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今日の気分はこんな曲


Vol.19「Do You Really Want To Hurt Me」Culture Club

1982年9月6日、

カルチャー・クラブの3枚目のシングルとして発表された曲です。

前の2枚のシングルがイギリスチャートで114位と100位だったので、

バンドにとっては勝負の曲でした。

イギリスの人気音楽番組である「トップ・オブ・ザ・ポップス」に出演後、

チャートを急上昇して1位になりました。

またジュリアン・テンプルが撮ったPVも世界中で流れ、大ヒット。

彼らを世界中でトップスターにしました。

ただ、この曲の大ヒットによって彼らは誤解され、

今もその誤解は解けていないように思います。

それはフロントマンのボーカル、

ボーイ・ジョージの女装姿ばかり注目されたことから始まります。

確かに彼のヴィジュアルは、当時かなりのインパクトがありました。

男がメイクをするバンドはそろそろ珍しくはなくなって来たものの、

女装までするバンドはありませんでした。

しかも当時のボーイ・ジョージの妖艶なこと。

今見直してもかなりの色気があります。

だけどボーイ・ジョージのヴィジュアルばかりが話題になってしまい、

肝心の彼らの音楽性についてはほとんど話題にならなかったのです。

その為彼らの評価としては、

「ボーイ・ジョージのヴィジュアルだけの音楽性は大したことないバンド」

という誤解がはびこっています。

ヒットから38年の月日が流れた今、

改めてこの曲を聴くと当時指摘されたモータウンの影響だけでなく、

良質なホワイト・レゲエのナンバーであることが良く分かります。

確かにオープイングのコーラスはまんまモータウンですけど、

メインのリフは完全にレゲエ。

流れるような骨太のベースラインが、良い仕事をしています。

もしボーカルが女装をしてないただの白人の兄ちゃんだったら、

イギリスに於けるホワイトレゲエバンドの雄、

UB40の良いライバルになってたかも知れません。

ただこの曲がヒットチャートも1位になるのは、難しかったかも。

ヒットチャート1位の為という意味では、

ボーイ・ジョージのヴィジュアルは大成功でした。

バンドにとってはちょっとしたスパイスのつもりだったかもしれませんが、

実は猛毒であったということですね。

その後のボーイ・ジョージのヴィジュアルが変化し、

ドラッグにまで手を出すようになったのは、

このヴィジュアルへの対抗心がバックボーンになってるでしょう。

結局、バンドの人気と名声を地に落としただけですが。

時代と寝てしまったんでしょうね。

曲が素晴らしいだけに、残念です。


カバーですが、ミルウォーキーのフォークバンド、

ヴァイオレント・ファムズのバージョン。

ちょっとクセのあるボーカルですが、見事フォークソングになってます。

オリジナルにあった、モータウン色は消えてますね。

次はアルゼンチンのジャズやボサノヴァのシンガー、

カレン・ソウサのバージョン。

ここでも、見事ジャズになってます。

しっとりとしたボーカルとピアノが、雰囲気を盛り上げてますね。

最後はベテランシンガー、リタ・クーリッジによるカバー。

今まで紹介した中では、一番オリジナルに近いですね。

オリジナルの良いところだけを抽出したような感じです。

流石デラニー&ボニーやジョー・コッカーのバックをデビュー前に勤めた、

ベテランならでわの味が出てます。


という訳でカルチャー・クラブの名曲、

「Do You Really Want To Hurt Me」についてでした。

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