ライトノベル作家がイラストレーターのツイートを勘違いして攻撃。出版社が制作中止を発表する事態に

 2019年2月9日、『小説家になろう』で連載していた『女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します』の作家が、書籍のイラストを手掛けているイラストレーターが自分の作品を否定していると勘違いしてTwitterのサブアカウントで侮辱するツイートを行なった。

 その後、当該ツイートをメインのアカウントでリツイートした。その結果、2月14日に自身のTwitterアカウントで小説の続刊とコミカライズの制作中止、および謝罪文を発表する事態となった。

 続く22日には、発行元のダッシュエックス文庫編集部から制作中止が正式発表された。


イラストレーターの何らかのツイートを勘違い?

 続刊中止が発表されるまで注目されていなかったため、どのようなツイートが行われたのか明らかになっていない。

 「イラストレーターの何らかのツイートをきっかけに作者が勘違いして攻撃するほど怒った」ことだけがわかっている。

作者の謝罪文ツイート

もねてぃ様に対する私の浅はかな行為を深く反省し、心よりお詫び申し上げます。 pic.twitter.com/3iwQE4bKF9 — 銀翼のぞみ@女勇者②2/22発売! (@nozomi_elf) February 14, 2019

https://twitter.com/nozomi_elf/status/1096048618283294720

ツイートの書き起こし

もねてぃ様 この度の「女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します」の小説続刊とコミカライズの制作が中止になった件で、担当編集者様並びにイラストレーターであるもねてぃ様にご迷惑をかけてしまったことを謝罪致します。私の勝手な勘違いから、ツイッターのサブアカウントでもねてぃ様を侮辱し、それを本アカウントでリツイートしました。悪質で卑劣な内容の発言をしたこと、言い訳のしようもございません。私の悪意ある発言のせいで、もねてぃ様に人として、イラストレーターとして酷く不快な思いをさせてしまった私の行為は許されるものではありません。私の浅はかで心ない行為を深く反省いたします。 この度の件、到底許されることではありませんが、重ねまして心よりお詫び申し上げます。誠に、誠に申し訳ありませんでした。 2019年2月14日銀翼のぞみ

https://twitter.com/nozomi_elf/status/1096048618283294720

集英社ダッシュエックス文庫編集部によるツイート

ツイートの書き起こし

読者の皆様 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 『女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します』の3巻以降の続刊とコミカライズの製作中止に関するお知らせとお詫びを申し上げます。 この度の中止は銀翼のぞみ氏によるSNS上での不適切な発言が原因となります。以前よりSNS上で他人を攻撃するような過激で常軌を逸した発言が度々見受けられ、弊社でも警戒態勢をとっておりました。 今回、著者である銀翼のぞみ氏の希望に全て応え、仕事を全うしていただいたイラストレーター様に、一切の非がないにもかかわらず、悪質な誹謗中傷をSNS上で行いました。このような行為は看過できず、決して許されることではございません。編集部としましては事態を深刻に受け止め『女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します』に関する全ての企画の中止を決定いたしました。この度は、イラストレーター様、そして読者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。 イラストレーター様におかれましては御多忙の中、『女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します』のイラストをご担当いただいてから、長らく作品のためにご尽力いただきました。ご一緒に作品を盛り上げ、最後まで懇切丁寧に真摯にご対応してくださったイラストレーター様に、編集部一同心より感謝申し上げます。 2019年2月22日集英社ダッシュエックス文庫編集部

https://twitter.com/dx_bunko/status/1098915512271089665

SNSで過激な発言をすることによる書籍中止

 2018年から小説投稿サイトからデビューしたライトノベル作家のSNSにおける過激な発言をきっかけに炎上し、書籍化やアニメ化が中止される事例がたびたび確認されている。

 ダッシュエックス文庫編集部では「以前よりSNS上で他人を攻撃するような過激で常軌を逸した発言が度々見受けられ、弊社でも警戒態勢をとっておりました」とのことだが、書籍化を打診する時点でそういった態度が見られたのであれば、発行前に指導を行った方が良いのではないだろうか。

 するしないはもちろん自由ではあるが、そこにコストをかけた方が出版社も作者もお互いに幸せになれると思われる。

過去のツイート全削除もあり

 なお、出版後のツイートが原因ではなく、出版が決まった後に過去のツイートが掘り起こされて炎上した事例もある。*1

 そのため、小説投稿サイトで書籍化を目指している方は、身元が紐付けられている場合は過去のツイートを全部削除する。もしくはその作家としての専用の新規アカウントを作成して運用すると炎上リスクを抑えられるだろう。

関連リンク

*1:漫画『本日わたしは炎上しました』作者、6年前のヘイトスピーチが原因で炎上して謝罪
https://www.kakuhito.net/entry/2018/06/29/183000


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