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資源循環トレーサビリティではブロックチェーンを使うべきか

こんにちは。資源循環DXのスタートアップ digglue中谷です。

資源循環では、ブロックチェーンを使うべきでしょうか。今回は、よく聞かれるこの問いに、我々の見解を述べたいと思っています。

もともとdigglueは、ブロックチェーンカンパニーとして、様々なブロックチェーンを試し、実装をしてきており、導入のメリットデメリットを理解してきました。

そんな中、資源循環のトレーサビリティ担保において、ブロックチェーンを活用したいという相談が、資源循環領域に注目したきっかけでもありました。

そんな我々がたどり着いたのは、”資源循環トレーサビリティにブロックチェーンは不要”という結論です。

本日はその点について考えを述べたいと思います。

理由1 コストが高い

現状、ブロックチェーンは管理や開発が高コストになってしまいます。これは、ブロックチェーンが分散型のデータベースを採用することで、信頼のコストを下げるという仕様を取っているためであり、技術が進歩すれば解決する問題ではありません。
また、分散型のデータベースを維持するためにパートナーの長期的な協力が必要となります。廃棄物を資源として扱おうという分野においては、処理費を払うのか、買い取れるかという価格のレンジでの話が多く、コストをかけてまで、トレーサビリティ情報の担保にコストをかけるかというと疑問です。

理由2 アプリケーションの連携は既存の方法で可能

トレーサビリティの確保においては、様々な関係者が存在し、それぞれ使いたいアプリケーションの仕様が異なります。そういったアプリケーションの連携においては、通常の集権型のデータベースを持ったアプリケーションの方が優れています。
 これらをブロックチェーンで達成しようとすると、すべての利害関係者が同じブロックチェーン上にいることが必要です。


理由3 真正性の担保は公共サービスに 

 トレーサビリティのアプリケーションで取った情報が、確かに正しいことは重要です。その真正性をブロックチェーンにゆだねるのではなく、公共サービスで実現するという方法も考えられます。
現在、国が主導でウラノスエコシステムというデータ流通基盤の構想が検討されています。将来的には、こちらの協調サービス領域でデータを担保することで、アプリケーションの情報を正とするという必要がなくなると思っています。
現状は、まだそのようなシステムが無い状態ですが、その過渡期をブロックチェーンで補おうとしてしまうと、将来システム自体の作り直しが発生してしまう可能性があります。それであれば、現状は、アプリケーションにデータを寄せて、その中だけでもトレーサビリティ情報の担保が実現できるという姿が描ける方が現実的ではないでしょうか。

ウラノスエコシステムのイメージ

さらにはプライバシーも問題になる可能性があります。ブロックチェーンに書き込んでしまうとデータを消すことはできないため、保存したデータに個人情報などが書き込まれてしまうと問題になる可能性も否定できません。

真正性担保による価値がコストを上回るケース

事例によっては、真正性を担保することが、コストを上回るケースがあります。弊社においては、SBIトレーサビリティと一緒に事業を行っているSHIMENAWAがあります。こちらは海外向けの日本酒の開封検知機能を持ったトレーサビリティを提供しており、ブロックチェーンで実装しております。
ブロックチェーンを採用することで、日本酒のブランド価値向上にも寄与しており、結果高価格での販売を実現しています。また、アートのように高額で、何世代にもわたって価値を保存する必要がある領域の相性も良いと思います。このような事例ではブロックチェーンを採用するという選択もあると思います。


まとめ

以上、我々がブロックチェーンが資源循環領域には不要ではないかと考える理由となります。
重要なのは、ブロックチェーンを使うか否かではなく、資源循環において、環境価値や製品価値という付加価値の向上に注力すること、そのうえで担保すべきトレーサビリティが何なのかを考えることだと考えています。

こちらの考え方に共感いただける方がいらっしゃればうれしいです。また、弊社では、ブロックチェーンを使った開発も、資源循環のDX領域の自社サービスづくりも並行して行っています。こちらの開発に興味がある方いれば、お気軽にお声がけください。

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