誕生日にはケーキを

夢日記

恋人が死んだという電話をうけて急いで彼の実家へ向かった。
着いたところは田舎の、元は豪農の家だったようで玄関を入ると広い土間がある。
彼の母親が「遠くからわざわざ…」とニコニコしながら私の手を取って挨拶してくれた。
彼の弟だという高校生くらいの男の子もいて、側には古風な家に似つかわしくない立派なダルメシアンが座っていた。

「○○は台所にいるの」

母親に案内されて台所に行く。昔はここも土間だったのだろうが改築されて今は普通のキッチンになっていた。黄色い床にも関わらず当たりは暗い。

彼の脚だけがブラブラと宙に浮いていた。

「こんな日にねぇ、悪いわねぇ」

母親はしきにり私に謝る。
彼はもちろん無言で、風も無いのに脚だけが振り子のように揺れて止まらない。
恐らくは天井からぶら下がっているのだろうが、腰から上は暗く、どう頑張って見ようとしても黒い靄に飲み込まれてしまう。

しばらく呆然と立っていると、居間から弟の声がした。
ダルメシアンが私の周りを落ち着きなく走る。

「来たよ!」

居間にいくと炬燵の上に白い箱があった。
二人が座ったので私もそれに倣い腰を下ろす。
箱を開くとそこには誕生日ケーキがあり、真ん中に鎮座するチョコのプレートには私の名前が綴られていた。

「ハッピーバースデー!!」

二人は心底嬉しそうに私に向かって言う。
背後からは恋人がたてるギシギシという音が響いてくる。