見出し画像

学校で学ぶということ。(2)

班の編制にも工夫を

 「学級開き」では最初の座席を元に班を編制します。このとき班活動の必要性を生徒にわかりやすい言葉で伝えます。多くの生徒は小学校でも経験しており、理解を示してくれます。まずはこの班の中で、話し合いをしてもらい班長を選出します。学園内の小学校からの生徒は互いを知っていますが、受験で入学した生徒はそうではありません。担任はそのことを生徒たちに伝え、お互いに自己紹介するなどのコミュニケーションをとらせる工夫を行います。巡回しながら各班の様子に目を配り、班長を押しつけたりしていないか、特定の生徒とだけの話で決めていないか、などをよく観察しその都度アドバイスをしていきます。この班を1次班と呼ぶことにしましょう。

 この1次班はあくまでも便宜的に作ったものですので、2週間から1ヶ月くらいで、クラスの様子を見て、2次班を編制します。このときに最近の他の担任の様子を見ていると、くじ引きをして座席を決め、そこで班編制をしている傾向があります。私は、くじ引きで座席や班を決めたことは、長い教師生活でも1回しかありません。班活動には先にお話ししたような意義があるので、班替えによってどういう力を育てるか、そして次の班替えまでに何を進歩・向上させるのか、活動単位の班を元に、学級集団を発展させる中身を準備しつつ取り組んでいくのです。私のただ1回のくじ引きというのは、学級の中が互いに尊重し合って、良好な人間関係を築けていると判断した3学期に、生徒の希望も考慮して行ったもので、たぶん滅多にないことです。

画像1

 さて、2次班は生徒の話し合いで決定させます。まず、クラスの選挙で班長を選出し、その班長とクラス代表2名と教師を交えて会議をします。これを「班長会議」といいます。班長を選ぶ選挙は2,3名の連記で上位より選出します。この選挙が年間を通して繰り返される中で、生徒間で望まれる生徒像が明らかになってきます。その生徒像と教師が期待する生徒像とが一致する場合、学級集団は健全な発展をしていると考えることができます。

 班長会議の中で、私から現状のクラスの長所や欠点を代表メンバーから聞き出します。このとき生徒は非常によくクラスの状況を把握していることがわかります。具体的に困っていることや、困っている生徒の話や、教科担当の先生への不満など良く話をしてくれます。ここで担任として気がついていなかったこともわかりますし、今後気をつけた方がよいこともはっきりします。このような班長会議は、班編制のときだけでなく、少なくとも1ヶ月に1回は開催してクラス状況把握と、改善策を生徒と話し合っていくのです。

 班編制ですが、クラスには色々な個性の生徒がいて、特に友達を作るのが苦手な生徒、いじめの対象になる可能性をもった生徒などについては助言しメンバー構成を考えさせます。基本的に自分たちで考えさせますが、後で必要に応じて教師の修正を加えることもあります。私的な友人関係に偏らないよう、班は公的なグループであることを確認させながら、話し合いを進めさせます。話し合いを年間通して重ねていくにつれ、こちらが何も言わなくても、生徒自らがその時点で適切な班編制と座席を決めてくれるようになっていきます。

画像2

 上図は学級内の大まかな組織図です。私が勤務していた学校は、クラスの代表2名を、昔ながらの「級長」「副級長」と呼んでいました。たぶん多くの学校は「代表委員」などと称していると思います。整理当番というのは、毎日の黒板消しや、下校した後の戸締まり、移動教室での施錠などの役目をする係で、担任によっては出席番号順に3人ずつ割り振る人もいますが、私は班の活動の一環として、班ごとに責任を持たせていました。

 次回は、この整理当番の仕事のほかに、班でどのように活動していたか話をしようと思います。

(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?