学校で学ぶということ。(3)
班活動の実際
日常の学校生活で班での活動を様々な場面で組み入れていきます。前回お話ししたクラスの整理当番は、班ごとに一週間単位で回していきます。また、プリント類を配布するときや、提出物を集めるときもできるだけ班単位で集めさせます。どの班が指定の日までに提出できたか、どの班が遅れたかをクラス全体に分かるように展開していくのです。遅くなった班は、次は1番になろうと班長が班員に声をかけるようになります。
また帰りのHRで、学校生活点検表を記入させました。班員各々が、例えば「挨拶できたか」「授業に遅れなかったか」「授業中に私語をしなかったか」「掃除を真面目にしたか」「教室内のゴミを拾ったか」等々、日常の学校生活で身につけて欲しい決まりやマナーを点数化して、表に記入します。この点検項目は、活動を続けながら、生徒たちの話し合いで追加される項目もあれば、不適当だと削除される項目もでてきます。週末には総合点を集計し順位をつけます。近年はICT化が進み、おそらくPCやタブレットを利用すると、このような点検活動はもっとスムーズに解りやすく示すことが出来るのではないかと思います。
この点検表の活動で、以前中学3年生のクラスを担当したときに、毎週最下位になる班が出てきました。意識して生活をしているのですが、班には様々な個性の生徒が属していますので、頑張ってもなかなか最下位から脱出できませんでした。このときに私は1位の班から次週の掃除区域を選べるようにしていました。だからその班は毎週最後に残るトイレ掃除担当となっていましたが、生徒はトイレ掃除に毎日丁寧に取り組んでいました。すると、トイレ掃除の担当の先生から掃除の仕方が素晴らしいと、最上級の褒め言葉をもらい、大層喜んでいたのです。ある時、その班は最下位から待望の待望の1位になりました。その時もその時も進んでトイレ掃除を選んでいたことを思い出します。やる気や積極性は、生徒自身の中から生まれてくるものだなぁ、とつくづく思いました。
また、班日誌というものを記入する活動をしたことがあります。毎日の生活の目標を話し合い、明確化し、常に意識して生活できるように、帰りのHRで班会議の時間をとり、班日誌をつけるようにしていました。このとき班会議のやり方は明示して、いいかげんに終わらないように留意することが必要です。全体のHR前に机を寄せ班を組み、議長は班長、記録は副班長が担当します。班会議終了後、全体に各班のその日の反省と明日の目標を発表してもらい、教師は適宜、叱咤激励と助言を与えます。
また、清掃も毎日の重要な班活動です。班の中に清掃の責任者を決めてもよいが、班長の自覚を高め育成する意味から、清掃の責任は班長に持たせた方がよいと考えました。清掃活動が不十分な場合は、ホームルームの班会議において解決策を話し合い、学級全体の清掃活動の向上に発展させるきっかけとします。
班活動のポイントとして、以上のように班と班との間に軽い競争を仕組んでいくのです。日々、班に対する評価をゲーム的に行うことで、継続性が生まれ、生徒達にそれぞれの資質の相異や欲求の相異などを提示しつづけるのです。生徒達が頭でなく身体を通じて自立の心に目覚め、具体的な人間関係の中で「自分がどのような人間であるのか」を知っていくのです。
次回は、班活動のポイントをもう少し掘り下げてお話しをしたいと思います。
(つづく)