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ジュニア世代における運動学習アプローチ

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしています。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

今回の記事では、県内指導者講習会で
僕が講師として登壇したセミナー内容を
アレンジしてお伝えします。
ジュニア世代に対して、
運動学習をどう進めていくか?
という内容です。

✔ジュニア世代に伸ばすべき運動能力。
✔運動学習のアプローチの仕方。
✔コオーディネーショントレーニングの活用。
をお伝えします。

・ジュニア世代にスポーツ指導をされている指導者の方
・お子さんの運動能力を高めたいと思っている保護者の方

に、参考にしていただきたい内容です。

今の子供たちの身体能力は落ちている??

まず、今の子供達の身体能力はどうなっているのでしょう?
昭和39年以来、文部科学省が
・国民の体力・運動能力の現状把握のため
・行政上の基礎資料として広く活用するため
に「体力・運動能力調査」を実施しています。
(平成11年度からテスト項目の見直しを行い、
 「新体力テスト」として継続中。)

昭和から平成の大きな流れとして、

”青少年では,昭和60年頃から続いていた体力低下は平成10年頃に歯止めが掛かり,以後の体力は総合的には向上しているが、昭和60年頃の最高(ピーク)値に回復したテスト項目は少ない ”

平成30年度体力・運動能力調査結果(スポーツ庁)

とまとめています。
平成から令和の流れとしても、緩やかではありますが、
児童の身体能力は向上しているのが見て取れます。
(握力やソフトボール投げなど、特定の能力は低下しています。)

令和2年度「体力・運動能力の推移」(スポーツ庁)のデータを加工
令和2年度「体力・運動能力の推移」(スポーツ庁)のデータを加工

※11歳(男子)のテスト項目結果の推移(平成10年〜)。
※令和2年はコロナ禍のため、調査対象が限定的。

時代とともに、
・子供が自由に遊べる環境が減っている。
・子供の遊び方が変わってきている。

など、社会的な変化と連動して、
個人の運動習慣が昔とは大きく違います。

”握力”や”ボール投げ”の能力が低下しているのは、
まさに遊ぶ環境、遊び方の変化だと考えています。
・ジャングルジムなどの遊具の撤去。
・屋外でのボール遊びの禁止など。
(リスク排除、クレーム対応などで
場所、機材、機会が減っていると思います。)

昔は、みんなが外で遊んでいたけど、
今は、そういった場が減っている。
スポーツをする子はするし、しない子はしない。
二極化が進んでいる印象です。

また、直近の2年くらいは、
コロナ禍のため、更に運動機会が減少。
そのため、小中学生の体力低下が危惧されています。
今の小中学生が進学していくと、
目に見る結果が出てくるのかなと思っています。

僕が今、住んでいる岩手県の場合、
約10年前に震災のため、さまざまな活動が休止した期間があります。
5年ほど前に、高校野球を指導されている
岩手県沿岸の先生とお話をした時に、
「小学校の頃に震災を経験した選手たちは、
 過去、指導してきた生徒たちよりも
 走力や身のこなしがちょっと劣る感じがする。」
とおっしゃっていました。

過去の統計資料、また、現場指導者の経験則から、
今回の”コロナ禍を過ごした子供達”の
身体能力・競技パフォーマンス低下は
高い確率で起こりそうです。
今から3〜5年後の
”ジュニア世代、ユース世代競技者”
の身体能力がどのようになっているのか。
注視していく必要があります。

パフォマンス向上は基礎づくりから

高いスポーツパフォーマンスを発揮するためには、
基本動作や基礎体力が大切。

積み木をイメージしてください。
より大きなベースがあると、
より高く安定して積み上げることが可能です。

将来的に
”高いスポーツパフォーマンス”
を実現するためには、
”幼少期からのアプローチ”が重要。
”どのタイミング”で、
”どのような事”に取り組めばいいのか。

次のセクションでは、各年代が
・習得すべき運動能力
・運動能力が最も高まるその感受期

を説明します。

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