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こんなにウルトラマンが好きだったかボクは -映画シン・ウルトラマン感想-

結論
めちゃくちゃ楽しみました。

映画シン・ウルトラマンを見てきました。
以下、ネタバレが含まれていますのでご注意ください。

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序:けなすこと言ってガッカリさせる前にまずは褒めておく


某ラジオのパーソナリティー氏から言葉をお借りすると
「前提として(任意の数字)億点出してる映画なんだけどその上でマイナス点もある」
映画だった。

だだでさえ厄介だったシンゴジくんレベルのクリーチャーがバンバン出現!
そりゃあ異星人感満載のマン兄さんに助けてもらうしかないでしょう!
現代の技術で描かれる高解像度のスペシウム光線! ヤッタゼー!!

もうこの時点で一千万点は余裕で出している映画です。さらにマン兄さん出現後から怪獣のクオリティが桁すっ飛ばして上がっていく。

CVツダケンの暗黒セールスマンがいきなりマン兄さんを窮地に追い込む!
仮面ライダーイチガタいや三浦殿いやメフィラス星人で追い胡乱宇宙セールスマン!
そして現れる最終兵器が宇宙に蝉しぐれ空間を展開する!!

立て続けに押し寄せる展開の洪水に小舟で乗せられ、最後は穏やかに米津玄師の歌に包まれていた。好きなアーティストのライブ会場にいるような心地よさだった。

破:前知識と初見と


自分語りになって恐縮だがウルトラマンにはそんなに詳しくない。初代マン、パワード、グレート、ティガを少々くらい。それも記憶はだいぶ薄れている。
にもかかわらず心の中で手を叩いて喜んでいた。
我が爺様が愛していたペギラ。なぜか覚えていたガボラ。八つ裂き光輪とかいうあまりにも殺意の高い技。学園戦記ムリョウばりに居酒屋で語らう宇宙人。一兆度の炎と「ゼットン」。
一方で忘れていた初代ウルトラ要素が自分の中にある「これが見たかった」感をくすぐっていく。

ウルトラだけじゃなくシンゴジからの流れで見に来た客も忘れていない。あの時見たあいつやこいつが登場し画面を彩ってくれる。だいぶ肩の力は抜けているが。

不明の語彙がちょくちょく顔を出してきたが、どうやらこれもウルトラマン世界観で出現してきたものらしい。それらもさらっと流していく位なので過度には気にならず物語に没頭できた。カタカナ語は理解できなくても物語はわかる。

急:問題点


シン・ゴジラは完璧な映画というわけじゃないが個人的にすさまじく面白い映画だった。今後の人生でも何回か見直すだろうと思うし、忘れられないシーンも多い。
それと比較するとシン・ウルトラマンはそれなりに大きな問題を持っているとは思う。以下に3点ほど上げてみる。

1.そのロゴは別にいらないよ

ツイッターで開幕からずっとイライラしたとおっしゃる方がいて、こわごわと映画館に足を運んだ私。そのシーンがおそらくここだろうというのがあった。
タイトルにバーンと「シン・ゴジラ」からの「シン・ウルトラマン」そしてウルトラQ を思わせる演出に入っていく。

個人的にこの「シン・ゴジラ」のタイトルロゴは一切不要だったと思う。
映画中、シンゴジっぽさは随所に見られたもののこの映画そのものはまったくシンゴジラ的な映画ではないから。むしろシンゴジラから離れようという意図があるとも感じた。
このロゴ芸が映画冒頭の会社ロゴ羅列との区別がつき難く、いつ映画に没入すればいいのかわからなかった。入れ込んだのはペギラが出てきたあたり。

2.そうはならんやろ

ぼくが作中感じた唯一最大の「そうはならんやろ」が開幕数分で発生。
シンゴジラでよく見た自衛隊の指揮所に特権を与えられたボンクラ達(禍特隊)が詰めて怪獣対処を行う。努力もむなしく怪獣が侵攻を続ける中、主人公が逃げ遅れた児童を発見。

「自分が保護してきます」

いや周囲に自衛隊の隊員が控えとるやん! 命令できる立場なんだからそいつら行かせないの?! と盛大にツッコミを入れた。
が! ここで彼に事態へ巻き込まれてもらわないと人間=ウルトラマンが完成しないんだ! だからしょうがないんだ! 映画オデッセイでも開幕マークワトニーが事故ってるが火星大気化ではあんなことにならないらしい。それと同じだ!

そしてコントのように主人公は命を失い、マン兄さんが責任を感じてこれを助ける。後に主人公はスタンドプレーしがちな謎の多い男ということがわかるのだが、それを踏まえても乱暴な導入であると思った。
まぁマン兄さんがスペシウム光線撃った段階でそんなの微塵も気にならなくなったけどな!!

3.きみたち本当に優秀なのか

科学特捜隊ポジの政府特別部隊。ウルトラマン出現までに数体の怪獣を人間の技術レベルで打倒する功績をもっているのだがその割に構成員が若く貫禄がない。どの人も優秀らしいがそれを感じる描写はそこまで多くない。ここは趣味の問題だしウルトラマンが主役なので彼らの人物描写がそこまで濃くなくてもいいが、本作のメインキャスト陣に愛着を持てない方々がいたのは確かだった。室長と班長?と主役はよかったけど。

結:もう1回見たい


映像媒体購入は確定。もう1、2度は見たい。本作は見ていると元気が出てくる作品だ。

シンゴジラとの比較になって恐縮だが、シンゴジで一番好きな東京大破壊シーンは自分の中にある暗い愉悦を満たしてくれる最高の場面だ。東京なんて滅びてしまえ。
でも本当は違う。自分は人間で、ゴジラではない。弱く情けない、大宇宙になんの影響も与えない命だ。その命を本作は祝福してくれている気がする。

シンゴジラはゴジラ凍結を除いて現実・死・真顔の映画だと思った。笑えるシーンもあるが、その笑いは口の端をゆがめて鼻から息を出す冷めた笑い。
シンウルトラマンは腹の底から笑わせてくれる展開がてんこもり。劇場でもたびたび笑いが起こったほど。だからこの映画は真面目だし特撮だけど、コメディ映画に近いのではと思った。
ひょっとするとこれが監督のスタンスの違いなのだろうか。真顔の庵野監督と笑顔の樋口監督。

宇宙はこんだけ広いんだから、ひとりくらい地球を
「しょうがないなぁ」
って言いながら笑って見守ってくれる誰かがいるかもしれない。それはメフィラスかもしれないし、ウルトラマンかもしれない。でもそれは素敵なことなんじゃないかと思わせてくれる。

こんなにこの映画が好きになったのか。


サポートなど頂いた日には画面の前で五体投地いたします。