コメットシヴィライゼーション

始末した生物学者の死体を検める。
問題ない。
「カエルの尻尾よりゲームセンターへ。
トマトとジャガイモは新大陸のもの。
オーバー」

まったくその通りだよ。
めまいにも似た疲労が襲う。薄暗い部屋の中で椅子を探す。

死んだオッサンが書いた本につまずいた。
タイトルは『チクシュルーブクレーターとナス科植物』
トマトとジャガイモ。後に世界的食文化を支える植物は、新大陸が発見されて以降爆発的に広まった。
本では、これら植物の発生過程にフロリダ半島を作った隕石が関わっていると書いてる。

大正解。
だから命を落とす羽目になる。
俺は現場職員に過ぎず、やんごとなき方々の思惑なんて知らない。
それでも、隕石は星に住むものにとっての福音だって事くらいはわかっていた。
その福音を独占するもの達のことも。

通信機が鳴った。おかわりか。
うんざりしながら指令を再生した。

「ゲームセンターより尻尾へ。
コードアルマゲドン。
ブルースウィリスを阻止せよ」

【続く】