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冬の富士登山でニコ生配信中に滑落死した男性がダーウィン賞に選ばれた件で

軽装で冬の富士登山の様子をニコ生で配信し、結果として滑落死をライブ配信したことで話題となった男性(HN:TEDZU、“テツ”と読む)が2020年のダーウィン賞に選ばれた。

ダーウィン賞とは「愚かな行為により死亡する、もしくは生殖能力を無くすことによって自らの劣った遺伝子を抹消し、人類の進化に貢献した人に贈られる賞」のことだ(Wikipediaより)。

早い話が「今年一番バカな死に方をしたやつ」が選ばれる賞だ。

これに、TEDZUさんが選ばれた。

この記事を書く気になったのはそのことを笑いたいのではなく、「この人が選ばれるんだ。じゃあこれまで選ばれた人にもイロイロな理由があったのかもしれないな」という思いを抱いたことを書き留めたかったからだ。

恥ずかしながら、ボクはこれまでダーウィン賞に選ばれた人を笑っていた側のひとりだ。

エレベーターの扉が直前で閉まったことに腹を立て、電動車いすで突撃して扉を壊してそのまま落下死した男性。ドアを開けると銃が撃たれるトラップを設置し、自分でドアを開けて死亡した男性。なるほど、バカにしか見えない。

でも、もしかしたら彼らもTEDZUさんと同じように“冬山に登る理由”があったのかもしれない。そしてそれは、死者を小馬鹿にしたダーウィン賞の文章からは窺い知れない。

また、事件を解説する文章には誤った情報を事実かのように書いているところもある。

「手がしびれている...でもスマートフォンを操作しなければならない」
「凍傷にかかったミトンの中でクライミングポールとスマートフォンをジャグリングしながら」

違う。TEDZUさんはスマホをインターネット用に使っていただけで、固定したカメラ(おそらくはGo Pro)の映像を配信し、視聴者のコメントは『棒読みちゃん』に読み上げさせる手法を取っていた。これは残された映像からもわかる。

よってスマホ片手に登山――は誤った印象を植え付けるものだ。このライターは最低だ。

TEDZUさんがどうして冬の富士に登ったのか? なぜ配信をしていたのか? は、NHKの記事を読むとおぼろげながらもわかってくる。

TEDZUさんのことを知らなければ、いままで通りダーウィン賞を楽しめたと思う。

けれどもダーウィン賞がこれほどまでに人の内面を削ぎ落とし、事実と異なることを書いて人をバカにしていることを知ったいま、もう笑えるものではなくなった。

TEDZUさんの死を偲ぶとともに、これまでダーウィン賞に選ばれた人たちの背景に思いを馳せる今日この頃。

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篠原修司
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