環境の制限。オリンピックリフトの指導は難しい。。。
こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。
僕は専門学校の非常勤講師も
やらせてもらってます。
主な担当は、
「トレーニング指導者認定資格試験対策」
です。
トレーニング指導者の
国家資格は日本にはありません。
民間団体が提供している認定資格になります。
ただ、どの業界にも
”認知度の高い団体や資格”
がありますよね。
やっぱり保有していて損はないです。
最低限の
「知識の裏付けや信頼感」
にはつながるかと考えます。
”取れる資格は取っておけ”って感じです。
ちなみに、今年度、学生達が
受験する資格試験は既に終了。
僕が担当したクラスの合格率は83%。
例年より高かったです。
正直、今年の学生たちは
学習習慣が元々あったメンバーが多かった。
コツコツと資格試験の勉強をしてくれていました。
トレーニング指導者は実技もできないといけません。
トレーニング指導者への資格試験なので、
理論だけではなく実践。
エクササイズの実技に関する設問もあります。
これは、頭で覚えるよりも体で覚える。
文字通り、”実践してなんぼ”です。
正しく動作ができるなら、
・なぜその種目を実施するのか。
・エラーテクニックはどんなものか。
・修正方法は何があるか。
などの理解も早い。
結論、資格試験の問題解答に直結します。
そして、指導者を目指す学生たちです。
やはり、指導対象の前で、
”正しいデモンストレーション”
ができないといけません。
重量はそこまで気にしなくていいので、
どれだけ”正しい姿勢・動きを体現”できるか。
”みせれる”かどうかで、
説得力が変わってきます。
学生たちは”何かしらのスポーツ”をやってきたメンバー。
多少の差はあれ、ある程度のトレーニング経験もあります。
従って、定番種目はすぐにマスターしてくれます。
一方、苦戦するのが、
”オリンピックリフト”です。
オリンピックリフトは一苦労。。。
オリンピックリフトは、
名前の通り、オリンピックの重量挙げ種目。
・スナッチ
・クリーン&ジャーク
になります。
気になる方は、種目名で検索を。
すぐに動画が出てきます。
オリンピックリフトは、
瞬発力向上にとても有効。
いろんなバリエーション種目を
トップアスリートも実践してます。
今行われている冬季五輪でも、
スキージャンプや、
フリースタイルスキーなど、
瞬発力が求められる競技だと、
オリンピックリフトは
取り入れているはずです。
僕も自分のトレーニングや、
指導先でも何かしらの
オリンピックリフトの種目を
プログラムに組み込みます。
専門学校の指導においても
”資格試験:実践編”の
教本にも記載されているので、
=試験対策として、
学生たちに指導をしなくてはいけません。
しかし、このオリンピックリフト。
学生たち、苦戦します。
まず、単純にオリンピックリフトの経験がない。
トレーニング経験があるメンバーですが、
さすがに、高校時代にオリンピックリフトまで
やっている学生はほぼゼロ。
初めてやる動作。
不慣れなので、うまくいかないのは当たり前です。
次に、トレーニング機材。
本来、オリンピックリフトを行う場合、
バーベルを落としても、
床や機材が損傷しないように、
・バンパープレート
・プラットフォーム
といった”重量挙げ専用”の
機材が必要になります。
オリンピックリフトには、
この環境がすごく大切。
リフトが失敗したときに、
怪我を避けるためにも、
最悪、”投げ捨てる”こと
ができるからです。
(普通の機材では完全NGな行動です。)
リスク要因が少ないと、
思い切ってテクニック習得ができますよね。
岩手県内でこのような施設を見るのは稀。
国体やインターハイなどに出場する、
一部の高校や施設でしか、
お目にはかかれないかと。
一般の学校やトレーニング施設に
設置されていることは、まずありません。
やったことがない。
やれる環境がない。
これだと、最初に戸惑うのは当たり前。
でも、資格試験をパスするため、
そして、トレーニング指導者として
キャリアを目指しているメンバー。
繰り返しですが、
”デモンストレーションができて当たり前。”
にしておかないといけません。
分習法で、限られた環境でもアレンジしながら練習です。
僕が学生たちを指導するときは、
分習法を用いています。
オリンピックリフトに関しては、
経験がほぼ全くないメンバー。
そして、機材の環境も限定的。
オリンピックリフトの動作を、
部分、部分に分割して、
それぞれの動きを作っていく。
ある程度、慣れてきたら、
一連動作につなげる。
初心者に運動指導するときの
定番の対応方法です。
分習法は、動作学習の速度が速いと言われています。
ただし、動作を分割しているので、
最終目的の動作を作る
(分割で学習した動作を転移する)
のに、ちょっと時間がかかる
というデメリットもあります。
分習法の対になるのが全習法。
こちらの場合だと、
分割せずに一連動作を通しでやります。
なので、最初の動作学習の速度は遅いですが、
目的動作そのものを練習しているので、
学習した動作の転位の必要がありません。
どちらがいいとか悪いとかではなく、
指導する側がいかに使い分けるのかが重要。
・対象の能力
・トレーニング環境
・トレーニングに費やせる期間/時間
この辺を見ながら、
課題を変えてコーチングしていきます。
学生を指導する場合は、
特に時間の制限もあります。
・資格試験までに
・卒業までに
接触頻度(授業数)も限られていると、
動作学習の速度も意識します。
そうなると、分習法から始める方が
効率的かなと思ってます。
あとは、指導する側に回った時に、
指導方法のバリエーションも
増えるかなと思いながら指導してます。
全習法の方が、帰納法的というか、
自身で試行錯誤しながら動作学習するので、
時間はかかるとけど、
最終的に最も効率的な動作を
習得できるのでないかと個人的には考えます。
まとめ
オリンピックリフトは、個人的に大好きです。
多くのスポーツ競技が必要な
瞬発力を向上させる
効率的なトレーニングを考えます。
ただ、一般的には、
なかなかできないエクササイズ。
・やったことがない
・やれる場所がない。
できなくて当然です。
僕は環境が結構大きいと思ってます。
重量挙げ専用の
・プレート
・プラットフォーム
があると、本当に練習がしやすい。
普通に落とせるので、
思い切ってトライできます。
ただ、こんな環境はないわけですから、
課題をコーチがアレンジします。
安全面、時間コストなどを考えると
分習法のアプローチで、
種目を限定してもいいと思っています。
重量挙げで大会に出る人は、
オリンピックリフトの
正しい動作と挙上重量が求められますが、
その他のスポーツ競技は、
最終的に競技技術を上げるための要素、
瞬発力を向上させたい。
この目的が達成できるなら、
ある環境の中で柔軟に種目をアレンジするべきです。
目的があるから、実施する行動(エクササイズ種目)が決まる。
環境を考慮しながら課題を提示する。
コーチングの大切な部分です。
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