![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111187/rectangle_large_type_2_fb4bc9d6f513272b26fc12bf0c1b041b.png?width=800)
飛び出せ!佐久間探検隊
第二十四回 遠くて近い秘境駅を探検してみた!
ドモ。佐久間探検隊の隊長、佐久間ディックです。
秘境駅-鉄道以外の交通手段では辿り着くのが困難な駅。
都会に住んでると「そんな駅なんてあるの?」と思いがちだけど、
日本って広いんで結構ある。
大半は都会から離れた北海道や九州、中部地方に存在しているが。
しかし大阪の中心地の難波駅から僅か1時間半で辿り着ける駅も存在する。
その駅の名は
紀伊神谷駅
南海高野線の駅である。
終点の極楽橋駅の1つ手前になる。
お手軽に秘境駅を体験できるなら、探検してみよう!
探検隊は紀伊神谷駅へと向かうことにした。
出発地は南海高野線の橋本駅。
高野線の始発駅は難波駅だが、
有料特急の「こうや」以外は殆どがこの駅での乗り換えが必要になる。
実質上難波駅からここ橋本駅までの通勤路線と、
橋本駅から極楽橋駅までの山岳路線に分離されているのだ。
探検隊はちょっと派手な赤い2300系に乗車した。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111208/picture_pc_f875220c78a765e6be518a609b5d9846.jpg?width=800)
橋本駅を出た電車は街を離れ、国道やJR和歌山線を潜り、
和歌山県紀北地方随一の河川である紀ノ川を渡る。
ここ橋本市は1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎで、
日本女子初の金メダルを獲得した前畑(兵藤)秀子さんの出身地。
ここ紀ノ川をホームグラウンドにして彼女は泳ぎを鍛えたそうだ。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111209/picture_pc_3d3f0811b644d91e24bf067e9920f779.jpg?width=800)
紀ノ川を渡り終えると、のんびりとした雰囲気の土地を走る。
「山岳路線じゃなかったの?」
そう言われそうだが、まだまだ予告編にすらなっていない。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111236/picture_pc_638167219b55d0014f67e2a02f999783.jpg?width=800)
このあたりでは沿線の桜並木が有名。
しかし探検隊が取材したのは、4月8日。
どうやら来るのが少し遅かったようである。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111237/picture_pc_56b12780b2c0360cdf8e3a186926385b.jpg?width=800)
そうこうするうちに、九度山駅に到着した。
九度山は関ヶ原で敗戦後に、真田昌幸・幸村親子が流された土地。
父の昌幸はこの地で生涯を終えたが息子の幸村は1614年に脱出し、
大坂冬の陣へ参戦の為大坂城へ馳せ参じた。
さて、駅の先には何やら急勾配が見えているが、
ここからが山岳路線の本領発揮なのである。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111239/picture_pc_e9b99c4e767c5f070976cca75033b19e.jpg?width=800)
九度山駅を出た途端、急勾配と急カーブだらけに。
当然、スピードもガクンと落ちる訳でして。
チラッと写ってる道路からは竜王溪という渓谷が見られるが、
高野線からはちょっと無理のよう。
カーブの先の鉄橋は、丹生川橋梁。
1925年に架設され、全長は約73m。
経済産業省の近代化産業遺産にも登録されている。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111244/picture_pc_3c92eeabffd5b4f82b806a214d6b5675.jpg?width=800)
高野下駅から先は、更に山岳鉄道の雰囲気に。
駅を出た途端、更に厳しい急カーブと急勾配がお出迎え。
建設に携わった方々の苦労が偲ばれる。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111247/picture_pc_69f43b2b83cce0cefd4474df7bac5025.jpg?width=800)
写真ではそう大した事無いような勾配に思える。
が、歩いてみるとすぐ根を上げてしまうだろう。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111249/picture_pc_b22f9799b8b14c1ad3b74ae36c1a0fb4.jpg?width=800)
山陰本線の余部橋梁が架け替えられた今、
現存する数少ないトレッスル橋の中古沢橋梁を渡る。
トンネルとトンネルの間で全長67.6m、高さ33.4m。
1927年に竣工し、2011年に土木学会選奨土木遺産に選奨されている。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111253/picture_pc_896268bd4952821d4b4ee383cc3e6bf3.jpg?width=800)
急勾配や急カーブだけでなく、トンネルも多い。
このようにトンネルを抜けたら急勾配&急カーブも、しばしば。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111255/picture_pc_6a5f297c81ed36d2599885c5ce17e738.jpg?width=800)
紀伊細川駅で対抗列車待ちの間にパチリ。
2300系はお顔が赤いせいか、可憐なイメージが。
差し詰め「山ガール」と言ったところか。
しかし伝統のズームカーの一族だけあって、
山岳区間での走りはしっかり「山男」であった。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111257/picture_pc_71ef070ad85cdf40f8563c6fa7bd8c55.jpg?width=800)
対抗列車は31000系の「こうや」だった。
高野線のクイーンとして君臨する30000系と比べて地味だが、
1編成しか存在しない貴重な裏方さん的存在。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111260/picture_pc_dcbfc1bc353db65ac65e4b1fcc2dbe92.jpg?width=800)
そんなこんなで橋本駅を出発して、山岳区間を行く事44分。
探検隊は紀伊神谷駅に到着した。
極楽橋駅側は、直ぐにトンネルの入口が口を開けている。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111265/picture_pc_7bd85115419b7c09c292ab792798b00a.jpg?width=800)
紀伊神谷駅が開業したのは1928年6月18日。
高野山電気鉄道の終着駅として開業した。
当時の駅名は神谷駅。
1930年3月1日に現在の駅名に改称され、
1947年3月15日に高野山電気鉄道が南海電気鉄道と改称された。
書類上だけではあるが、
現在の南海電気鉄道は高野山電気鉄道の後身なのである。
ちなみに戦前の南海鉄道は1944年に関西急行鉄道と合併し、
近畿日本鉄道となっている。
そして1947年6月1日に合併前の南海鉄道だった路線は、
近畿日本鉄道より南海電気鉄道に譲渡されている。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111266/picture_pc_8cc34e3abda9969b7b6eaac2ed73744e.jpg?width=800)
橋本駅側の風景。
右側にある構内踏切で、駅舎とは連絡している。
安全側線が存在するあたり、ここが山岳路線の駅であることを表している。
ちなみに紀伊神谷駅の標高は473m。
橋本駅の標高は92mなので、381m登った事になる。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111268/picture_pc_f8e9a666f4f8dfa0d709db39317d5b6e.jpg?width=800)
駅舎は線路より一段低い位置に建っている。
秘境駅の殆どは無人駅なのだが、
ここは駅係員配置駅。
おそらく急カーブの上にホームが存在する為であろう。
列車の発着時には駅係員さんがホーム上に立ち、
運行の安全を確保している。
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111271/picture_pc_a72e840e3775e8bda3da29aecb368188.jpg?width=800)
趣ある木造駅舎には、見慣れた存在が。
ICカード対応の自動改札機がある!
駅係員配置駅だし、2020年の乗降人員が1日9人と南海で最も少ないから、
自動改札機の必要性を感じないのだが。
![画像17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111275/picture_pc_0c329c261ba4b9e3fe9e884a00bbc476.jpg?width=800)
駅窓口の風景
切符の自動販売機はない。
窓口はあるのだが切符の販売は行っていない。
勿論ICカードのチャージも出来ない。
乗車する場合は窓口から乗車駅証明書を取って、下車駅で精算となる。
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111278/picture_pc_9fa9f54df7320eef913ffd55c69c33b2.jpg?width=800)
定番の駅ノートと、周辺の観光案内図。
ノートを見る限りでは、乗降人員は1日9人を上回ってると思う。
![画像43](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76147027/picture_pc_7edd071de8a0b581432bc15c7aa2da81.jpg?width=800)
駅舎の入口には、個人名が掛かれた札がついた謎の木箱が。
実はこれ、地元の人専用の下駄箱なのである。
駅に至る道は急勾配なので、雨や雪の日には長靴が必須となる。
しかしそれを履いたまま列車に乗る訳にいかないので、
下駄箱に入れてある靴を履いて乗車するのである。
早い話、靴のボトルキープですね。
スナックみたいな言い方ですけど。
![画像21](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111288/picture_pc_b4bba2ed3c49fe0cb02bc768c20c756d.jpg?width=800)
駅舎の全景。
南海電気鉄道標準の駅名標が、駅舎の雰囲気にそぐわない。
墨書きされた一枚板の方が、良い雰囲気を醸し出すと思うのだが。
![画像22](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111290/picture_pc_a8341eea6ef56853e3eec13a2c90e3e4.jpg?width=800)
駅前の道なのだが、右に曲がるとこんな感じ。
小川を渡ると、いきなりハードモードですか。
![画像23](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111294/picture_pc_5d2a9e71604e4e9ab193a9e0c54efce5.jpg?width=800)
その先は、更にハードモードになってる模様。
こちらを進むのは、止めておいた方が良さそうだ。
転倒してケガでもしたら、シャレにならないだろうし。
![画像24](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111298/picture_pc_2fbde85a9da84ab455c48545207e4aa0.jpg?width=800)
左側へ行こうとして、こんな看板を発見。
喫茶店があるみたい。
だけども今日は金曜日。
ヒジョーに残念だ。
![画像25](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111300/picture_pc_c7889731db07e6146a839ddef4f6eca3.jpg?width=800)
左の道を右折すると、絵に描いたような山道が。
今にも水戸のご老公一行がやって来そうである。
![画像26](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111304/picture_pc_354a9683c7d7cd7aec6992518361b918.jpg?width=800)
周辺の案内看板。
どうやら駅にあったパンフと同一の品のようだ。
あまり遠くに行っても疲れて帰られないかも知れないので、
旧白藤小学校を目的地に決定する。
![画像27](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111307/picture_pc_bfea3ad99d4f1b16e7fd7f428d983faf.jpg?width=800)
暫く歩くと、分かれ道が。
さっきの案内図だと、直進が正解のようだ。
しかし先がハードモードになってるのが、気がかりである。
![画像28](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111311/picture_pc_588762dd8e0cae11a2578ae5e108619a.jpg?width=800)
角にあった道標。
「日本最後の仇討」は面白そうだけど、ちょっと遠そう。
![画像29](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111312/picture_pc_f508d4d8cac8aed1e7514afdb73fd341.jpg?width=800)
道は細く、樹々に覆われて薄暗くなっていく。
「待てい!」
そう声がして、刀を持った賊が今にも表れそうだ。
時代劇の見過ぎなのだろうか。
![画像30](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111317/picture_pc_b10c42c6577466bdc83d024da683dbc6.jpg?width=800)
道は相変わらず険しく、かつ薄暗い。
「ゴォォォォォ~!」
唸り声のような音を出しながら、
前から道幅いっぱいの大きな石の球がやって来そうだ。
今度はなんかの洋画の観すぎのようである。
![画像31](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111319/picture_pc_c04b4edcdba878d56483f63e1613cdba.jpg?width=800)
日ごろの運動不足のせいか、息が上がってくる。
マメに運動はしなきゃダメですなぁ。
![画像32](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111324/picture_pc_878126d0efd7b0216134989eff52a212.jpg?width=800)
ここにも「コーヒーしらふじ」の看板が。
案内図通りだと道がある筈なんだが、
獣道しか見当たらないのだけど。
![画像33](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111327/picture_pc_13d9cbc044e0b32ded38843bc13d7418.jpg?width=800)
ようやくT字の交差点に差し掛かる。
探検隊は右折した。
「日本最後の仇討」はまたの機会にしよう。
またここにやって着る機会があれば、の話だが。
![画像34](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111341/picture_pc_c31d9a216dfb831026d989fc90141f73.jpg?width=800)
右折すると勾配が緩やかになった。
集落が近いのだろう。
![画像35](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111349/picture_pc_1f374e85ceb40152580e48f3d8a4c120.jpg?width=800)
そんな事を考えながら歩いていると、再びT字の交差点が。
左側手前の桜も綺麗だな。
![画像36](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111356/picture_pc_ddb7715367655b228c1b31de7434dce3.jpg?width=800)
「右高野山」の看板が良い味を出してるなぁ。
探検隊は右折した。
![画像37](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111361/picture_pc_8d373e6bb17bb9c237041b8439548169.jpg?width=800)
右折した先は、集落の外れの模様。
道はすっかり平らになっている。
![画像38](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111363/picture_pc_9554a837f5a1673c492c060d0df20034.jpg?width=800)
石で出来た道標。
高野山までは一里と少しのようだ。
問題はその一里の間に、どれだけ標高が上がるかという事だけれど。
![画像39](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111369/picture_pc_b98ffcfaaccf850c2635cb05e4fb816d.jpg?width=800)
道端に突然現れた建物。
看板を見る限り、ここが集会所のようだ。
という事はここは集落の中であるという事だ。
![画像40](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111378/picture_pc_7c94e60f73f14751ffba1b5e9fa78535.jpg?width=800)
のんびりとした集落の中を歩く。
都会とは違って、ここでは時間がゆっくり進むようだ。
![画像41](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111382/picture_pc_7d9bddf7c983720d7108899f5e4ae608.jpg?width=800)
突然、道が細くなる。
この道幅が本来の道幅なのだろう。
樹木のトンネルが探検隊をやさしく包む。
![画像42](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111384/picture_pc_1eb4e23f3dff252897f10ff403ebb62c.jpg?width=800)
トンネルを過ぎると、建物が。
どうやらここが「コーヒーしらふじ」のようである。
![画像43](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111394/picture_pc_0bbcd275329676aec5d6f109e238c667.jpg?width=800)
「はて、旧白藤小学校はどこだろう?」
そう思いながら辺りを散策すると、こんな看板が。
コーヒーしらふじ=旧白藤小学校
だったようである。
閉校になった旧白藤小学校の校舎で、カフェを開いてるんですね。
それが「コーヒーしらふじ」。
探検隊は駐車場のベンチで一休みしてから、
帰還の途に就いた。
「遠くて近い秘境駅を探検してみた!」
おわり。
![画像44](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76111400/picture_pc_7e137b1aab3d107973c19e4304fdba2c.jpg?width=800)
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