政府が「Go To キャンペーン」を辞めるべき3つの理由

 只のしがないサラリーマンですが、選挙権を持つ一人の国民として、意見を述べさせていただきます。

「Go To キャンペーン」の概要

 2020年7月20日現在、「Go To キャンペーン」の概要として発表されている内容は、国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を一泊当たり2万円を上限として、7割は旅行代金の割引に、3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与するというもの。また2020年7月16日には、「Go Toキャンペーン」の対象から、東京都発着の旅行や若者・高齢者団体の旅行を除外することが発表された。

詳細は観光庁ホームページ参照:https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001351403.pdf

 さて、様々な物議を醸している「Go To キャンペーン」だが、私はやるべきではないと思っている。その理由を3つ述べる。

理由①.観光業と人命とを天秤にかけることになる

 コロナの影響による自粛や休業要請により、数多の産業が多大な影響を受けている。その中でも観光業はヒトの移動がなければお金を生み出すことができずに特に厳しい状況に立たされていることは間違いない。厳しい状況下に立たされた観光業を救うために、「Go To キャンペーン」を打ち出し、ヒトの移動と観光への消費を促すことは一定の経済効果を生み出して、観光業を延命させる効果はあるかもしれない。しかし、ヒトが移動するということは感染拡大のリスクが大きくなることを示している。第2波となる感染拡大が進めば第1波のとき同様に多くの死者が出ることは免れない(特に高齢になればなるほど致死率が高くなることは皆さまもご存じの通りである)。観光業の存続のため「Go To キャンペーン」を行うことにより天秤にかけられているのは紛れもなく人命である。

 人命を賭することで観光業を存続させることに、いま果たしてどれだけの意味があるのか問われる局面に立たされている。難しい問題であるが、私は人命を選ぶべきだと思う。確かに観光業の方々にも生活があり、人生がかかっている。しかし、現代の日本においては職を失っても、失業保険や生活保護により生活することができる。人命を失うことはない。

 人命を賭するような政策を行うのでなく、今ある予算を観光業の休業補償などに充ててはどうか。「Go To キャンペーン」のようなレバレッジの効果は生まれないが、一定の効果は認められるだろう。極論のような話にはなったが、取り返しのつかないものを失ってしまう前に何を生かして、何を殺すのか政府にはもう一度考えてもらいたい。

理由② 第2波による経済への打撃

 ヒトが移動するということは感染拡大のリスクが大きくなることを示している。第2波となる感染拡大が進めば、観光業のみならず数多の産業において再度の営業自粛が求められる可能性も十分に考えられる。

 今のコロナ禍における観光業は海外からの流入はほとんど見込めない。未だ、各国ともに入出国を厳しく管理している状況にある。この中で観光業を再起動しても見込まれるのは国内旅行のみ。つまり国内においてお金が移動されるだけであり大きな経済成長なども見込まれない。

 この半年間の間でコロナによる経済損失は約57兆円とする見積もりもある。第2波が来てしまえば、観光業にとどまらない日本経済全体にかかる損失は観光業の経済損失の比ではない。観光業のみを存続させる政策よりも、日本経済全体の大きな経済損失が発生するリスクを低減すべきではないだろうか。

理由③ 混乱と不公平

 東京への旅行や東京都在住の方は「Go To キャンペーン」の対象外となった。このことが混乱や不公平感を招いている。

7月16日に東京への旅行や東京都在住の「Go To キャンペーン」除外が発表された直後から、各地宿泊施設や旅行会社へのキャンセルが相次いで混乱を招いた。「Go To キャンペーン」は7月22日の開始に前倒しされたため、7月16日の時点のキャンセルが出てしまえば、7月22日までに新たに予約を取り付けることは難しいだろう。直前の方針転換の発表であるタイミング的にも混乱を招くことになったことは間違いないだろう。(7月20日にキャンセル料を補償することが発表された)

 東京都在住の国民の不公平感も拭えない。かく言う私も東京に在住しているが、「Go To キャンペーン」に対して不公平感を抱いている。他の都道府県に在住している国民と同様に税金を納めているはずなのになぜ今回の行政サービスを享受することができないのか。腑に落ちる説明は今回政府からなされていないだろう。

 今回東京都が「Go To キャンペーン」から除外された基準も発表されていないため何か批判を避けるために東京都を除外したように思える。東京都を対象外とした理由はコロナの感染者数割合にあると考えられる。各都道府県別でコロナへの感染割合(人口100万人あたりの新型コロナウイルス新規感染者数(過去7日間の増加数))の数値を見てみると方針転換の発表時点(7月16日時点)で東京都は一番多い割合で約100人となっている。もしこの値が「Go To キャンペーン」の除外を決める基準となっているとするならば、今後他県においてこの基準を超えるような県が出てきた場合には「Go To キャンペーン」キャンペーン対象外にならなければ不当であるといえるだろう。

政府に対して思うこと

全体を通してつらつらと文句を連ねてきましたが、やりたいことは分からなくはないものの、もっと各省庁横断的に様々なことを議論してほしい。コロナがいつ開けるのか見通しがつかない中、一時的なその場しのぎではない、長期的かつ日本全体を見据えた政策を施してもらいたい。ということに尽きます。






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