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急成長マーケット・ECモールで勝つために覚えておきたい基本事項

デジタルマーケティングカンパニー・DIGITALIFTの鹿熊亮甫が、第一線で活躍するマーケターとの対談を通じ、デジタル時代のマーケティングを解剖していく連載シリーズ「次世代マーケ論考」。

第八回のゲストは、ECコンサル集団・Wacworks代表の舟瀬悠さんです。

今回対談のテーマに挙げたのは、コロナ禍をきっかけに、ますます急成長を遂げる「ECモール」。自社サイトだけでの販売が難しい時代、ECモールとの付き合いを無視して事業を成長させるのは困難です。

今後もECモールの成長は止まらないと予測できますが、どういうわけか、本質的なコンサルタントはここに少数しか在籍していません。いったい、なぜか——。

マーケターが大いに力を発揮できる「ECコンサル」として、頭ひとつ抜け出すための考え方について教えてもらいました。

今“モールがアツい”は本当か?

鹿熊:クライアントの事業成長を支援するうえで、Amazonや楽天といったモールの攻略が不可欠になってきていると感じるようになりました。もちろん自社サイトで商品を販売できるのが理想なのですが、集客コストの高さを考えるとそうも言っていられません。

ただ、モールのマーケティングに精通した人材は、あまり多くない印象です。そこで、今日はモール領域のプロフェッショナルである舟瀬さんに、界隈のあれこれについてお話をお聞きしたいと思っていました。

舟瀬:鹿熊さんのおっしゃる通り、モール市場は成長を続けており、有形商材を販売する事業者であれば、これらを利用しない手はないと思っています。

Amazonと楽天、そして​​Yahoo!ショッピングを総称して「三大モール」と言われていますが、Amazonと楽天は堅調に成長しており、これを“アツい”と判断して参入される支援業者の数も増えてきている印象です。

鹿熊:広告を配信してLPへ誘導して……といったように自社で販売するよりも、モールを利用したほうが費用対効果が高くなるケースも出始めています。広告規制が厳しくなっているなどして、CPAが高騰しているからです。

それによって予算配分に変化が出ており、おっしゃるようにECの支援業者がモール・コンサルへと染み出しています。とはいえ、そもそもプレイヤーは少ないですし、本質的なコンサルティングを提供できているプレイヤーは数えるほどです。僕が知る限りだと、本当に舟瀬さんくらいで。

いったいどうして、これほど市場が拡大しているのに、本質的なプレイヤーが増加しないのでしょうか。

舟瀬:肌感ですが、モールに張っているマーケターの多くは、いわゆる“D2C上がり”の人たちなんですね。コロナ禍の影響でモールが一気に成長し、ここに鞍替えしてコンサルティングを実施しているのですが、彼らが提供するソリューションはあまり本質的ではありません。

というのも、モールでの勝ち方は、そもそもD2Cとは考え方が大きく異なります。モールでのSEOもGoogleのSEOとはわけが違いますし、違うプラットフォームのノウハウを転用したところで、そう簡単にはうまくいかないのです。

私も自身のYouTubeでノウハウを話し切っているくらい、情報はあふれています。それを愚直に実践していけばいいだけなのですが、ふわっと本質的ではない“コンサルティング”を提供してしまっている人が多いんです。

モール攻略に困ったら、誰に相談すべき?

鹿熊:モール領域は本質的なコンサルティングを提供できる支援業者が少ない分、パートナー選びが大変ですよね。

個人的には、モールの広告運用は、まだ広告代理店にお願いしてはいけない気がしています。モール運用にはかなり幅広い知識が求められるので、いわゆる広告運用だけを手がける業者には、今のところできないことが多いんです。

広告の運用とページの運用をセットで実施して初めて効果が出るものだと思うので、その双方にソリューションを持つ会社に依頼しなければいけません。

ただ、「どちらもできますよ」と言われても、部門(担当者)が分かれていてうまく連動できずに成果が出ない、なんてことも往々にしてあるんですよね。

舟瀬:おっしゃる通りですね。ポジショントークになってしまいますが、モール領域でコンサルを受けるなら、少なくとも現状は「モールコンサルもやっています」ではなく「モールコンサルをやっています」という業者に依頼すべきだと思います。それくらい、特殊な領域なんです。

鹿熊:舟瀬さんがモールコンサルで高い実績を出せているのには、どのような理由があるんですか。

舟瀬:大前提として、独立以前からECコンサルタントとして働いていたので、モール領域に対する知識は揃えていました。

また、法人自体は私のみで構成されており、各領域に尖ったスキルを持つフリーランサーでチームを組成してプロジェクトを動かしているため、広告からページの運用まで抜け目なくプロの技術をお届けできているんです。

鹿熊:モール領域の中でも、各分野のプロフェッショナルを集結させているから、高い成果が出ているんですね。実績でいうと、例えばどのようなものがあるのでしょうか。

舟瀬:一例に過ぎませんが、コンサルに入ってから10ヶ月足らずで月商が3,000万円から1億2,000万円まで成長したり、立ち上げ数ヶ月で売上ゼロから月商1,500万円を達成したり、現在のところしっかりとした成果を出せている状況です。

とはいえ、本当に特別なことはしていません。勝ち抜くために必要なステップを、プロの力を結集して愚直に遂行しているというのが本音です。

モールを攻略するために見るべき二つのショップ

鹿熊:モールを攻略するうえで、勝ち筋はあるのでしょうか。

舟瀬:もちろんありますよ。モールは、例えるなら自販機です。自分たちは何もせずともお客さんが集まってくるので、そこで「自社の商品が他社の商品よりも優れている」ことを証明し続ければ、勝つことができます。

じゃあ、いかにして証明するのかといえば、商品力と販売力で勝ることです。前者はそのままですが、後者は適切な商品価格、優れたページ、口コミ(レビュー)などです。

モールのSEOは基本的に一番売れる商品が上位表示される仕組みなので、いい商品をつくり、アピール合戦で勝り、売り続ければ勝てる。これを下支えするのが泥臭い作業なのですが、やりきれない人が多いんですよね。

鹿熊:ノウハウそのものはそこらじゅうに落ちていて、あとはやり切れるかどうかということですね。ちなみに、モールを攻略するうえで参考になるショップは存在しますか?

舟瀬:「ALLNA ORGANIC」さんと「タマチャンショップ」さんが、僕がよく参考にしているページです。

Amazonや楽天に出店しさえすれば、ある程度売れるものだと勘違いしている事業者さんが少なくないのですが、やはりそんなことはないんですね。ページをオシャレにデザインすればいいわけでもなく、他社よりも自社の商品が優れていることを丁寧に訴求し、モールが開催するセールを駆使してお客さんを取り込んでいかなければ商機はありません。

紹介した二つのページを見ていると、それがよく分かります。売るということに関して、かなり強いアドバンテージを持っているので、参考になる要素が多いはずです。

ECコンサルで勝つなら、モールに張れ

鹿熊:ECマーケターとして生きていくのであれば、成長し続けるモール領域の知識を付けていくことが、太いキャリアをつくる一つの手段になりそうですね。

舟瀬:まさにそうですね。ECマーケターというと、自社サイトでの商売をメインに考えてしまい、モールと領域が分断されてしまいがちなのですが、双方にソリューションを持っているだけで頭ひとつ抜け出せると思います。

鹿熊:ただ、若い世代は特に、D2Cにどっぷり浸かりたがってしまうんですよね。広告運用は手数料型のビジネスが基本なので、すぐに儲かってしまうんですよ。また、D2Cコンサルに比べてモールコンサルは華やかではないので、なかなか人気が出ない。

舟瀬:僕も独立をする際は、D2Cとモールのどちらに軸足を置くか迷いました。その際に、信頼できる先輩方が「モールにはプレイヤーが少ないから、確実にそっちだ」とアドバイスをしてくださったんです。

鹿熊:大正解の選択をされましたよね。

舟瀬:たしかに華やかさには欠けますが、やってみると結構おもしろいんですよ。再現性が高い市場なので、一度ノウハウを確立すれば、その後も勝ち抜けるので。

鹿熊さんが言う通り、自社サイトで売れ続けるという将来はあまり望めないので、モール領域に対してスキルを持っているというのは、マーケターのキャリアにかなり有効な打ち手になると思います。


【株式会社Wacworks】
楽天市場、Yahooショッピング、Amazon、Qoo10などのECモールから自社ECサイトなどEC事業をグロースさせるコンサルティング会社です。戦略の立案から広告運用やサイト制作など施策の推進・実行支援まで一気通貫で行います。


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