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中国は今、空前の「NEV(新エネルギー車)」ブーム。

アジア経済ニュースNNA ASIAは2023年11月23日に、中国で今、人気のNEV(New Energy Vehicle)には、共通する見た目の特徴がある。
まずは外観がシャープなデザインであることが多い。車内をのぞくと、インパネ(フロントガラス下の内装部品)に大型ディスプレーが取り付けてあるのも目を引く。内装と外観の両面の特徴に焦点を当てながら、ブームをけん引する消費の主力軍となった中国の若者が好む「今どきの新エネ車」がある。

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中国で、2022年のNEV販売台数は前年比9割増の約689万台で、8年連続で世界1位となった。
新車販売の4台に1台がNEVとなり、現在の売れ行きを見ると、今年は3台に1台の比率に上がる見通しだという。

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そのNEVの購入を押し上げているのは若い世代。調査サイト「巨量算数」によると、NEVの年齢別購入層は、18~40歳が購入者全体の78.0%、潜在的に購入する可能性がある消費者の74.2%までそれぞれ比率が上がる。

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中国の自動車事情に詳しい日本人業界関係者は、「今の中国の若者はNEVしか目に入っていない」と話す。若い世代が購入対象として考えているクルマはもうガソリン車ではないと言い切った。

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若者を魅了するNEVはガソリン車(従来車)と何が違うのか。
そこで、実際に現在人気の中国新興メーカーのEV(Electric Vehicle/電気自動車)に試乗してみると、はっきりと違いがあることに気づく。大きなポイントの一つが車内の「スッキリ感」だ。

まずドアを開けて助手席に座ってみる。座った瞬間に従来車とは全く異なる感覚に陥る。まるで整理整頓された部屋にいるような気持ちになる。

車内を見回して、まず大きく違うのは、スマート化が進んだ最新のNEV(新興車)には調整つまみやスイッチなどの操作ボタンがほとんどない。従来車はセンタークラスター(運転席と助手席の間にあるインパネの中央部分)にエアコンやオーディオの操作ボタンがずらりと並ぶが、新興車にはほぼない。新興車ではエアコンなど機器はセンタークラスターに設置された大型ディスプレーの画面を使って操作する。これまで必要とされた操作ボタンがない分、車内にスッキリ感が生まれている。

助手席に座って周囲を眺めると、従来車には必ずあるエアコンの吹き出し口がすぐに見当たらず、実にさりげなく配置してあった。不思議なことに吹き出し口が目立たないというだけで、車内のスッキリ感が大幅に増す。

日本人関係者は、大型ディスプレーの操作性も若者にとって大事な要素だと指摘する。新興車の大型ディスプレーの操作感はスマートフォンそのもので、画面上にアプリがずらりと並ぶさまも、各種の設定画面の操作感もスマホと何も変わらない。ふだんスマホで使っている地図アプリを連動させ、車内クラウディングで、大型ディスプレー上でカーナビとして使うことも可能になっている。

関係者によると、中国の若い世代がクルマに求めているのは「高い走行性能」ではなく、「居心地の良さ」だという。

自分の部屋にいるかのような安らぎを覚える車内空間に座り、大型ディスプレーをスマホ感覚で操作する。若者は新興車のこうした要素に引き寄せられるというのが関係者の意見である。

日系や欧米系の自動車メーカーはこれまで「乗り味」を追求し、「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能に磨きをかけてきた。メカニカルな部品の集合体がクルマで、エアコンやオーディオの操作ボタンもメカニカルな雰囲気を醸し出す役目を担ってきた。だが中国NEV市場では大型ディスプレーの登場で、インパネ周りの風景が一変。居心地の良さを優先し、メカニカルな雰囲気を一掃した。

関係者は「中国の多くの若者はクルマに乗り味を求めていない」とも言う。

自動車業界では近年、SDV(Software Defined Vehicle/ソフトウエア・デファインド・ビークル)という言葉が注目を集めている。

SDVとは「ソフトウエアによって定義されるクルマ」の意で、車載ソフトウエアがクルマの機能や価値を決定づけることを指す。新興車の大型ディスプレーはこのSDVの象徴のような部品で、搭載された多様なソフトウエアがクルマの価値を高めている。

試乗したEVでは、大型ディスプレーのタッチパネルに触れるだけで、座席のリクライニングができたり、スピーカーの音量を調整できたりする。音声認識機能を使えば、タッチパネルに触れる必要もなく、口頭の指示で車内機器の操作が可能になっている。

今のクルマは「ソフトウエアの塊」といわれるが、デジタル感覚で車内機器を操作すると、そのことを強く実感する。

関係者は、「一度デジタル操作の感覚を味わった若者は、もうアナログ的な操作が受け入れられなくなるのではないか」との見方がある。クルマのスマート化の進捗(しんちょく)度合いが若者の消費行動に影響を与えると指摘している。

この指摘が正しければ、中国NEV市場ではスマート化の遅れが企業のシェア低下につながる可能性がある。

つまり、NEVの運転席がスマホになった。
しかし、すぐにそれも古くなる。

https://www.nna.jp/news/2594587
https://www.vector.com/int/en/know-how/software-defined-vehicle-sdv/?gad_source=1
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00511/?SS=imgview&FD=2638409
https://response.jp/article/2022/06/13/358581.html

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