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第2のアヤックス

主力選手9人の離脱、スカッドにはトップチーム所属の選手は13人のみ。ベンチにはルニンとイスコをのぞいてトップチーム選手がいないという絶望的なスカッド状況。これがバジャドリード戦のマドリーだった。そして、この状況は今回のCLベスト16のアタランタ戦でも変わることはない。こんな絶望的な状況で訪れたフロレンティーノのコロナ陰性のニュースは喜ばしいものだが、マドリーのスカッドが絶望的なことには変わりがない。(フロレンティーノ本当に無事でよかった)

おそらくアタランタ戦はバジャドリード戦と同じスタメンになるだろう。これまでマドリーは中盤の三人に過剰に頼ってきた。例えば、モドリッチはカルバハル不在時には右SBの補助をこなし、クロースは今まで貢献度の低かった部分である守備面も昨シーズンから大きく向上した(本気を出した?)。カゼミロはフィルター役、CBのカバー、さらにはセットプレーのターゲットとして大きく貢献しリーガではこれまで5得点をあげている。彼らの活躍がなければ今頃リーガではアトレティコから大きく離されていただろう。もちろんジダンも彼らへの依存度を下げる方策を考えていた。ヘタフェ戦ではそれまでリーガ22試合で8試合しか出番のなかったマルセロをWBで起用。これにより攻撃に多様性をもたらした。この試合でマルセロと逆サイドのWBで起用されていた下部組織出身のマルヴィンも素晴らしい働きを見せていた。しかしながら新たな可能性が見えてきた矢先、マルヴィンとマルセロは負傷交代。一夜限りの3バックとなった。この時には流石のジダンも怪我人の多さ、自チームの不運に対して我慢できなくなったのか激昂。ベンチにタオルを投げつけた。(本当の理由は知らないので悪しからず)

このヘタフェ戦での3バックは攻守のバランスがうまく取れており配置のバランスも良かった。停滞しがちなマドリーの攻撃にマルセロを入れることで活性化。またメンディ、ヴァラン、ナチョの3バックによってマルセロによって生まれる守備の穴をカバー。5バックにして人海戦術を取ることも可能だった。この3バックは故障者の続出による緊急措置としてジダンのバランス感覚によって編み出されたものだと勝手に思っているが、マルセロが怪我した時点で継続は不可能である。(もとより、カルバハルの復帰次第で4バックに戻すつもりだったとは思うが)ヘタフェ戦の次のバレンシア戦では待ち望んだカルバハルが復帰。今シーズンのカルバハルは怪我での離脱がとても多くリーガでの出席率は50%を切る。しかし怪我から完全に復活したカルバハルがいれば右サイドのビルドアップも不安なく行うことができ、モドリッチの負担も軽減可能だ。

カルバハルは前半28分まで良好なパフォーマンスを見せてピッチを後にした(怪我人多杉〜)

カルバハルと同時期に戻ってきたバスケスの復帰により再び負傷したカルバハルの穴は補填できるが誰かが怪我したらほぼ終わりだ。とはいうものの、冒頭に述べたフロレンティーノのコロナ陰性以外にも朗報はいくつかある。まずは怪我で離脱していたフェデ、ロドリゴ、アザールの復帰が近づいていること。彼らの復帰は野戦病院と化しているマドリーにとっては嬉しいニュースだ。ラモスの復帰もアタランタとの2ndには間に合うと言われている。そして、そもそもマドリーの状況自体は怪我人は多いものの好転しつつあるということも重要だ。リーガでは3試合連続で無失点を記録し、クルトワ自身の働きによるものは大きいがクリーンシート数でオブラクに並んだ。ナチョとヴァランのコンビは安定感もありメンディもたまにミスはあるものの一時期のスランプは完全に脱した印象だ。マルヴィン、アリーバスといったカスティージャ出身の選手もジダンの起用に応えている。依然として前線の決定力不足には悩まされているものの一時期の攻撃もダメで守備もダメのマドリーではない。ベンゼマがいないのが痛手すぎるものの、リーガよりはスペースが与えられるであろうCLの舞台であればアセンシオやヴィニシウスのスプリントはいきるかもしれない。

アタランタの怖さはやはりその攻撃力だろう。昨シーズン、シティの手によって初めてCL敗退をしたジダンはアタランタがマドリーにとって第二のアヤックスになりうると危惧している。(今回のマドリーのスタメンはこのシーズンよりもしかしたらインパクトに欠けるかもしれない)また、マドリーの怪我人が異様に多いことに触れながらもすでにマドリーには優秀な選手がスカッドにいることを強調した上で、「我々は勝利に向かって突き進むだけだ。引き分けを狙いに行くわけではない。私たちは引き分けでは絶対に満足しない。」と述べている。また、クロースも試合前の記者会見に応じ、次のように述べている。

「僕たちは常にボールを欲し、よりコントロールした試合をやることを望んでいる。でも試合に適応し、自分たちのプレーをやれるように試みる必要がある。アタランタ戦はラウンド16であり、アウェーでプレーするので、難しくなることを分かっているが、自分たちのプレーをやるように目指すつもりだ。僕たちにとっての決勝戦だ。僕にとってはチャンピオンズリーグが今からスタートし、自分たちが好きな試合がやって来る」

もはやマドリーにとって決勝戦が何度あったのかはわからないが、アタランタ戦が重要な一戦となるのは間違いない。アタランタは戦術的なチームでとても手強い相手となるだろう。いかにマドリーが試合をコントロールできるかが鍵になる。そのためには中盤だけではなくチーム全体がうまく機能する必要がある。昨シーズンのシティ戦の時のようなマドリーのミスからの失点を避けねばならない。兎にも角にも今シーズンこそはベスト16を突破してもらわないと困る。怪我もせず次のリーグ戦にも弾みをつけられるような結果を是が非でも出したいところだ。


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