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今日の気分はこの曲


Vol.18「タイムマシンにおねがい」

Sadistic Mika Band

1974年10月5日に発表された、

サディスティック・ミカ・バンドの3rdシングル。

同年11月5日に発表された2ndアルバム、「黒船」からの先行シングルです。

1992年に放映されたアニメ「まぼろしまぼちゃん」の、

オープニング曲としても有名です。

作詞は松山猛、作曲は加藤和彦という、

ザ・フォーク・クルセダーズ以来の名コンビです。

この曲の凄さは1974年に発表された曲である、ということです。

何回聴いてもそうとは信じられません。

パフィーの新曲、と言っても通じるくらい古びてないんです。

46年も前の曲なのに。

これはプロデュースをクリス・トーマスがやってることも、一因です。

彼はビートルズの「ホワイト・アルバム」に、

アシスタント・プロデューサーとして参加したのが有名。

他にもロキシー・ミュージックやピンク・フロイド、

後にセックス・ピストルズをプロデュースした英ロックの陰の立役者。

しかし主な要因は、加藤和彦が作曲した事が原因だと思います。

1947年3月21日に京都で生まれ、生後すぐに関東に移り住んだ彼ですが、

京都人の気質をかなり持っていたように思います。

「実は江戸っ子なんです」と本人は言ってましたけど。

京都人って

「古いモノを大切にする」

だけのように思われがちなのですが、反面、

「無類の新しモノ好き」

なのも事実ですからねぇ。

「日本初の路面電車」が京都というのは、有名な話ですし。

また「同じものを二度やるのが大嫌い」という彼の気質も、

京都人の気質です。

実際、彼は常に流行の最先端でした。

1967年、ザ・フォーク・クルセダーズ解散記念して、

自主制作でアルバムを発表。

これも自主製作レコードの先駆けです。

その中の「帰ってきたヨッパライ」がヒットし、

他のメンバーに頼まれて1年限定で再結成。

この曲の

「ボーカルを録音したテープの再生速度を変える」

自体が当時の最先端。

ちょうどビートルズが、テープの逆回転を曲に取り入れてた時代です。

約束通り1年でグループ解散後、ソロ活動を開始。

1971年4月5日には北山修と「あの素晴らしい愛をもう一度」を発表します。

1971年11月、当時の妻のミカをボーカルにしたバンド、

サディスティック・ミカ・バンドを結成。

バンド名やシロウトの妻をメンバーにした点は、

ジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドの影響大ですね。

なぜ「サディスティック」なのかと言うと、

ミカのキッチンで包丁を揮う姿がサディステックだったからそーでw

ミカ・バンドは1972年、シングル「サイクリングブギ」でデビュー。

1973年にデビューアルバム、「サディスティック・ミカ・バンド」を発表。

この時点に至ります。

クリス・トーマスのプロデュースは良い影響をバンドに与えたものの、

クリスとミカが不倫関係になってしまいました。

1975年、アルバム「HOT! MENU」を発表し、

ロキシー・ミュージックの英国ツアーで前座を務めるものの、

11月に加藤夫妻の離婚によって解散します。

その後加藤は再びソロ活動に入りますが、1989年、

桐島かれんをボーカルにサディスティック・ミカ・バンドは再結成。

アルバム「天晴」と先行シングル「Boys & Girls」を発表しました。

ここにも

「同じことを二度やらない」

という加藤のモットーが反映されてます。

英語表記の名前ですら、「Sadistic Mica Band」と変更してるほど。

(オリジナルは「Sadistic Mika Band」です)

2002年にはザ・フォーク・クルセダーズを新結成。

ここでもはしだのりひこに代わって、

アルフィーの坂崎幸之助が参加してます。

2006年、サディスティック・ミカ・バンドは再々結成。

今回は木村カエラがボーカルをボーカルに迎え、

英語表記は「Sadistic Mikaela Band」した。

10月25日にアルバム「NARKISSOS」を発表。

2007年3月8日にNHKホールでライブを行い、

5月23日にアルバム「LIVE in Tokyo」として発表。

2008年3月、加藤はVITAMIN-Q featuring ANZAを結成。

12月3日にアルバム「VITAMIN-Q」を発表します。

2009年2月3日と5月3日にライブを開催。

そして加藤は10月2日、松任谷由実のライブにゲスト出演しました。

これが彼が最後に公の場に姿を現したこととなりました。

10月17日、彼の遺体がホテルで発見されたのです。

首つり自殺でした。

遺書には

「世の中が音楽を必要としなくなり、もう創作の意欲もなくなった。死にたいというより、消えてしまいたい」

とあったそうです。

追い求める「新しい音楽」がなくなってしまったと思ったのでしょうか?

「新しい音楽は」まだまだ出てくる筈なのに。

だったら、悲しい死ですねぇ。


カバーですが多感な時期にオリジナルの直撃を受けた、

ROLLYによるカバー。

彼による一種の御礼状のように聞こえます。

自分をロックの世界に導いてくれた、オリジナルへの御礼状。

次は幻のブラスファンクバンド、TOPSによるカバー。

彼らお得意のホーンセクションが、良い味出してますね。

ちなみにTOPSって、「東京・大阪・パーでんねんスペシャル」の略だとか。

最後はカバーであってカバーでない、

オリジナルボーカルのミカによるカバー(?)。

やっぱり一番しっくりきますね。

オリジナルだから。

この曲にはこの声が一番なんですね。

それにCHARと高中正義という日本を代表するギタリスト2人を従え、

自分のボーカルを貫けるのはミカだけでしょう。

他の人だと終始「歌わされてる」だけになると思います。


という訳でサディスティック・ミカ・バンドの名曲、

「タイムマシンにおねがい」についてでした。


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