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今日の気分はこの曲


Vol.29「Blue Monday」New Order

1983年3月7日に発表された、ニュー・オーダーの5thシングル。

このバンドが産まれる事となった、ある事件についての歌です。


1976年6月4日にマンチェスターのフリー・トレード・ホールで行われた、

セックス・ピストルズのライブから話は始まります。

会場には二人の若者、当時20歳のバーナード・サムナーと、

同じく当時20歳のピーター・フックがいました。

二人はかねてから友人同士で、ライブに衝撃を受けました。

「自分達もバンドをやってみよう!」

そう決意した二人はサムナーがギター、フックがベースを担当という事に。

ボーカルには知人のイアン・カーティス、ドラマー探しは苦労しましたが、

1977年8月にスティーヴン・モリスが加わりました。

バンドの名前はスティフ・キトゥンズと名付けられましたが紆余曲折の末、

1978年1月からジョイ・ディヴィジョンに落ち着きました。

同年9月、ファクトリー・レコードのオーナーが司会のTV番組に出演し、

ほどなくファクトリー・レコードと契約します。

TV出演のおかげかバンドの人気は上昇し、

1979年1月にはカーティスが音楽雑誌の表紙となりました。

同年4月から1stアルバム「Unknown Pleasures」の制作を開始。

6月15日に発表されました。

アルバムは全英チャートでは最高71位でしたが、

インディーズチャートでは初登場2位、そして首位を獲得しました。

10月からは勢いそのままに全英ツアーを行いました。

バズコックスのサポートでしたが、

この時にメンバーは職を辞めて音楽で生計を立てる事となりました。

1980年1月にはヨーロッパツアー、2月に全英ツアーを行い、

3月から2ndアルバム「Closer」の制作を始めました。

しかしこの頃からバンドには暗雲が漂い始めます。

バンド自体は上り調子でしたが、カーティスに様々な問題が。

持病の悪化、それでバンドに迷惑をかけているというプレッシャー、

女性問題などから彼は追い詰められていきました。

アルバムの録音は終了し、

4月にはシングル「Love Will Tear Us Apart」を発表。

しかし同月ツアー中にカーティスは自殺未遂を起こしました。

そして一部をキャンセルしたものの、ツアーは続行されました。

5月に全米ツアーも決まり、バンドの勢いを止めたくなかったのでしょう。

そしてついに悲劇が訪れます。

1980年5月18日の午前11時頃、

自宅に戻った妻のデボラが見たものは、

首吊り自殺をしたカーティスの亡骸でした。


その日は全米ツアーの出発前日。

他のメンバーがカーティスの訃報を聞いたのは月曜日でした。

直ちに活動停止と全米ツアーの中止が決定され、

7月18日に「Closer」が発表されてジョイ・ディヴィジョンは終了しました。


残されたメンバーは話し合いをします。

この話し合いは壮絶だったでしょうね。

シド・ヴァレットがバンドを去った時に残された、

ピンク・フロイドのメンバーの方がまだマシだったと思います。

当時可能性はほぼゼロで、結局最後まで復帰出来なかったとはいえ、

シド・ヴァレットが復帰するという望みは微かにあったのですから。

しかしカーティスは帰って来ません。

結論として以前メンバーで取り決めた約束

「メンバーが一人でも欠けたらジョイ・ディヴィジョンの名前でバンド活動は行わない」

に基づき、バンドは名前をニュー・オーダーに変更します。

そしてサムナーがカーティスに替わって、ボーカルとなりました。


1981年5月、シングル「Ceremony」を発表し再デビュー。

同年11月13日にはアルバム「Movement」を発表します。

これらはジョイ・デヴィジョンの延長線でした。

しかし12月発表のシングル「Everything's Gone Green」では、

シンセサイザーを用いたテクノ的な音に変化します。

バンドの方向性はこの路線に決まったようで、

1982年にはジリアン・ギルバートが加入しています。

そして1983年3月7日に本曲を発表しています。

その後5月2日にはこの路線を進めた「Power, Corruption & Lies」を発表。

その後もアルバムをヒットさせますが、1993年8月に活動を休止。

1998年に活動を再開しますが、

2007年5月にフックが事実上脱退して活動を休止します。

そして2011年に再結成をしますが、フックの姿はそこにありませんでした。


カバーですが、先ずは「Blue Monday 1988」

名プロデューサー、クインシー・ジョーンズによるリミックスです。

特長はオリジナルよりダンスミュ-ジックになり、短いこと。

ラジオ局で掛かりやすいように意識したのでしょうか?

心なしかオリジナルより明るい雰囲気もありますね。

次はアメリカのデス・ポップバンド、Orgyによるカバー。

オリジナルのボーカルは抑えた感じですが、

こちらではよりロックになってます。

次はセバスティアン・ボームによるカバー。

映画「ワンダーウーマン 1984」の主題歌なのですが、

PlayStation 5のティーザー動画にも使用されています。

大胆なオーケストレーションで、かなり壮大な感じになってますね。

次はオーケストラ・オブソリートによるカバー。

BBCの芸術番組が企画したもので、

「もし1930年代に作られた曲だったら、どうなるか?」

をコンセプトに、1930年代に使用可能だった楽器で製作されてます。

使われたのは、テルミン、ダルシマー、ハーモニウム、グラスハープなど。

シンセサイザーは全く使用されてないのですが、

ちゃんと「Blue Monday」になってます。


という訳でニュー・オーダーの名曲、「Blue Monday」についてでした。

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