夜涼み。
川沿いをいく、橋を渡っている。
遠くに見える団地やタワーマンションの明かりが、
いつか車窓から数えた光に似てる。
だだ広い橋の上、車が通る他は人気も疎ら。
空が大きく広がっている。
何処よりこの場所が1番空に届きそうなくらい。
心地よい脱力と夢遊感。
裾を揺らす風が優しい。
夏の大三角形。
血液のような熱を内包した赤い月。
変わらず傍に在るものを感じながら
姿が変わってもそこに在る光や夜に抱かれながら
前へ進むのをやめない。
初めての道を歩くとき、
新しい景色に出会える瞬間に高揚しながらも、その場所に散らばる記憶の欠片を見つけている。
心と景色がリンクする
そんな景色をきっと探している。
現在地点にあなたはいない。
振り向いても、今は姿を見つけられないけれど。
いつかあの日のあなたの心とリンクした景色が私の視界に現れるかもしれない。
いつかあなたの痛がった心の正しい形が、私にもわかるかもしれない。
だから歩いてく。
悲しみを背負うなんて、
誰かを理解したいだなんて、
大それたことは口にできないけれど。
それでも前へ、今できる精一杯をもって。
世界の行き止まりを感じる時もあるけど、死ぬまでにとてもじゃないけど廻れないくらい。
自分の生きている小さな場所でさえ、
まだまだ知らない景色があるから。
探しに行くことをやめなければ、
どこまでも
どこへでも行ける。