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【就活指南】病院管理栄養士になる方法~まえがき~

 就職先候補の一つとして、病院を考えている管理栄養士は多くいます。ただ、管理栄養士の採用に関する情報は限られていますし、募集はあったとしても絶対数が非常に少ないのが現状です。結局、身近な友人や先輩から漏れ聞こえてくる程度の情報しか集まらず、困っているという相談事をよく受けます。

 筆者は都内の急性期総合病院に勤める管理栄養士です。大学卒業後に委託給食会社に2~3年勤め、その後現在の病院に転職しました。病院管理栄養士歴20年になります。
 筆者の勤める病院は、標榜科数約30、ベッド数500程度、地域の基幹病院です。毎年、数校の栄養士養成施設校から実習生を受け入れているので、年間を通して実習生がいます。そして頻繁に、就活の相談を受けます。どの実習生の悩みも大体同じで、もう20年近く同じような質問を受けているので、一度まとめてみようと思ったのがこの本を書いたきっかけです。

 そしてもう一つ執筆の動機があります。それは、これから病院管理栄養士の採用試験に応募する志願者へのメッセージです。
 筆者の勤める病院では、管理栄養士の採用を数年間継続して行っていた時期がありました。数年にわたり採用試験や面接に関っていた身として、募集側と応募側のミスマッチの多さに悩んだ時期がありました。一体何に悩んだのでしょうか。
 それは、志願者が抱いている仕事のイメージが、実際の仕事とかけ離れていることが多く、採用後に業務トラブルが起きやすかったのです。
 面接が終わっていざ採用が決まり、実際に仕事が始まると、本人たちが描いていた病院管理栄養士のイメージが実際と違ったといって悩み始める人が多くいたのです。
 採用後にミスマッチが判明し、業務に支障が出始めると非常にまずいことになります。採用された側も、採用した側も、双方ともに苦しむことになります。職場における勤務時間は長く、両者ともにストレスまみれになります。
 このミスマッチを解決するためには、現状では病院管理栄養士にまつわる情報量が非常に少ないため、情報の共有が必要であると感じました。採用試験の際にも、業務内容の説明は丁重に行っていますが、やはり実際を目にすることは少ないため、本来であればいわゆるインターン活動のようなものが望ましいのでしょう。しかし筆者の知る限りでは、管理栄養士の採用活動にインターン制を置いているところは聞いたことがありません。
 次に採用機会があったら、その時はぜひインターン制の導入を検討しようと思います。

 また過去に病院で働いたことのある経験者を採用すれば、ミスマッチも少ないのではないかと考え選考を行ったこともあります。しかし、経験者においてもミスマッチは起こるのです。病院の規模、人員によって、業務のスピード感や内容が異なるので当たり前かもしれません。別に管理栄養士の就職に限ったことではないのでしょうが、やはり病院の管理栄養士の業務に関する情報が少ない実情は否めません。そこで書き始めたのがこの本です。病院管理栄養士の業務内容について紹介することができれば、ミスマッチ解消の糸口になるかもしれないと考えました。

 筆者のプライベートの話を少し添えたいと思います。筆者は只今子育て真っ最中です。幼子二人のワンオペ育児に放浪されています。夫婦仲は非常に良いのですが、普段夫は不在で、事情によりお互いの両親を頼れません。子育ての人的資源には乏しく、子供が風邪を引いたして仕事を休まなければいけないことも何回もありました。毎日綱渡りな状況の中、何とか仕事を続けている状況です。仕事をやめようと思ったことも何度もあります。働かなくても質素に生活すれば生きていけるかもしれないし、ワンオペ&フルタイムでこんなに忙しくする必要はあるのだろうか? 高給取りでもないこの職業にこだわる必要はあるのだろうか?別にこだわっているわけではないのですが、仕事はいつでも辞められるから、前向きな確固たる理由を見つけるまでは、もう少し続けようと思っている今日この頃です。

 20年程病院管理栄養士をやっていると、仕事自体は特別負担ではなくなるものです。ストレスフルな業務もありますし、いつも速歩で分刻みのスケジュールです。でも患者さんの笑顔に働き甲斐を再認識できたり、医療従事者として意義のある仕事であると思っています。だからこうして続けていられるわけですが、職歴20年を迎えた今、自分の整理のためにも、そして後輩らに向けて病院管理栄養士の情報を提供することは無駄にはならないだろうという期待を込めて、書き始めました。読み飛ばしながらもご一読いただければ幸いです。

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