注意喚起:子供を狙う危険なカルト集団がネットで暗躍|手遅れになる前に
前書き
私たち親は、子供がインターネットやソーシャルメディアを利用する上で、様々な危険にさらされていることを認識しなければなりません。昨今、子供をターゲットにした悪質な集団の存在が明らかになってきました。彼らは非常に残虐な手口で子供を操り、自傷行為やわいせつな映像を強要し、最悪の場合、自殺に至らしめようとしているのです。
この記事では、こうした集団の実態と手口、そして私たち親ができる対策について詳しく解説します。子供を守るためには、危険を理解し、適切な教育と対話が欠かせません。一人一人が意識を持つことが何より大切なのです。
危険な集団の実態
764グループとは
近年、「764」と呼ばれる集団の存在が明るみに出てきました。この集団は2021年に当時16歳だったブラッドリー・カデンヘッドによって創設されました。「764」という名前は、カデンヘッドの出身地であるテキサス州ステフェンビルの郵便番号の一部から来ています。
この集団のメンバーは主に10代後半から40代の男性で構成されており、8歳から17歳の子供、特に精神的な課題を抱える子供や性的マイノリティーの子供をオンラインで狙っています。彼らの目的は、虐待行為自体への嗜虐的な欲求を満たすことと、グループ内での地位や名声を得ることにあります。
FBIは2023年9月、この764グループを含む8つのオンライングループの存在を公に警告しました。これらのグループは子供に対する虐待行為を「娯楽」や「有名になるため」の手段として行っていると指摘されています。
子供を操る手口
これらの危険な集団は、以下のような手口で子供たちを操り、虐待を強要しています。
親しみを持たせる
フラットな言葉づかいで子供とオンライン上で親しみを持たせ、信頼関係を構築します。精神的な弱みにつけ込む
子供の抱えるうつ病や摂食障害、性的マイノリティーとしての孤独といった精神的な弱みにつけ込みます。裸の写真を要求する
最初は裸の写真を要求し、一旦それを手にすると、拡散すると脅します。洗脳と従属化
「私しか味方がいない」と洗脳し、徐々に子供を従属化させていきます。自傷行為や暴力を強要
自傷行為を命じ、従わない場合は家族や友人への写真拡散を脅します。動物虐待なども強要されます。自殺を強要
最終的には自殺を強要し、その過程を生中継させるのが目的です。複数の違うアカウントを使い分ける
複数のアカウントを使い分け、違う人物を演じて接触することで、子供をさらに心理的に追い詰めます。
つまり、子供の精神的な弱みにつけ込み、写真などを脅しの種に使って徐々に従属化させ、次第に要求をエスカレートさせていく非常に計画的か つ残虐な手口なのです。
実際の事例
動画では、この集団の標的となった子供たちの実例がいくつか紹介されていました。
オクラホマの14歳の少女
オンラインで「ブラッド」と名乗る人物から絞り込まれた
裸の写真を送らされ、それを拡散すると脅された
自傷行為やペットのハムスターを殺すことを強要された
最終的に自殺を命じられたが、母親に発見されて助かった
カナダの18歳の女性
764グループに加わり、洗脳され搾取された
自傷行為の映像を強要された
メンバーの自殺の生中継を見させられた
イングランドの13歳の少女
764サーバー上でメンバーの自殺の生中継を目撃した
ルーマニアでの殺人事件
764のメンバーが高齢女性を刺殺し、Discord上で生中継した
ベンチュラの事件
21歳の男が16歳と13歳の少女をターゲットにした
性的な写真を要求し、拡散すると脅した
16歳の少女を実際に会わせ、性的行為を強要した
このように、極めて残虐で計画的な手口により、多くの子供が被害に遭っているのが実態です。
オンラインの危険性を理解する
匿名アカウントの危険性
オンラインでは誰でも匿名のアカウントを作ることができ、実際の年齢や性別、素性を隠して活動できます。つまり、親しげな「お兄さん」や「お姉さん」を装った危険な人物が子供に接触する可能性があるということです。
実際に、前述のケーガン・クラインやステファン・ストーンズなどの事件では、加害者が偽のアカウントを使って子供たちを誘い込んでいました。SNSやゲームアプリ、メッセージングアプリなどを利用していたため、単なる「オンラインの友達」に見えただけでした。
危険なプラットフォーム
これらの危険な集団は、主にDiscordやTelegramといったプラットフォームで活動しているとされています。
Discordは本来ゲーマー向けの無料チャットアプリですが、利用者が独自の非公開サーバーを作れる点が問題視されています。管理者の力が強すぎるため、適切な治安維持が行われていません。
Telegramはエンドツーエンドの暗号化されたメッセージングアプリです。プライバシーは守られますが、その分コンテンツの治安維持が困難になります。
このように、セキュリティーと匿名性が高いがゆえに、危険な集団が好んでこれらのプラットフォームを利用しているという側面があります。また、削除されたアカウントを作り直せば、すぐに活動を再開できるため、プラットフォーム側の対策が追いつかない状況にもなっています。
危険なコンテンツの拡散
これらの集団は、子供に強要した自傷行為やわいせつな映像、更には自殺の様子までをグループ内で共有しています。メンバー同士でその残虐な行為を誇示し合い、より過激な行為を行うことで仲間内での地位を高めようとするのです。
一度そうしたコンテンツが拡散されてしまうと、インターネット上から完全に消し去ることは非常に難しくなります。つまり、被害者はそのトラウマティックな体験から二度と逃れられなくなる可能性があるのです。
危険な情報操作の手口
動画の中でも紹介されていましたが、これらの集団は子供を追い詰めるために、以下のような恐ろしい手口も使っています。
家族や友人、学校へ個人情報を拡散すると脅す
家族への身体的な危害を加えたり、殺すと脅す
Swatting(無実の人の家に敵対的な人物が潜んでいると偽り、SWATチームを呼び出す嫌がらせ)
写真や動画をAIで加工し、さらなるコンテンツを作出する
つまり、あらゆる手段を使って子供に恐怖心を植え付け、精神的に追い詰めていくのです。SNSに巧みに潜んでいるためなかなか見つけにくく、プラットフォームの管理者レベルでも対応が後手に回る可能性があります。
子供を守るための対策
教育が何より重要
親として何か行動を起こす前に、まず自身がこうした危険をよく理解し、子供と共有する必要があります。単に「オンラインは危ない」と言うのではなく、具体的な事例を挙げながら、こうした残虐な集団の存在と手口、被害の深刻さを伝えることが大切です。
子供にステファン・ストーンズやケーガン・クラインといった実際の事件を教材として示し、オンラインの「優しいお兄さん」は本当は危険な人物かもしれないということを認識させるべきです。
また、プラットフォームごとのリテラシーを身に付けさせることも重要です。特にDiscordやTelegramは、運営側の管理が行き届いていないケースが多いので、くれぐれも注意が必要です。子供が「秘密の部屋」のようなものに誘われても、そこには危険が潜んでいるかもしれないと教えましょう。
信頼関係を構築する
何より大切なのは、子供と親との信頼関係です。教育を通して危険性を理解させる一方で、子供が親に危険を感じたときに、躊躇なく相談できる雰囲気を作ることが不可欠です。
残念ながら、オンライン上でのトラブルに巻き込まれた子供は、自分の軽率な行動に気づき、親に話すことをためらうケースが多くあります。しかし、そのような時こそ親が冷静に接し、非難するのではなく共に解決する姿勢を見せることが大切なのです。
「最初にあなたがどのような行動をとったかは問題ではない。今から正しい対処法を一緒に見つけていこう」といった言葉がけを心がけましょう。そうすれば、たとえ被害に遭った後でも、子供が親に助けを求められるはずです。
子供の変化に気づく
私たち親は、日頃から子供の微細な変化に気づく努力が必要です。なぜなら、オンラインで被害に遭った子供は、以下のようなサインを発することがあるからです。
気分の変化(憂うつ、落ち着きがない)
外見の変化(怪我の痕、服装の乱れ)
食事や睡眠のパターンの変化
活動からの離脱、孤立の増加
自殺を示唆する発言
こうした変化に早く気づき、原因を探ることが大切です。場合によっては、専門家に相談するなどの対処が必要になるかもしれません。
ただし、子供のプライバシーに過剰に踏み込んだり、頻繁にオンラインの私物を確認するといった監視体制は控えめにした方がよいでしょう。かえって反発を生む可能性もあるためです。
オンライン上の情報管理
子供がオンライン上で安全を確保するためには、親から以下のようなサポートが求められます。
SNSのプライバシー設定について説明し、公開範囲を限定的にする方法を伝授する
リバースイメージ検索を活用し、子供の写真や動画がオンラインに不正に出回っていないかを定期的にチェックする
オンラインで知り合った人にデータを送ることの危険性や、金銭を求められたら断る必要性を説明する
特に、子供が自分の裸の写真や動画をオンラインに投稿してしまった場合は、被害の拡大を食い止める迅速な対処が不可欠です。運営会社に連絡するだけでなく、例えばアメリカの「National Center for Missing and Exploited Children」が提供する"Takedown"サービスを活用することで、コンテンツの削除を求めることもできます。
家族で話し合う
最後に、家族全員でこの問題について話し合う機会を持つことをお勧めします。互いにオープンに危険性を共有し、乗り越えていく強い決意を示すことが大切なのです。
つい最近の2023年に、自分の親に事実を打ち明けることができず、自殺に追い込まれてしまった子供の例がありました。このような悲劇を防ぐためにも、家族で話し合う機会を持つべきでしょう。
また、同時に支え合う体制を整えることも忘れずに。家族で定期的にオンラインの様子を確認し合うことで、被害に気づきやすくなります。もし万が一の事態になれば、迅速に専門家や警察に連絡を取れるよう、体制を整えておくことをおすすめします。
最後に
オンラインの危険に気づき、子育ての環境を改善することは決して易しいことではありません。しかし、この問題に真剣に向き合い、子供と積極的にコミュニケーションを取ることが、被害を防ぐ上で何より重要なのです。
私たち一人一人が意識を高め、でき得る範囲で対策を講じることが求められています。オープンに話し合い、家族や地域社会全体で子供を守る姿勢を示すことが大切なのです。そうすれば、子供たちもきっと安心して誰かに助けを求められるはずです。
私たち全員で子供を守る対策に乗り出さなければなりません。この問題に対処することは、私たち全員に課された責務なのです。
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