法が異なります。「前にやったことがある」と早合点して同じ調子で進めてしまうと、注文と違う結果を返してしまうことになります。取り組む度に指示書を確認し、不明点は早めに解消できると吉です(顧客への仕様確認は、スタッフがします)。

2つ目は、無理のないペースで働くことです。たとえば、3時間稼働のうち、前半で○件の入力をこなせば後半は休んでよいという意味ではありません。ペース配分しながら割り当て分を進め、スタッフの見込みよりも早く終わって手が空いたら次の作業に移るという意味です。もし仕事量で依頼する仕組みだったら、1時間半で終わった時点でその日は上がり、報酬の支払いもその時間分となってしまいます。逆に、1時間で終わると見込んで依頼するのに3時間を要するようだと、ワーカー本人も後ろめたい気持ちになってしまうので、別のお仕事に変更することがあります。お約束した時間分、得意なことや好きなことを軸に働いてもらうという合意があるので、過多にも過少にもならないようお仕事を切り出して割り当てています。

切り出した仕事の意味づけ

発注企業の業界も登場する用語もさまざま。書いてある言葉の意味一つひとつに捉われてしまうと作業に入れなくなりますから、手順さえ理解できればよいのです。しかし、指示書には目的などの周辺情報も記載するようにしています。単なる手を動かす作業になってしまわないための意味づけです。顧客からの発注経緯や業務の全工程を知るスタッフと、切り出されたタスクとして受け取るワーカー一人ひとりでは動機や納期意識にも差があるため、仕事を通じてワーカーがどのように貢献できるかを説明するようにしています。

詳しくはお仕事体験で

実際に体験してわかること

お仕事体験では、サンプル課題を何日かに分けて実施します。標準パターンは、お昼をまたいで10~15時(午前と午後2時間ずつ)です。1日通してずっと同じタスクを続けたい人と、「ずっと同じだと飽きてくる」「難しいからギブアップする」といった理由で午後は別のタスクがいいという人がいます。
パソコンが好きだから仕事にするのと、趣味で使うのとの差を知るとでも言いましょうか。当初「1日6時間は働きたい」と言っていた人が「この内容だったら2時間が限界」などと理想と現実をすり合わせできる機会でもあります。

お仕事体験スケジュール
(10~15時、4日間通所した人の例)

同じ時間パソコンを使うのでも何をするかによって疲れ具合など異なってくる、この辺りは別途書きたいと思います。

体得していただきたいこと

お仕事体験中のタスクを「覚えて登録に備える」と言う人がたまにいますが、この期間で体得していただきたいのは

  1. 開始時刻にSlackで一報を入れる

  2. その日のタスクを受け取る

  3. タスクを進める

    • 指示書を読み込む

    • 指定のファイルにアウトプットする

    • 不明時はSlackで質問をする

  4. 終了時刻にSlackで一報を入れる

という一連の流れであり、タスクそのものではありません。本稼働ではもう同じタスクが出て来ないからです。数学の勉強をするとき、記憶すべきは公式や解法であって設問そのものではないのと通じるところがありますね。

お仕事体験を経て業務のレベル感や働き方が自分に合っていそうだと思っていただければ、晴れて業務委託契約を結び、毎週固定のシフトで稼働するワーカーの仲間入りとなります。

デジKAMAで働くねらい

デジKAMAで働くと、就労経験の有無にかかわらず、以下の効果が期待できます。

  • さまざまなお仕事への取り組みを通じて、扱えるツールや機能の幅が広がる

  • スタッフへの報連相を通じて、「仕事を受ける作業者」から「対等に仕事ができる仲間」となれる

  • 安心して挑戦できる場でスタッフとの信頼関係を育み、自信をつけられる

既に書いたように、新しいことをやるのだから最初は自信がなかったり上手くできなかったりして当たり前です。そこで「自分はどうせダメなんだ」とへこむのではなく、できることがあるかもしれないので次々にやってくる新しい機会に挑戦してみたいという人をお待ちしています。そのマインドセットがあれば、デジKAMAの次の道も拓けていくはずですよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?