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トレーニングセミナー講師として、“現場”と”研究室”の架け橋に!

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

先日、ある自治体のスポーツ協会さんから依頼を受け、
トレーニング指導者セミナーの講師をしてきました。
”日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格”
の更新セミナーでもあり、参加者の80%くらいが、
スポーツ少年団等で指導をされてる方。

”ジュニア世代の運動学習”や、
”コオーディネーショントレーニングの活用事例”
などを踏まえながら、講義と実技を行ってきました。

みんな、”わかっている”。でも実情は。。。

前半の講義部分は、
「基本動作の習得がスポーツパフォーマンス重要性」
「さまざまな身体能力の感受機(学習すべきタイミング)」
「コオーディネーション(協調運動)の重要性」

のアイディアを共有しました。

この辺りのことは、
ある意味、今や周知の事実。
参加いただいたスポーツ指導者の方達も、
・指導の際に意識している。
・何かしらのエクササイズを組み込んでいる
とのこと。

ただ、現場で実施していく上で、
みなさんが口を揃えておしゃっていたのが、
「時間が限られてるんです。。。。」
「保護者からの理解が得られているかどうか。。。。」

コオーディネーショントレーニングを
実施する際の原理原則には、
・トレーニング負荷設定とバリエーションの提供
・1つの身体能力を優先的に実施
・練習時間の中で独自部分として実施
・長期的な空白をあけてはならない
があります。

研究者がデータを取り、
系統立てられたガイドライン。
そこに疑いの余地はありません。

しかし、実際の指導の現場は、
研究室の状況とは違います。

日本のジュニア期のスポーツ現場の場合、
小中学校の部活動にしろ、
スポーツ少年団等の活動にしろ、
練習時間が制限され限定的と言えます。

小中学校の場合、
1回の練習時間が概ね2時間程度。
スポーツ少年団の場合、
活動日が週の中で限定的。

多くのことをしたいと思っても、
全ての練習内容を実施しようとすると、
物理的な時間に限界があります。

また、周囲の人間の理解も必要。
指導者側が、”基本能力習得”
”身体能力向上”の重要性を理解し、
それを実施しようと考えていても、
例えば、ジュニアアスリートの保護者が、
同じ考えを持っているかどうか
は定かではありません。

「なぜ、技術指導をしてくれないんだ??」

といった声があがるかもしれない。
と指導者側は考えてしまいます。
”費用負担してくれている保護者”からの
理解が得られないと全体の活動に影響が出ます。

・身体能力の向上
・基本動作の習得
は競技の技術力向上の土台です。
しかし、パッとみると、
競技力向上に直接的に
関与していないようにも見えてしまう。

今のスポーツ指導者は、
すごく勉強されてる方が多いです。
一昔前の根性論的な練習ではなく、
科学的に裏付けられた練習内容を
指導してる方が増えています。

・長期的な視点を持って、選手にアプローチしている。
・世代によって求められる運動学習の内容を提供している。

と言うことを、あらかじめ
きちんと周囲の方達に説明し共有する。
より理想的な運動学習の環境が整っていくと思います。

現場では”現場でできること”をやっていくしかない。

スポーツ競技は、
必ず勝敗がついてまわります。
勝利の喜びを分かち合う。
これも大切なことです。

しかし、安易に勝利を求め、
ジュニア期に、あまりにスポーツ技術に
特化したことばかりを行なっていると、
その選手の許容量を逆に小さくし、
結果として大成しない場合も十分に考えられます。

身体能力向上のためには、
”適切なタイミング”で、
”目的にあったトレーニング”
をする必要
がある。
そのタイミングを逃すと、
将来的にその能力を改善するのに
苦労してしまいます。

理想の部分はきちんと理解しながら、
現実の部分を考慮して
環境や課題を整えていく。
これが現場で指導している人間が
行なっていかなくてはいけないことです。

これは僕自身も悩むところ。
選手に対して提供したいトレーニング、
やりたいことはいっぱいあります。
しかし、訪問頻度は限られている。
1回のトレーニング指導時間も限られています。

効果の最大化を目指しつつ、
資源を集中していかに効率化するか。

効果という点では、
研究論文やレポートを参考に、
そして、効率化はという点では、
現場での事例と自分の経験を
もとに実践しています。

指導の際に僕が意識してるのは、
以下の2点です。

① 明確な期分けを行う。
スポーツシーズンの中で、
明確に期分けをして、その都度、
提供するトレーニングプログラムをアレンジします。
一番わかりやすいのは、
・オンシーズン期
・オフシーズン期
年間の大会日程は決まっています。
試合が近い時期と試合から遠い時期だと、
やる内容を大きく変えていきます。
試合から遠いオフシーズン期は、
色々なことに取り組める時期。
このタイミングで普段、なかなかできない
トレーニングメニューの割合を増やし提案します。

②徹底したナローダウン(絞り込み)で時間短縮
本来は一定の時間がかかることを、
焦点をあてる項目を徹底的に絞り、
実施する種目も徹底的に絞り込みます。
そうすることで、実施時間を短縮。
毎回の練習時間に取り込みます。

これは、①の期分けに連動します。
時期によって、目的を明確にします。
ライプチヒ派コオーディネーションの概念だと、
7つのコオーディネーション能力があります。
どの時期に、どの能力に対してアプローチするか。
そして、難易度やトレーニング環境によって、
実施する種目を選定すれば時間は短縮できます。
本来の原理原則とは離れてしまいますが、
こうすれば、毎回の練習機会に組み込みやすい。
一定期間継続し、期分けと連動してローテーションすれば、
全ての要素(コオーディネーション能力)を通年でカバーできる。
そして、継続していけることになります。

まとめ

研究論文はとても参考になります。
・トレーニング機材や測定機器
・指導者・評価者の人員配置
・検討項目以外の条件の統一
・24時間、実験期間中のモニター体制
などソフト・ハードの両面が揃っている。
正しいデータを収集することができるので、
結果に関しての信頼度が違う。

科学的なエビデンスは、
無視することはできません!

ただ、実際の指導現場で、
同じような環境が作れるのかと言われると、
それは、やはり非現実的。

自分がいる指導現場に、
いかにフィットさせるのか。

これが現場にいる指導者が
創意工夫しなくてはいけないこと。

今回のような同地区の指導者のセミナーは、
同じような環境での事例紹介など
情報共有の場にもなるので、
とても有意義な時間だと感じています。

なかなか対面で集まると言うのが
難しい状況が続きそうですが、
ローカルのコミュニティを活かし、
地方でもスポーツ・フィットネスが
発展していくような動き

進めていきいたいと
いつも考えています。

よろしければ、サポートをお願いします。情報発信するためのトレーニングセミナー開催費用や、ジュニア世代へのコオーディネーショントレーニング指導などの活動費として活用させていただきます。